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KADOKAWA「横溝正史ミステリ&ホラー大賞」 要点まとめ

注意

KADOKAWA全体に発生しているネット障害の影響があり、昨年受賞作品の選評などが消えてしまっているので、情報が少ないです。ご了承ください。

参考にさせていただいた記事


要点

  • 1980年(昭和55年)、探偵小説作家の横溝正史にちなんでミステリ作家を発掘するために設けられた。

  • 大賞受賞者には、金田一耕助像と副賞として300万円が、優秀賞には30万円がが授与される。

  • 読者賞の制度は日本ホラー小説大賞から引き継がれ、最終候補作の中から有志の書店員からなるモニター審査員により選考される。

  • 第43回よりカクヨムからの応募が可能になり、併せてカクヨム賞が新設された。最終候補作がカクヨムに掲載され、読者の投票により選考される。受賞者には「iPad Pro 12.9 inch Wi-Fi 256GB+Apple Magic Keyboard」が授与される。


応募要項

KADOKAWAのサイトが落ちているので、下記公募サイト様を参照。
情報は2024/1/5時点のもの。

募集内容
広義のミステリ小説。または、広義のホラー小説。 ただし、日本語で書かれた未発表のオリジナル作品に限ります。

作品規定
原稿枚数
1枚あたり40字×40行で換算して、75枚以上150枚以内
 
手書き原稿不可 (400字詰め原稿用紙換算で、300枚以上600枚以内)
●原稿規定
応募原稿は、テンプレートを使用し、下記の要領でまとめてください。
A:郵送応募の場合
①原稿扉  テンプレートを用いてください。  
タイトルとそのよみがな、著者名(ペンネーム)とそのよみがなを記入したもの。
②原稿本文  テンプレートを用いてください。  
原稿サイズ…A4、横置き  原稿書式…40字×40行 縦組(原稿用紙型のマス目等の使用は不可)  ファイル形式…ダウンロードしたWordテンプレートを用いてください。(doc、docx、docm)
③あらすじ  テンプレートを用いてください。  
1200~2000字(40字×30~50行)にまとめた、物語の結末に到るまでのあらすじ
④応募者情報  テンプレートを用いてください。  
氏名(本名)とそのよみがな、著者名(ペンネーム)とそのよみがな、生年月日、応募時点での年齢、郵便番号、住所、電話番号、メールアドレス、職業、経歴、文学賞応募歴、応募作品タイトルとそのよみがな。
*郵送応募の場合、印刷原稿は末尾に「了」の字を記し、右上をダブルクリップでとめてください。データがないものやひもやホチキスでとじるのは不可。感熱紙は字が読めなくなるので使用しないでください。

応募方法/応募先
●締切
・郵送での応募の場合:  2024年9月30日(当日消印有効)
・WEBからの応募の場合:  2024年9月30日23:59送信分まで
●応募方法 応募原稿は、以下の3つの方法で応募することができます。
※応募が完了した時点で、応募者は本応募要項を契約の内容とすることに同意したものとして取り扱われます。

A:郵送での応募 →テンプレートをダウンロードし、応募原稿①~④を『種類_タイトル_ぺンネーム』の名前で別のファイルとしてUSBまたはCD-R(1枚)に保存すること。
※この場合の種類は『①原稿扉』『②原稿本文』『③あらすじ』『④応募者情報』のことを指します。 プリントアウトした応募原稿①~④と共にUSBまたはCD-Rを必ず同封したうえで、以下の「応募宛先」まで送ってください。応募作品の投函をもって応募完了となります。
※上記形式以外の保存媒体は不可。
※誤ってDVD-ROMなどに保存しないよう注意してください。読み取りができません。
【応募宛先】
〒102-8552 東京都千代田区富士見2-13-12 株式会社KADOKAWA文芸・映像事業局「横溝正史ミステリ&ホラー大賞」係

B:Webからの応募
公式サイトの応募フォームから、応募することができます。 必要事項を入力しエントリーしたうえで、ダウンロードしたテンプレートを用いた応募原稿①~③をひとつにまとめてアップロードしてください。応募原稿①~③のアップロードを完了した時点で応募完了となります。 1度アップロードした作品の修正・削除、ファイルの差替えはできません。アップロード前によくご確認ください。

