米国株、ダウ続伸し292ドル高 米雇用指標受け追加利上げ観測後退 ナスダックも続伸

米国株、ダウ続伸し292ドル高 米雇用指標受け追加利上げ観測後退 ナスダックも続伸

米国・欧州株概況

2023年8月30日 5:38



【NQNニューヨーク=戸部実華】29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比292ドル69セント(0.8%)高の3万4852ドル67セントで終えた。同日発表の米経済指標が労働市場の過熱感の和らぎを示し、米連邦準備理事会(FRB)による追加利上げ観測が後退した。米長期金利が低下し、株式の相対的な割高感が薄れて幅広い銘柄が買われた。ダウ平均の上げ幅は300ドルを超える場面があった。

29日午前に発表された7月の米雇用動態調査(JOLTS)で非農業部門の求人件数は882万7000件と、2021年3月以来の低水準となった。リフィニティブがまとめた市場予想(946万5000件)を下回った。8月の米消費者信頼感指数は106.1と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(116.0)以下となった。同調査では雇用機会が「豊富にある」と答えた消費者の割合は21年4月以来の低水準だった。

FRBは今後の政策決定は経済データ次第とするなか、市場ではインフレ抑制に向けて「正しい方向にある」(オアンダ)との見方が強まった。労働需給の引き締まりが和らぎつつあるとの観測から、米金利先物の値動きから市場が織り込む政策金利予想を算出する「フェドウオッチ」では9月と11月の会合で政策金利を据え置く確率がともに前日から上昇した。

米長期金利は一時、前日比0.10%低い(債券価格は高い)4.10%を付けた。高PER(株価収益率)のハイテク株を中心に買いが入りやすくなり、ダウ平均の構成銘柄ではスマートフォンのアップルが2%上昇した。FRBが米景気後退を避けてインフレを抑え込めるとの楽観を背景に景気敏感株や消費関連株も買われ、スポーツ用品のナイキや金融のゴールドマン・サックスなどが高い。アナリストが投資判断を引き上げた通信のベライゾン・コミュニケーションズは3%高となった。

週内は注目度の高い経済指標の発表が多い。30日は8月のADP全米雇用リポート、9月1日には8月の雇用統計と雇用関連指標も相次ぐため、内容を見極めたい雰囲気もあった。米国では3連休の週末を控えて夏季休暇を取る市場関係者が多く「薄商いで相場の振れが通常時以上に大きくなりやすい面があった」(ベンセニョア・インベストメント・ストラテジーズのリック・ベンセニョア氏)との声も聞かれた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日続伸し、前日比238.626ポイント(1.7%)高の1万3943.757で終えた。主力株が軒並み買われた。電気自動車のテスラは8%近く上げた。エヌビディアが4%高となるなど、半導体関連株の上昇も目立った。

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