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【片々草】ミステリー、の話1

※ぺんぺんぐさ、って呼んじゃってください。

2015~2017年あたりは長文を書き殴ることも多かったのですが、近年はめっきりやっておらず。最近になってまた色々思うことも多くなってきたので、ちゃんと文字にしようと思い立ち、【片々草】と名付けて書いていく(徒然草みたいな書き出しになってしまった)。乱筆拙文失礼。

初っ端は「ミステリー」という単語に個人で思うところを、一般論?交えながら色々言ってみる。

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ミステリ、”ー”?

 「ミステリ」と「ミステリー」は別物である。

 両語共に”不可思議性”を含む。もう少しかみ砕いていえば、どちらも作品として考えた場合、登場人物が何かの問題や事象に遭遇して最初に”疑問”を抱く、という点では共通する。そのうえで、「ミステリ」はその疑問が怪奇性・神秘性として解釈される作品、「ミステリー」はその疑問を謎解き・推理により現実的な事象として解明することを主軸にする作品である。この用語定義は決して一般的ではなく、推理作品を怪奇モノ(ホラー等)と区別したい人種のみが主張している…らしい。怪奇性・神秘性とは、根底的に”原因を追究できていない現象”を指している。とすれば、「ミステリー」は謎解き・推理によって原因を追究し真実を見つけるのだから区別したい、というのが私の心情だ。ただ、推理小説作家たちは「ミステリ」だとか「ミステリー」だとかの使い分けはほとんど見かけない。全くの余談だが、本格派を正しく表記する場合「本格ミステリ」である。ミステリーではない(変なこだわり)。

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ミステリーとサスペンスの違い

 「ミステリー」と「サスペンス」の違いもはっきりさせておこう。

 この二つの違いが分かりにくいのは、共通として犯人や被害者のいる事件を扱うからである。しかし、「ミステリー」は推理劇に重きを置いた作品であり、「サスペンス」はハラハラするような展開を狙った作品(あるいは演出方法)だ。例えると、箱に手だけ突っ込んで中身を当てるゲームがあった時、「ミステリー」は挑戦者同様に箱の中身を知らず、挑戦者のコメントを聞きながら中身を一緒に推理している状態だ。コメントが、推理における材料に相当する。「サスペンス」は箱の中身が見えているかいないかのパターンはあるが、挑戦者が一生懸命中身を撫でまわして回答する様を楽しんでいる状態と言っていい。挑戦者の発言は「うべべ!」とか「ひょえぇっ」等で問題ない。むしろ、そのリアクションが楽しむポイントになっている。「サスペンス」の例で最も想像しやすいのは、倒叙式……犯人やトリック等が冒頭の時点で分かっており、探偵役相当が事件を解決する様を楽しむような『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』だろう。ただ、倒叙式=サスペンスという図式は絶対ではない。そのことについては、また別途述べよう。

 ふと。10年ほどミステリーイベントの制作に携わってきたが、サスペンス関連の制作はやった事がない。構造はミステリーと同じはずなので、サスペンスイベントが成立するのか考えたが、難しいように思う。理由は、「サスペンス」が登場人物に感情移入することで達成されるものであって本質的に作品を楽しむ側は受動的だからだ。参加者がサスペンスしてしまうと、能動的な楽しみであるミステリー(推理)かアクション(行動)等のジャンルに該当してしまう。ただ、趣向は違うができる方法があることにも気が付いた。多くはここに示さないが、参加者の行動を参加者自身が客観的に見ることができるならば、要所で「サスペンス」は達成できるかもしれない…需要は不明だ。

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金田一とコナン

 このタイミングで、よくある議論について個人的な見解を述べておく。

 『金田一少年の事件簿』は金田一一の「全ての謎が解けた」という台詞より前の描写情報で事件が解けるように構成された、明らかにミステリー作品である。純然たるミステリーだ。

 これに対し『名探偵コナン』は回により、コナンがストレートに必要な情報へアクセスしスピード解決していく、サスペンス作品といえる。スピード解決ゆえに視聴者への情報提示が不十分なままだが、コナンが解く過程自体は比較的丁寧に示されている故、解けなくもない構造をしている。その結果、見る人によってはミステリー作品ということになる。だが個人的には、読者に推理を提供せず情報不足になっている作品はミステリーではないという認識があるため、コナンをミステリー作品と言い切りたくない。あくまで、回による。

 ちなみに、wikiでは『金田一少年の事件簿』についてミステリーを題材にしていると明示されているが、『名探偵コナン』は推理漫画と記載されている。推理漫画は、サスペンスを含む広い意味を持っている。推理作品が好きな人の中でも『名探偵コナン』がミステリーとは言い切れない、という共通見解をなんとはなしに感じている。

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次回も引き続き、「ミステリー」の話。

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