【応募フォーム】 下記URLより応募が可能です。
※2024年8月5日現在、ネット障害中。
 https://post.kadokawa.jp/award/yokomizo_mh/

C:Web小説投稿サイト『カクヨム』から応募
①タグづけ+あらすじ記入で応募できる!
②原稿枚数規定に更新あり! 10万字から応募可能に。
③大賞とカクヨム賞のW受賞も視野に!
カクヨム賞が初めて導入された第43回では『をんごく』が大賞とカクヨム賞の両方を受賞しました。

詳細情報
●対象
広義のミステリ小説。又は、広義のホラー小説。 ただし、日本語で書かれた未発表のオリジナル作品に限ります。応募作品はミステリとホラー、両方の要素を備えている必要はありません。逆に、明確にどちらのジャンルと区別できない作品でも応募可能です。

●原稿枚数
・応募受付期間の締切時点までに本文が10万字以上20万字以内であること。
小説設定の「紹介文」部分、もしくは第一話冒頭に1200~2000字にまとめた物語の結末に至るまでのあらすじが記載されていること。
・応募受付期間中に作品が完結していること。完結した作品には「完結済」にチェックをつけてください。
・既にカクヨム上で公開されている作品についても、小説作成画面から応募することが可能です。

●賞+賞金
●大賞:正賞 金田一耕助像 副賞 賞金300万円
応募作品の中から大賞にふさわしいと選考委員が判断した作品に授与されます。受賞作品は株式会社KADOKAWAより単行本として刊行されます。

●優秀賞(賞金30万円)
受賞作品は株式会社KADOKAWAより刊行される可能性があります。

●読者賞(賞金なし)
受賞作品は株式会社KADOKAWAより文庫として刊行されます。

●カクヨム賞(賞金なし)
受賞作品は株式会社KADOKAWAより刊行される可能性があります。

※該当作品が選出されない場合もあります。
※読者賞は、最終候補作品の中から、モニター審査員(全国の書店員のうち、モニター登録されている方)による選考結果を踏まえて選出されます。
※カクヨム賞は、最終候補作品の中から、『カクヨム』ユーザーの投票結果を踏まえて選出されます。
※賞金は、消費税込の金額であり、また、別途源泉所得税が徴収される場合があります。なお、消費税は、賞金支払時の税率が適用されます。

●応募方法
応募作品を、カクヨムの投稿画面より登録し、小説投稿ページにあるタグ欄に「第45回横溝正史ミステリ&ホラー大賞」(※「45」は半角数字、「&」は全角)のタグを入力することで応募完了となります。応募が完了した時点で、応募者は本応募要項を契約の内容とすることに同意したものとして取り扱われます。

※カクヨムから応募する場合は、カクヨムに会員登録していただく必要があります。
※応募方法に不備があった場合は選考の対象外となります。

●応募期間
〜2024年9月30日23:59

●選考方法
締切後、一次選考、二次選考を経て、最終候補作品を選出し、2025年4月頃(予定)に選考委員による選考会を開催、各賞を選出いたします。

●応募資格
年齢、プロ・アマを問いません。
※未成年の方は、保護者(法定代理人。以下同じ)にも本応募要項をお読みいただき、保護者の承諾を得たうえでご応募ください。応募完了の時点で、本応募要項を契約の内容とすることにつき、保護者の同意も得ているものとして取り扱われます。

●注意事項
・応募受付期間の終了後に作品の修正・更新を行う場合は、作品を公開した状態で行ってください。
・応募受付期間終了後であっても、応募作品を非公開にすると、当該作品は選考対象外となる場合があります。
・なお、応募受付期間終了後に作品を修正又は更新した場合、当該修正等の内容は選考対象外となります。
・1度投稿された作品の取消・削除を行うと、当該作品は選考対象外となる場合があります。
・他のコンテストに応募した作品は、選考対象外となります。
・すでに落選が確認されている作品、他の文学賞で選考中の作品、いずれも二重投稿にあたりますので、おそれいりますが本賞への応募はご遠慮ください。
・最終候補作品にノミネートされた場合には、弊社より、『カクヨム』登録のメールアドレス宛にご連絡を差し上げます。当該通知の記載内容に従い、必要事項をご連絡ください。
・所定の期日までにご連絡いただけない場合、ノミネートが取り消される場合があります。

