【詩】本性

押し隠してきた僕の正体 
あまりに醜悪で人様には
とても見せられた代物じゃない
押し殺してきた僕の本音
ごめんね ごめんねの悔恨に
全てを託す自慰行為の夜

のっぺりした大人とやらの顔に
更にのっぺりとした自分の顔を
押絵にしては安心を得た
僕はそんなケダモノじゃないと
言い訳を完遂した気がして安堵した

汚れた生き物、人間じゃない
もしそうだとすればどんなにマシか
そうして他人の描いた妄想の中に
自分の戯画を見出して安住した

でも僕はやっぱり僕だった
欺瞞を受け入れて生きていけるほど
大人じゃなかったんだ
まともな人がまともでいられるために
まともに受け入れられる世界は
僕のものじゃなかった

切って嬲って煮て剥いで
そんなものでは殺せなかった
本性が今復讐を果たす
身を任せては身を滅ぼす
そんな本性が我が身を蝕む

多様性には無視されて
LGBTにすら入れてもらえない
愛情の墓場に埋葬されるための
僕の倒錯が抹殺されますように
どうか実を結びませんように


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