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一汁一菜の器

人は善意でも傷つくことがある。

以前、東日本大震災の支援活動で「一汁一菜の器」プロジェクトに参加したことがあった。
被災して食事の器さえもままならないことから、生きるための根幹である「食」で、少しでもサポートができたらという考えのもと、陶芸家などに器の提供をお願いしたプロジェクトだ。
仕様を統一した方が、今後の展開にもいいということから、皿・飯椀・汁椀・湯呑みの4点のセットになった。
当時それを紹介する私のブログ(ある組織内のサイトに掲載)を読んで、被災者の知人(同業者)から苦言を呈された。

彼曰く「被災者は一汁一菜だけで我慢しろということか」と。

おそらく、関係していた誰一人としてそういう考えは持っていなかったと思う。
苦言を呈した彼自身でさえ、本気でそう思ったわけではなかった気がすると、後日談として語っている。ただ、彼がそう感じてしまったことは事実だ。

人の世は難しいことで成り立っているようだ。
そういうこともあると、心のどこかで覚えておこうと思っている。






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dandysmile
読んでいただいてありがとうございます。 お志はこれからの糧にしたいと思います。