米国株、ダウ続伸し15ドル高 業績期待が支え、CPI上振れは重荷
米国株、ダウ続伸し15ドル高 業績期待が支え、CPI上振れは重荷
2024年1月12日 6:44
【NQNニューヨーク= 横内理恵】11日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に続伸し、前日比15ドル29セント(0.04%)高の3万7711ドル02セントで終えた。今週末から発表が本格化する米主要企業決算への期待感がダウ平均を支え、引け間際に上げに転じた。朝方発表の2023年12月の米消費者物価指数(CPI)が小幅ながら全般に市場予想を上回り、米連邦準備理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退したことから売りが優勢になる場面もあった。
CPIは前月比で0.3%、前年同月比で3.4%上昇し、ともに23年11月から伸びが加速した。ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想も上回った。インフレの基調を見極めるうえで市場が注視するエネルギーと食品を除くコア指数は前年同月比3.9%と11月(4.0%)から鈍化したものの、市場予想(3.8%)を上回った。
インフレ沈静化に時間がかかるとの認識から「FRBが利下げを急ぐとは思えない」(JPモルガン)との評価が目立った。同日発表の週間の米新規失業保険申請件数は市場予想を下回り、労働市場の底堅さを示した。一時は幅広い銘柄に売りが広がり、ダウ平均の下げ幅は270ドルを超えた。
午後に入ると急速に下げ渋った。12日に主要な金融機関が23年10〜12月期決算を発表する。業績改善への期待が投資家心理を支えたとの指摘があった。「米経済のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)は良く、相場が大きく下げるとは考えにくい」(シーバート・ウィリアムズ・シャンクのスティーブン・カール氏)との声もあった。寄り付き直後にも買いが入り、ダウ平均は2日に付けた過去最高値(3万7715ドル)を上回る場面があった。
ダウ平均ではアナリストが投資判断と目標株価を引き上げた顧客情報管理のセールスフォースが高い。スポーツ用品のナイキも買われた。ソフトウエアのマイクロソフトは約1カ月半ぶりに上場来高値を更新した。一方、スマートフォンのアップルは下げ、一時は21年11月以来、約2年2カ月ぶりに時価総額でマイクロソフトに抜かれた。通信のベライゾン・コミュニケーションズやドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス、航空機のボーイングの下げも目立った。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は小幅に5日続伸した。前日比0.535ポイント高の1万4970.185で終えた。画像処理半導体のエヌビディアが連日で上場来高値を更新した。一方、電気自動車(EV)需要の陰りが意識されたEVのテスラは下げた。
多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は小反落し、前日比3.21ポイント(0.06%)安の4780.24で終えた。寄り付き直後には4798と22年1月に付けた最高値(4796)を上回る場面があった。