若い人が集まる場所って?

最近、クラブ関係のパーティーを開く側や箱オーナーの人が表題の事を言うのを聞くし、目にする事が多くなった。不思議なのはこれを言う人達が20代前半という事だ。居場所という言葉も聞くようになった。これらを言うのは今までは中年だった。それはマーケティングの意味合いが主でそれは正しい。そして、若者保護系の人達か。あと次点で同世代のサークル(チーム)持っている人達。しかし、クラブのDJのや小箱オーナーはそのクラスタではない。

そもそもクラブは音楽とダンス(酒)を楽しむ場所であり、多様な人との交流が出来る場所。音楽と深夜という軸で多様性の場であった。しかし女性のケツを追っかける輩は必ずいて、女性側にも出会いを求める人もいる。そういう人達さえも包み込む多様性が箱にはあった。そして現在。若い人でクラブに行く人は確かに減っているが、同じように中年でも減っている。それは徹夜がきついという事もあるが、それを圧してでもクラブに行くメリットが無いからだと思う。楽しい事があれば効率よく手に入れる。それが現在だからだ。

つまり、クラブのメリット、デメリットを考えた時にわざわざ行く程のメリットの方が少ないというだけ。そこに若い人がどうこうの話ではない。世代関係無く根本的な底上げが必要なはずなのだ。

こういう話が出てきたのはDJの機器が進化して誰れもDJになれるようにった事が大きいと考える。そして楽曲の進化。EDMやハウス系ミュージックはそれ自体が盛り上がるように作られており、テクノのようにDJが展開をフロアの状態を見て選曲やMixをしないでもそこそこフロアは盛り上がる。しかしそれはそれまで。刹那的なフロアの盛り上がりに慣れた人達は音楽よりも盛り上がる事がメインになって、曲など聞かずに騒いだりナンパ痴漢に走ったりする人達も増えた。逆にテクノは極端に修行僧のような人達が多く、世界のテクノ再興に逆行するように日本では衰退の一途をたどっている。

ここにきて若いDJや関係者が「若い人達を集める」発言だ。これが先の中年のおっさん達のマーケティングじゃなかったらなんなのだろう。DJや箱関係者である事=同世代でイケてる人間、と勘違いをしているのではないだろうか、と思うのだ。イケてる自分たちが同世代をひっぱる、的な。自分たちと共感する若い世代が文化、時代を作る、的な。言っている事と発想は価値観の古いおっさんと同じだ。誰でもなれるDJだからこそ、自分たちは人頭抜けていると認めてほしい。それがわかるのは同世代の支持だ、的な承認欲求しか感じない。

昔世代の違いがあったのは立場の違いがあったからだ。大きくは年収や家庭。しかし格差社会に今は世代間格差はかなり減っている。そして情報感度が高い人に世代は関係無い。昔なら若い人の方がフットワークが軽かったもんだが、スマホとネット環境があれば情報は誰でも手に入る。後は実際に体験するかどうか。情報リテラシーが低い人は若い人でも低い。感度が高い人は中年でも初老でもイケてる。

情報感度が高い人がどの世代でも減っているのであればそれは日本社会の問題。実際そう感じるのは今の社会が閉鎖的だから。そんな社会でクラブに行く理由など簡単には見つからない。女性のケツを追っかけるのはマッチングアプリの方が効率がいい。まずここからスタートなのだ。

若い人を、なんていう電通的な発想をするのが若い人という情けなさ。クラブミュージックにもクラブにも未来が無いなぁ、と感じる。自分たちがやっている事が音楽であるのであれば、年齢性別関係無く粛々と良いものを出そうとすればいいのだ。DJはいい音楽と。箱は今の時代を考えた値段設定や安心安全さを。未だにフル喫煙可能などありえない。そんな時代錯誤かつ、それがアンダーグラウンドでイケてるという思考停止状態だから、「若い人に・・・」なんてダサい事を言ってしまうのだ。

箱は世の中に合わせて状態を変える。DJは腕を上げ、音楽体験としてリーチできるようにする。タトゥーを入れたりドラッグをする事がイケてる事で若年層のレペゼンになるわけじゃないのだ。

まあ、別に関係無いからいいんだけど。私の周りのアラサー以降のクラブ通いのベテラン達が箱の雰囲気の低下で行きたくなくなって来ている現状があるからさ。私も箱難民になりそう。




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