【宇津見義広選手】名門ヨネクラジムで育てられて。動物を保護する一面も。優しきベテランボクサー
宇津見義広選手ってどんな人？
★日本バンタム級8位
所属：ワタナベジム
生年月日：1984年3月1日 (40歳)
身長：167cm
出身：東京都荒川区
デビュー：2004年9月21日
通算成績：34戦17勝(10KO)11敗(2KO)6分
スタンス：オーソドックス
「え？」急に決まった初のタイトルマッチ。デビュー20年目でつかんだチャンスな次戦。
――今回の試合が決まった時はどのようなお気持ちでしたか？
2ヶ月程前に急に試合の話を聞いて、「え？」と思いました。
身体の面で不安に思う部分があったので「1日考えさせてほしい」と担当の太田トレーナーに伝えたんです。でも「もう2度とこないかもしれないチャンスだぞ」と太田トレーナーに言ってもらえて引き受けることを決意しました。試合に対して怖がっていることをトレーナーが見透かしていたんだと思います。初のタイトルマッチの機会がこんな急にくるのかと驚いたと同時にプレッシャーも感じましたね。
――今回対戦する増田陸選手（帝拳）の印象をお聞きしても良いですか？
「強い」という一言がぴったりの選手ですよね。
でも、勝てない選手じゃないと思っているんです。隙が絶対にあるはずなので、そこを突いていきたいですね。僕は挑戦者なので、判定まで持ち込むのではなく倒して勝たないと意味がないと思っています。
――倒して勝つための特別なトレーニングは何をされていますか？
強打でダメージを与える練習をしています。
太田トレーナーがトレーニングメニューを色々考えてくださっていて、次戦に向けてどんどんメニューが増えているんです。その中でも今回は踏み込みが大事だと思うので、踏み込みの強化トレーニングをしています。
――トレーナーを信頼されているんですね。同じジムメイトからの反応はありましたか？
富施（富施郁哉選手）は増田選手と過去に2戦もしているので、色々とアドバイスをもらっていますね。対戦した人にしか分からないところもあると思うので、頼りになります。
久保春平選手（パンチアウト）VS 宇津見義広選手（ワタナベ）
出典：ボクシングモバイル
人生の転機①"熱くなれるもの"を求めて。畑山の世界戦を観てヨネクラジムの門を叩いた15歳
1つ目の転機は、ボクシング始めたことですね。
15歳くらいの時に熱くなれる何かを探していたんです。
ちょうどその時に畑山隆則さんが初めて世界王者になった試合（1998年9月5日 WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ@両国国技館）を観て刺激を受けたことがきっかけでしたね。試合の内容まではハッキリ覚えていないんですけど…。相手選手は韓国の崔龍洙選手だったのですが、試合後に顔がボコボコになっている2人が笑顔で讃え合っている様子を見て「なんて素晴らしいスポーツなんだ」と思ったことは忘れられないです。
自分は才能があるわけではないので、たくさん努力して強くなりたいと思って本気で取り組める環境を探しました。
でも通っている高校にはボクシング部はなかったし、部活も楽しくやるような活動の内容だったので、高校から一番近いヨネクラボクシングジムに通い始めました。
――覚悟を決めて入門されたんですね！ヨネクラジムでの印象的なエピソードはありますか？
練習の時間帯が4つに分かれていて、練習開始時間になったら私語は禁止でピリついていました。練習時間に少しでも遅れたら入室できなかったり、途中退出も許されなかったり、全員ボクシングへの集中力が高かったですね。さっき話した同じジムメイトの富施選手と中川選手（中川公弘選手）は、ヨネクラジムから一緒なんですよ。
他にも色々な選手と関わってきましたけど、米倉会長に一番お世話になりましたね。入門したてから可愛がってもらっていたので、10年前に結婚した時も結婚式に招待させていただいたんです。乾杯の音頭を会長にお願いしたんですが、「こいつはもっとできるはずなのに、手を抜く！」と説教が始まって…（笑）参列者からは「愛されているね」と茶化されて、一番印象に残ってる出来事ですね。
ヨネクラジムに入ってから、今まで出会ってこなかったタイプの人達とたくさん出会えたことが自分の中で大きいなと思います。今、応援してくれている人達もボクシングを始めていなかったら出会っていないので、感慨深いです。
出典：本人ご提供
人生の転機②結婚。「まともな社会人になれた」
2つ目は、結婚したことですね。
1人だけの生活ではなくなったので、部屋の掃除とか規律を求められるようになって、やっとまともな社会人になれたなと思います。