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※応募について

現状、KADOKAWA系列サイト全体に発生しているネット障害が解消する見込みがない。
カクヨム内にお知らせすら出ていないので、コンテスト自体中止の可能性がある。
テンプレートダウンロードが必要なA、応募フォームが使えないBの方法で応募するのは難しいと思われる。
Cの『カクヨム』での応募が現実的か。『カクヨム』やWeb小説投稿サイトでの運用に慣れていない方は要注意。

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応募時の会員登録
不要

募集期間
~ 2024年9月30日(月)

応募資格
資格不問


●大賞(正賞 金田一耕助像 副賞 賞金300万円) 応募作品の中から大賞にふさわしいと選考委員が判断した作品に授与されます。 受賞作品は株式会社KADOKAWAより単行本として刊行されます。
●優秀賞(賞金30万円) 受賞作品は株式会社KADOKAWAより刊行される可能性があります。
●読者賞(賞金なし) 受賞作品は株式会社KADOKAWAより文庫として刊行されます。
●カクヨム賞(賞金なし) 受賞作品は株式会社KADOKAWAより刊行される可能性があります。
*該当作品が選出されない場合もあります。
*読者賞は、最終候補作品の中から、モニター審査員(全国の書店員のうち、モニター登録されている方)による選考結果を踏まえて選出されます。 *カクヨム賞は、最終候補作品の中から、『カクヨム』ユーザーの投票結果を踏まえて選出されます。
*賞金は、消費税込の金額であり、また、別途源泉所得税が徴収される場合があります。なお、消費税は、賞金支払時の税率が適用されます。

入選点数
10点未満

審査員
綾辻行人、有栖川有栖、黒川博行、辻村深月、米澤穂信(敬称略・50音順)

結果発表
・最終候補作品は、2025年2月頃に本サイト上で発表すると共に、『カクヨム』サイト上で公開させていただきます。
・結果は選考会終了後の2025年4月頃、サイト上で発表します。
・詳細はサイトおよび弊社刊行の電子雑誌「小説 野性時代」をご覧ください。
・授賞式は、2025年11月頃、開催予定です。

諸権利
詳細は主催者WEBサイトを参照 
※2024年8月5日現在、ネット障害中
https://awards.kadobun.jp/yokomizo/

▼横溝正史ミステリ&ホラー大賞 歴代受賞作

Wikipediaより 2019年分まで

北見 崇史「出航」

失踪した母を探して行きついたのは、動物の死骸が散乱し、血の匂いが充満した漁師町だったーー。第39回 横溝正史ミステリ&ホラー大賞優秀賞受賞、選考会時から賛否両論を巻き起こした問題作が遂に刊行!
禁断の書「根腐れ蜜柑」とは何か!?出奔した母を探し出すため、私は北国の漁師町へと向かった。そこは、動物の死骸があちらこちらに散逸し、生々しい匂いが一面に充満した町だった。犬猫の死骸だらけの窪地に落ち、奇妙な老人たちに助けられた私。彼らは、太古の昔に繁栄した種族の、魔術めいた技術が記された特殊な本を手に入れるために自分を助けたのだという。ようやく見つかった母は、血塗られた船を造っていた。私の恋人や妹たちは、母が造った船に次々と呑み込まれていきー。第39回横溝正史ミステリ&ホラー大賞優秀賞受賞作。

Rakutenブックス書籍ページより

滝川 さり「お孵り」

第39回横溝正史ミステリ&ホラー大賞〈読者賞〉受賞作!
結婚の挨拶のため、婚約者・乙瑠の故郷を訪れた佑二。そこは生まれ変わりの伝説がある村だった。やがて乙瑠は村で里帰り出産をすることになったが、子供は生まれ変わりを司る神として村に囚われてしまい!?

