米国株、ダウ反発し52ドル高 CPI受け追加利上げへの警戒和らぐ ナスダックも反発

米国株、ダウ反発し52ドル高 CPI受け追加利上げへの警戒和らぐ ナスダックも反発

米国・欧州株概況

2023年8月11日 5:43



【NQNニューヨーク=稲場三奈】10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶり反発し、前日比52ドル79セント(0.2%)高の3万5176ドル15セントで終えた。朝発表の7月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比の伸び率が市場予想を下回った。米連邦準備理事会(FRB)による追加利上げへの警戒が和らぎ、株買いを誘った。ダウ平均の上昇幅は一時450ドルを超えたが、午後に上げ幅を縮めた。

7月の米CPIの上昇率は、エネルギー・食品を除くコアが前年同月比4.7%と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(4.8%)を下回った。市場では「(FRBのインフレ目標である)2%にはまだ遠いものの、ディスインフレ(インフレ沈静化)の傾向が強まっており、投資家心理がある程度改善したようだ」(マーフィー・アンド・シルヴェスト・ウェルス・マネジメントのポール・ノルティ氏)との受け止めがあった。

10日発表の週間の新規失業保険申請件数は24万8000人と、市場予想(23万人)以上だった。労働需給の逼迫が和らぎつつあるとの見方もFRBの追加利上げ観測の後退につながり、株買いが入った。

買い一巡後は上げ幅を縮めた。午後に米財務省が発表した30年物国債入札の結果が「低調」と受け止められ、米債券市場では長期金利が上昇。相対的な割高感が意識された高PER(株価収益率)のハイテク株を中心に売りが広がった。物価の高止まりで、FRBが利上げを停止した後も政策金利を高い水準にとどめるとの見方は根強く、積極的な株買いにつながらなかった面もある。「高インフレがくすぶる限りは利上げ懸念も残り続ける」(ノルティ氏)との声も聞かれた。

映画・娯楽のウォルト・ディズニーが5%高で終えた。9日夕発表の2023年4~6月期決算で1株利益が市場予想を上回った。アナリストからは動画配信事業などに対して前向きな評価が相次ぎ、ダウ平均を支えた。化学のダウや半導体のインテル、工業製品・事務用品のスリーエムなども買われた。半面、金融のゴールドマン・サックスと製薬のメルクは売られた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶり反発した。前日比15.970ポイント(0.1%)高の1万3737.986で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや交流サイトのメタ・プラットフォームズなどが上昇した。

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