元々、自分に甘いタイプだったので、その癖で自分を甘やかそうとすると妻が律してくれるんです。そのおかげで、仕事の後片付けとか部屋の掃除とか今までは「後でやろう」と思っていたことも「今のうちに片付けよう」とすぐ動くようになりました。
結婚をしたら引退する選手も多いと思うんですけど、妻がボクシングについて色々と受け入れてくれてボクシングを続けられる有難みも改めて感じましたね。
出典：本人ご提供
人生の転機③今回の試合が決まったこと。「勝ったらもっと強い選手とやれる」
3つ目は、今回の試合が正式に決まったことですね。
2ヶ月前に試合の話を引き受けてから公表まで期間があいていて、「本当にあるのかな？」と現実味があまりなかったんです。でも公表されて、一気に緊張感が出て、身が引き締まりました。
身が引き締まったと同時に「公表されて緊張しだしたってことは今までは覚悟が足りていなかったんだ」と気付いてしまって…。このままだと絶対に勝てないと一気にスイッチが入って、この試合に全てを賭けようと思いました。
――覚悟のスイッチが入ってからは気持ち面でも変化はありましたか？
ありましたね。公表前は、「負けたら引退かな？」と後ろ向きな考えが多かったんですけど、スイッチが入ってから「勝ったらその次も見えてくるぞ！」「もっと強い相手とやれるかもしれない！」とワクワクの気持ちの方がでてきましたね。増田選手はWBAのランキングにも入っている選手なので、勝ったら”世界”という大きな舞台も夢ではないのかなと思うと興奮しますね。
――今回の試合を通してビジョンも変わりますね！先日新たにWBA世界王者に輝いた堤聖也選手（角海老宝石）は元ジムメイトですよね？
そうなんです。井上拓真選手（大橋）とのタイトルマッチ、刺激的でしたね。良い試合だったので、ワタナベボクシングジムも試合後活気づいています。それくらい大勢のモチベーションに繋がったと思いますし、最高のボクサーだと思います。良いエネルギーをもらえました。
久保春平選手（パンチアウト）VS 宇津見義広選手（ワタナベ）
出典：ボクシングモバイル
犬1匹、ウサギ2匹、チンチラ2匹に囲まれて。動物のためならなんでもしたい"引き取り手"としての一面も
――インスタグラムに動物の写真を沢山投稿されていますよね。動物がお好きなんですか？
そうなんです。ウサギを2匹、チンチラを2匹、犬を1匹飼っています。ほとんどが保護団体から引き取った動物たちですね。ウサギが8匹いた時期とかもあって、我が家が動物に支配されつつあります（笑）
――癒される空間ですね。保護しようと思ったきっかけは何だったんでしょうか？
元々、動物虐待とかのニュースが流れるたびに心が痛んでいて。里親募集の情報などを目にしてしまうと居ても立っても居られない気持ちになってしまうんですよね。今一緒に住んでる保護犬も殺処分のカウントダウンをSNSで見て「僕が引き取らないと処分されちゃうんだ」と思って奥さんと相談して引き取りに行きました。
保護犬なので正確な年齢が分からないんですけど、多分10歳くらいの子で弱ってきているので余生は我が家でゆっくり過ごしてほしいなと思っています。
――ウサギとチンチラも保護施設から引き取ったんですか？
そうですね。チンチラは、奥さんが大好きで1匹既に飼っていたんですけどもう1匹は保護施設から我が家に来てもらいました。
ウサギは、大きくなりすぎて売れないからという理由で無料で引き取り手を探している所があって「可哀想だな」と思ってすぐに引き取りに行ったんです。保護した直後は懐かない様子でしたけど、今では僕のお腹の上や膝に乗っかってきてすごく可愛いです。動物ファーストで生きていますね（笑）
――動物を大事に思われている姿にグッときました…。他にご趣味などございますか？
ボクサーあるあるだと思いますけど…、食べ歩きですかね。甘い物が大好きで1人でケーキ屋さんに入ることもあります。お酒を飲まないので、その分甘い物を沢山食べますね。最近は、キルフェボンのケーキを食べて感激しました。ケーキの中だったら、ピスタチオや抹茶味が好きですね。
出典：本人ご提供
「ぼこぼこにされても勝ちに行く姿をみてほしい」今回の試合のポイント
――最後に、宇津見選手の試合を初めて観られる方へのアピールポイントを教えてください。
技術で劣っている選手がどのように勝つのかを注目してほしいですね。
勝負ごとに大切なものは何かといったら、気持ちだと思うので。
今まで評価されてきたことを活かしてぼこぼこにされても勝ちに行く姿を魅せたいです。
★U-NEXTでの視聴はこちらから
11月2日（土）17時30分配信開始
17時45分試合開始
https://video.unext.jp/freeword?query=WHO%27S+NEXT&lc=LIV0000006771