米国株、ダウ続落し366ドル安 地政学リスクや決算嫌気の売りかさむ ナスダック反発
米国株、ダウ続落し366ドル安 地政学リスクや決算嫌気の売りかさむ ナスダック反発
米国・欧州株概況
2023年10月28日 5:37
【NQNニューヨーク=川上純平】27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比366ドル71セント(1.11%)安の3万2417ドル59セントと3月以来の安値で終えた。中東情勢が一段と悪化するとの警戒感が高まり、投資家のリスク回避目的の売りが出た。市場予想を下回る決算など悪材料が出た個別株の下げがきつく、指数を押し下げた。ダウ平均の下げ幅は400ドルを超える場面があった。
イスラエル軍の報道官は27日、パレスチナ自治区ガザへの地上作戦を「今夜、拡大する」と述べたと伝わった。本格的な地上侵攻が始まることへの懸念が強まり「地政学リスクの高まりを意識した売りが膨らんだ」(SIAウェルス・マネジメントのコリン・チェシンスキ氏)。周辺国の原油供給に悪影響が及ぶとの見方から原油相場が上昇し、米国のインフレ圧力が高まるとの観測が広がったのも相場の重荷だった。
27日にミシガン大学が発表した10月の消費者調査によれば、1年後の予想インフレ率は4.2%と5月以来の高水準となった。米連邦準備理事会(FRB)は来週に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。原油高とあわせ、金融引き締めが長期化することへの警戒感が意識されやすかった面もある。
ダウ平均の構成銘柄では、石油のシェブロンが7%弱下げた。四半期決算で1株利益が市場予想を下回ったことが嫌気された。金融のJPモルガン・チェースはジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が保有する同社株を一部売却する方針を示し、売り材料視された。
バイオ製薬のアムジェンや通信のベライゾン・コミュニケーションズなどディフェンシブ株の下げも目立った。半面、四半期決算が市場予想を上回った半導体のインテルは大幅高となった。スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトといったハイテク株も買われた。
ハイテク比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶりに反発した。前日比47.406ポイント(0.37%)高の1万2643.011で終えた。前日に発表した四半期決算が市場予想以上だったネット通販のアマゾン・ドット・コムが大幅高となった。前日に下げた交流サイトのメタプラットフォームズも買い直され、指数を支えた。