米国株、ダウ小幅反発し39ドル高 金融株中心に買いも地政学リスクで投資家心理悪化
米国株、ダウ小幅反発し39ドル高 金融株中心に買いも地政学リスクで投資家心理悪化
米国・欧州株概況
2023年10月14日 6:00
【NQNニューヨーク=稲場三奈】13日の米株式市場でダウ工業株30種平均は小幅に反発し、前日比39ドル15セント(0.11%)高の3万3670ドル29セントで終えた。朝発表の四半期決算が好感された金融株などを中心に買いが入った。一方、中東情勢を巡る緊張が一段と高まっており、株式相場全体の重荷となった。
金融のJPモルガン・チェースは前日比2%弱上昇した。朝に発表した2023年7~9月期決算では1株利益などが市場予想を上回り、買いを誘った。ダウ平均の構成銘柄ではないが、同業のシティグループとウェルズ・ファーゴも同日に決算を発表し、市場の想定を上回る内容が評価され、買いが入った。
医療保険のユナイテッドヘルス・グループも3%弱高で終え、指数全体を91ドル押し上げた。朝発表した7~9月期決算は増収増益となり、売上高と1株利益がいずれも市場予想を上回った。ダウ平均は上げ幅が300ドル超となる場面があった。
半面、中東情勢の緊迫化は株式相場の重荷となった。イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突が激化することへの懸念は根強い。積極的な運用するリスクを回避しようと、相対的に安全資産とされる米国債や金に資金を移す動きもみられた。
原油価格の大幅な上昇で、インフレが再燃するとの懸念も株売りを誘った。ミシガン大が13日発表した消費者態度指数(速報値)は63.0と前月(68.1)から悪化。1年先の予想インフレ率は3.8%と前月(3.2%)から上昇し、5カ月ぶりの高水準となった。「様々な不安が市場を取り巻いている」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との声が聞かれた。ハイテク株を中心に売りが出やすく、ダウ平均は下落に転じる場面があった。
JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は13日の決算資料内で、インフレ高止まりのリスクや米金融引き締めの影響、ロシアのウクライナ侵攻の長期化やイスラム組織ハマスのイスラエル攻撃といった地政学リスクに言及。「世界は過去数十年で最も危険な時期にあるかもしれない」との見解を示し、投資家心理が悪化した面もあった。
個別では、外食のマクドナルドや日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などが買われた。石油のシェブロンも高かった。半面、映画・娯楽のウォルト・ディズニーと航空機のボーイングは下落。顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップルといったハイテク株も安かった。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続落した。前日比166.985ポイント(1.23%)安の1万3407.234で終えた。電気自動車(EV)のテスラや画像処理半導体のエヌビディアが下落。アナリストの投資判断引き下げが伝わった動画配信のネットフリックスも売られた。