大人数と1対1

大人数の飲み会が嫌いという人はよくいるような気がするが、僕は大人数の飲み会のほうが好きで、1対1の飲み会のほうが苦手である。
これは主に僕がいかに会話の中で笑いを生み出すか、人にエンタメを提供するか、その場を面白くできるかということを考えているせいだと思う。高校生の最も尖っていた時代に面白くない奴はゴミだと自分に言い聞かせていたせいかもしれない。
大人数の飲み会のほうが手軽に笑いがとれる。誰かの面白エピソードにボケをかぶせたり、たとえツッコミしてみたり、言葉尻を捕らえてイジってみたりで、その場の笑いを増幅できる。いわゆる笑いの中間業者だ。みんなの空中戦を適度に掻い摘んで、甘い蜜を吸っている。
幼少期からバラエティ番組を見て育った、超テレビっ子の僕はテレビに出ているお笑い芸人のボケのパターン、ツッコミのパターン、ひな壇のガヤ等々のやり方をパクって、手っ取り早くその場を盛り上げる。
なおかつ、大人数の場合は自分の話すターンが当然少なくなるので、薄っぺらい会話に終始できる。喋りたくなかったら喋らなくてもOK。その場が楽しくて、後で何を喋っていたのか全く思い出せない、思い出す必要もない。それで良いのだ。
 
逆に少人数、1対1が苦手なのは自分のことを深く話さなくてはならないからである。自分の中で過去のすべらない話を全て引っ張り出してきても持って1~2時間。そうなると自分の内面であったりという話になるケースが多い。強引に笑いにもっていけば自虐ネタとか。
デートとかだと自分の内面であったりを話さなければならなくなる。僕はそもそも取り繕ったりするのが面倒というか、本来の自分を最初からさらけ出したいタイプである。例えば、僕は働きたくないので、結婚とかする気はないですねとか。これは異性を避けるために言っているのではなく、自分がそう考えているから、その通り話しているだけなのだが、そうすると当然、だんだん相手の目が死んでくる。
趣味がたくさんあるため、それらの話を深く話す分には全然良いが、どちらかというと同性に好まれるジャンルのものが多いし、趣味に時間を割きすぎて、ものすごく専門的な話やニッチな傾向になり、相手がそもそもついてこれないケースも多い。そうなると僕のエンタメポリシーに反して、その場がとんでもない空気になるケースが多い。だったら黙って取り繕えばよいのだろうが、それは本当の自分ではないから結局楽しくないのだ。
特に女性との1対1のコミュニケーションがあまりにうまくいかないので、以前女性の友人に女性同士で会話するときはどんな内容の話をしているのかと聞いてみたことがあった。そうすると回答は恋バナであった。
僕が最も苦手なジャンルである。過去の恋愛エピソードもないし、恋愛をする気もないため、そこで話が完結。逆に聞き専に徹して、万が一相談に乗ったら共感ではなく、解決策を提示するのだ。当然、自分も楽しくないし、相手も楽しくない。なので、飲み会が終わったら、相手のリアクションを鑑みて、自分のとにかく笑いを提供するポリシーに反してしまったことに自己嫌悪にも陥る。何もメリットがないからなるべく少人数の飲み会は避けたほうが良いかもしれないな。

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