「真紅(Crimson)」 Project
"Crimson" Project
少し昔話をさせてください。2013年11月、折紙創作家の堀口直人氏と競作を行いました。題材は「真紅」、Peach-Pit先生原作の漫画の登場人物です。この競作で製作したモリスエの作品は実は未発表で、「知る人ぞ知る」、日の目を見ていない作品です。気が向いたので、今日はこの作品をお蔵出しすることにしましょう。
I once had a competition in Nov. 2013 with Naoto Horiguchi in making "Crimson" from a comic by Peach-Pit. The consequence is not published, in fact. Now let me reveal this design today.
堀口さんは当時最先端のBP(ボックスプリーツ)人形師であり、数々のアニメ・漫画キャラクターを製作したことで一躍人気作家となりました。そのきっかけとなった作品群のうちの一つに、この「真紅」がありました。
Horiguchi is famous for his Anime/Manga Origami dolls with advanced techniques of BP(Box Pleating). "Crimson" is one of his earliest models.
モリスエはというと、BP技術の高度化に不毛さを感じ始め、ちょうど、22.5度設計による人形作りを模索し始めた時期がありました。その折に、「堀口氏はリメイク、モリスエは新作という形で競作をし、その制作過程を記録してはどうか」という企画が立ち上がりました。
On the other side, Morisue had given up in keeping up with BP techniques, but started to find away to make dolls in 22.5. Just that time, "How about recording the process of Horiguchi & Morisue making the same theme, 'Crimson', in different ways".
この企画はClosedな集まりで終結してしまったため、その記録と作品は日の目を浴びることはありませんでした。しかし幸い、作品も製作記録もしっかりと残っていました。
Fortunately, the work itself and the record have't been lost. Let's look at them.
Phase 1: Base Point
当時のモリスエは人形の肝を「顔」と思っていました。なので、部分試作を顔から始めて、試作領域を少しずつ四方へ広げていくという、当時好んでいた創作方法を採用しました。
Morisue @ that time was thinking the main point of dolls is definitely "Face". And He preferred to design from tiny parts and spread the target area.
この「顔」の構造はいわゆる「自分ライブラリ」にストックしてある「出来合い品」です。
This part is from so-called "library", design stocks though my experiences. So never ask me "Why did u think of it?!"
Phase 2: Extending Parts
この創作手法では部分試作したパーツに隣接したパーツを順番に試作し、その構造を確定させていきます。ここでモリスエには2通りの「拡張」方向が与えられています。(両方を選択することもできます)この選択は、どの角が内部/外部となるのかに直結する重要な判断です。
There are 2 possibilities to extend the target area. This decision directly leads WHICH CORNER REMAINS INTERNAL/EXTERNAL.
角が内部/外部であることの重要性は実はそこまで重要でないこともあります。今回がまさにそれで、実はモリスエにしては珍しく、「インサイドアウトを諦めている場合」です。諦めた理由は、「モチーフを観察していて胸の緑のリボン、象徴的な赤いドレス、ブロンドの髪、3色あるから無理」と記録には書いてありますね。ナメたことを言っているんじゃない。
Internal or not is not critical every time. This design is truly an example of the case, Morisue gave up in "Color Changing" because of 3 colors (green ribbon, red dress, blond hair). He was an idiot.
最終的には両方向に試作領域を拡張し、「顔」のパーツはすべて内部に埋め込まれました。理由は特にないそうです。脳みそあるんですかね。
Finally I had a decision to extend it both directions.
まずは「前髪(サイド)」をどこに配置するかを考えます。どんなパーツでも配置をするときの考え方は単純で、22.5度の線をいろんなところから伸ばしてみて、「鶴」や「魚」の構造がでてこないか試行錯誤することです。
First, we need front-side-hairs. Whatever we need on the square, what we have to do is simple. Putting 22.5 segments from everywhere, and find "bird base" or "Fish base" to make "flaps".
結果このように、左上に鶴の基本形を追加することで、「顔パーツ」に近いところに少し長めの「角」が得られました。
This is the result. We got a half-bird base on the left top nearside of the "Face".
Phase 3: Head Dress
次は反対側、右側にパーツを配置しましょう。目標は「ヘッドドレス」です。
The next target is "Head Dress", may should be placed on the bottom right of the "Face".
Atomic Hell/Heaven
とんとん拍子に設計が進んでいるようにみえますが、常に気を付けなければならないことが一つだけあります。「原子」を細かくせず、一定の密度を保つことです。「原子」とは、ざっくり言えば、「折り筋(山谷関係なく)に囲まれた多角形」のことです。最近は「メッシュ」とも呼ばれています。もっと感覚的には、「細かい/粗い」の尺度です。この手法では指数関数的に試作領域が拡大していきます。そんな中で、早期から「零細な構造を仕掛ける」ことは経験的に地獄しか生まないことを知っているからです。
We must always care about "Atoms", to be in the stable density. What is "Atoms"? Roughly speaking, "polygons surrounded by creases", or more roughly, it is an measure of "fineness/roughness of CP". In this Design approach, the Square expands exponentially. It is easily imagine that "the most finest structure may infect other structures in annoying way".
Phase 4: Twin Tails
「真紅」の後ろ髪はとてつもなく長いですね。この二つのカドは間違いなく外部角として配置します。これはインサイドアウトの要請ではなく、「長い角は内部に置くと非効率的なデザインになる」という経験則によるものです。もちろん例外もあって。
Her Tail Hairs must be placed on the External. This is not imposed by color changing, but by an experiences that "large flaps inside tend to be inefficient designs". Exceptions always there anyway.
Phase 5: Packing in reasonable reference
前述のように、「構造面」での作業はパーツによって変わることはなく、実は結構淡々としていて、途中で飽きちゃったりもします。ただ、一番最後にしなくちゃいけないのが、「風呂敷を畳む」です。ここまでは好き勝手に試作領域を拡張してきましたが、パーツがそろってきたところで、「すべてのパーツを含む」、「無駄な領域のなるべく少ない」、「正方形領域」を見つけてCPを完成させる必要があるのです。モリスエはこの後に「自分で折るんだぞ」ということくらいはわかるので、パーツの位置がなるべく簡単な位置にあるものを必死に探しました。
At last, we have to establish the final, largest Square, such that, includes all the parts, less inefficient realms.
Phase 6: Shaping
「造形」、これについては有益なお話はできそうにありません。モリスエはここでは、時間をかけて、そして一番楽しんで、理屈を忘れて、いる時間です。話しかけないでください。
"Shaping"... It is the most difficult issue. Morisue is TAKING MUCH TIMES, HAVING MUCH FUN, FORGETTING LOGIC, during shaping. Do not disturb me.
Final Phase: Crimson
Phase 1で確定させた「顔」の構造、どこに、どれだけの大きさであるかが分かりますか?
I let you find "Face" at the phase 1. How large it is? Where it is?
7年も前の作品ですが、読者の皆様に楽しんでいただけたなら幸いです。
Thank you, all readers!