「歩兵」 製作記 / Vode An "Trooper" Review
創作当時(高校生くらい?)のメモのただのコピペで読みにくいと思いますが、もし「若造の創作の思考」にご興味があったらお読みいただければと。
2009年7月
動機 / Motivation
シンプルに「カッコイイ物」を折りたいという願望から起こった創作である。折り紙的なコンセプトは余りない。クローントルーパーの装甲服のデザインには何通りかあるがポーズの気に入ったコトブキヤのPVCをデザインを基にする。
https://www.kotobukiya.co.jp/product/product-0000000060/
試作 / Test Folds
例によって頭部から試作を始めるが
頭の中にイメージがない為にかなり苦戦を強いられた。何故ならヘルメットの曲面を無駄なく表現する方法が見つからなかっただけでなく資料を見て折っているのにもかかわらず
中々目標の形に似ないからである。これは一重に
対象を折り紙化したビジョンが脳内に完成されていないからである。
そこで無理にでも創作の取っ掛かりを作る。特徴はT字型のバイザーと口元の逆V字のスリットである。インサイドアウトで色分けをしたいところである。
ところがやって見るとわかるだろうが
この逆V字の(への字)のスリットが中々の曲者で
折りだせない訳ではないが
何度やってもかなりの紙の無駄を生じてしまう。
また
T字のバイザーも
腹割れ(表面に紙の辺で作られる亀裂が入る)でやるとどうもCTに似てくれない。どちらかといえばストームトルーパーの目つきになる。
だからインサイドアウトをせず
紙の襞でレリーフを作ることも考えたが
それを折り出す為にできる関係のない襞の影が
一番表現したい部分の主張を殺してしまい
えも言わぬ結果になる。
そこで
10近くの失敗の後
T字のバイザーを左右に分けずに作り
への字のスリットを仲割り段折りでできる影で表現することに。後者は実は割りと最初からあった案だが
それはあくまで
インサイドアウトをした上で且つ
という考えであった。ところがしかしインサイドアウトを抜いたほうが洗練されたデザインになることに気づく。
・結果として顎は内部角になり
立体造形の過程で重厚感のある仕上がりを約束してくれた。さて
資料を見ていて
せめてヘルメットだけでも
横や後ろからの鑑賞に堪えられる
所謂360度方位系のものにしたいという衝動に駆られる。もともと
曲面の表現でさえ難題であるが
基本的にはこういった場合
パイの生地で物を包んで余った部分は餃子の皮の様に手繰り寄せて
更に角を潰して擬似的な曲面を作ればいい。
よって
顔パーツ付近はゆったりした
無地の領域を確保する必要がある。大した話ではないが。
・願ってもない収穫として
表現方法に困っていた
頭頂部のツノ?のような物の角が図の様に偶然出てきた。
・上の構造に紙を追加して拡張して適当な構造に接続したところ図の様に
神谷氏の白鳥離水のように
辺面にヘルメットが立った状態という興味深い仕上がりを手に入れた。
この形状から
首元から胸元まで連続した紙で立体的に表現するという着想を得る。(図)
・この段階で
腕の半分の長さくらいまでできてはいた。はじめは装甲服の下の黒いスーツや関節ごとに分かれる装甲板を一つ一つ折り出す予定であったが
それでは紙の使い方が贅沢すぎて
エレガントとはとてもいえない構造が出来上がるのは目に見えている。また
前作のRUMIAとは異なって
腕に表情がつくうえ
指の表情も
誤魔化せないので
余り適当な長さのそれでは困るのだ。ところがどれくらいの長さの腕を出せばいいか
感覚が麻痺してしまっていた。
・蛇腹作品では指の角といったら2×2マスの正方領域でいいのかもしれないが
22.5度ではそのために特別な拡張領域を追加する気は起こらなかった(何故なら
指のような小さな角の集合のために大きさとして変則的な構造を追加したくはなかったから)し
最小主義から考えて
五本指全てを丁寧に折り出す必要はないと考えていたからである。
そこで
腕
手の角は一緒に
辺上に角を持つ一つの角として出現させ
これも北条作品の人形の手の指の様に
沈め折に始まる造形工程によって指や手の甲の装甲を作ることにしよう。
・最小主義という考え方であるが
これは最近私の創作を支配する考え方である。求める形は1通りであるなら折り紙の構造もそれに見合った
それ以上の要素を無駄に含まない物にしてしかるべきである
という考えである。これは単純に
不要領域を紙の上に作らないという意味ではない。たとえば今回の作品。人の指は5本であるが
対象の指の表情からして
角として分離しているべきなのは
人差し指や親指のみであり
残りの指はほとんどひとつの角とみなして
造形に頼るほうが紙に要求される領域は最小となる。
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