米国株、ダウ反発し127ドル高 長期金利の上昇一服が後押し ナスダックも反発

米国株、ダウ反発し127ドル高 長期金利の上昇一服が後押し ナスダックも反発
米国・欧州株概況
2023年10月5日 5:44

【NQNニューヨーク=稲場三奈】4日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前日比127ドル17セント(0.38%)高の3万3129ドル55セントで終えた。米長期金利の上昇(債券価格の下落)が一服したうえ、朝発表の米雇用指標が労働需給の緩和を示したとの受け止めが広がり、株買いにつながった。一方、6日発表の9月の米雇用統計の内容を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な株買いは手控えられた。米財政運営を巡る不透明感が投資家心理の重荷となっており、ダウ平均は下げに転じる場面があった。

4日の米債券市場で長期金利は4.7%台で推移した。米東部時間の4日未明に4.88%と連日でおよそ16年ぶりの高水準を付けた後で、利益確定や持ち高調整の債券買いが入った。金利の低下で、相対的な割高感が薄れた高PER(株価収益率)のハイテク株を中心に、株を買い直す動きが入った。

4日朝発表の9月のADP全米雇用リポートでは非農業部門の雇用者数が前月比8万9000人増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(16万人増)を大きく下回った。労働市場の軟化を示す内容との見方が広がった。

同日発表の9月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業(サービス業)景況感指数は53.6と、市場予想(53.7)にほぼ並んだ。8月(54.5)から低下したものの、好不況の境目とされる50を上回った。個別項目では「新規受注」や「雇用」が減速した。

市場では「本当に高インフレが減速し、労働需給も緩和してきているのかどうか見極めるためには、6日発表の(9月の)雇用統計がカギとなるだろう」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との声が聞かれた。

米連邦議会下院は3日、野党・共和党トップのマッカーシー議長の解任動議を可決した。9月30日に成立したつなぎ予算の期限となる11月中旬までに、それ以降の追加予算が成立するかどうかは不透明な状況にある。

米メディアによると、下院は11日にも新議長選出の採決を実施する方向で調整している。後任候補者が複数浮上しているものの、市場では「政府機関の一部閉鎖への可能性がやや高まっており、短期的に市場参加者の不安を誘っている」(ケース・キャピタル・アドバイザーズのケニー・ポルカリ氏)との見方も出ていた。

個別では、ソフトウエアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォースが上昇。小売りのウォルマートやスポーツ用品のナイキ、製薬のメルクも高かった。一方、通信のベライゾン・コミュニケーションズや映画・娯楽のウォルト・ディズニーは安かった。原油価格が下落し、石油のシェブロンも売られた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。前日比176.544ポイント(1.35%)高の1万3236.010で終えた。画像処理半導体のエヌビディアやネット通販のアマゾン・ドット・コム、電気自動車のテスラなどが買われた。

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