Amazon書籍ページより


原 浩「火喰鳥を、喰う」

全ては「死者の日記」から始まった。これは“怪異”か、或いは“事件”か。

選考委員、激賞!令和初の大賞受賞作!
「恐怖と謎がしっかりと絡んでいる。ミステリ&ホラー大賞にふさわしい」――有栖川有栖氏
「謎への引きこみ方が見事。読了後は心地よい酩酊感に襲われました」――辻村深月氏

信州で暮らす久喜雄司に起きた二つの出来事。ひとつは久喜家代々の墓石が、何者かによって破壊されたこと。もうひとつは、死者の日記が届いたことだった。久喜家に届けられた日記は、太平洋戦争末期に戦死した雄司の大伯父・久喜貞市の遺品で、そこには異様なほどの生への執着が記されていた。そして日記が届いた日を境に、久喜家の周辺では不可解な出来事が起こり始める。貞市と共に従軍し戦後復員した藤村の家の消失、日記を発見した新聞記者の狂乱、雄司の祖父・保の失踪。さらに日記には、誰も書いた覚えのない文章が出現していた。「ヒクイドリヲクウ ビミナリ」雄司は妻の夕里子とともに超常現象に造詣のある北斗総一郎に頼ることにするが……。 ミステリ&ホラーが見事に融合した新鋭、衝撃のデビュー作。

Amazon書籍ページより

阿泉 来堂「ナキメサマ」

二転三転する結末に、読者の支持No.1!!! 圧倒的恐怖のデビュー作

高校時代の初恋の相手・小夜子のルームメイトが、突然自宅に訪ねてきた。
音信不通になった小夜子を一緒に探して欲しいと言われ、倉坂尚人は
彼女の故郷、北海道・稲守村に向かう。
しかし彼女はとある儀式の巫女に選ばれすぐには会えないと言う。
しばらく村に滞在することになった尚人達は、神社を徘徊する異様な人影と遭遇。
更に人間業とは思えぬほど破壊された死体が次々と発見され……。
大どんでん返しの最恐ホラー、誕生!

Amazon書籍ページより


新名 智「虚魚(そらざかな)」

“体験した人が死ぬ怪談”を探す怪談師の三咲は、“呪いか祟りで死にたい”カナちゃんと暮らしている。幽霊や怪談、呪いや祟り、オカルトや超常現象。両親を事故で亡くした日から、三咲はそんなあやふやなものに頼って生きてきた。カナちゃんとふたりで本物の怪談を見つけ出し、その怪談で両親を事故死させた男を殺すことが、いまの三咲の目標だ。
ある日、「釣り上げた人が死んでしまう魚がいる」という噂を耳にした三咲は、その真偽を調べることにする。ある川の河口で似たような怪談がいくつも発生していることがわかり、ふたりはその発生源を求めて、怪異の川をたどっていく。“本物”の怪談に近づくうち、事情を抱えるふたりの関係にも変化がおとずれて――。
選考委員の絶賛を浴びた第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞<大賞>受賞作。

Amazon書籍ページより

秋津 朗「デジタルリセット」

許すのは5回まで。次は即リセット――。理想の環境を求めるその男は、自らの基準にそぐわない人間や動物を殺しては、別の土地で新たな人生を始める「リセット」を繰り返していた。
一方、フリープログラマーの相川譲治は、シングルマザーの姉親子の失踪に気付く。姉と同居していたはずの男の行方を追うが……。
デジタル社会に警鐘を鳴らすシリアルキラーが誕生! 第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞〈読者賞〉受賞作。

Amazon書籍ページより


鵺野 莉紗「君の教室が永遠の眠りにつくまで」

スクールホラー、クローズドタウン、百合ロマン。全ての読者を驚愕させる!

大嫌い、大好き。――だからお願い、地獄に落ちて。
二人の少女をめぐる、運命と戦慄の「百合」×「ホラー」

30年以上、正体不明の灰色の雲に頭上を覆われている北海道F町。この町に暮らす小学六年生の遠野葵は、同級生の落合紫子が無二の親友であり、また友情を超えた感情をも抱きながら幼い日々を幸福に暮らしていた。しかし、葵が犯した過ちがきっかけで、研究者をしている紫子の父のスキャンダルが暴かれる。紫子は町中からバッシングされ、学校でも激しいいじめに遭ってしまう。葵は謝罪すらできないまま、紫子は転校して町を去る。同じ頃、町では住人が相次ぎ失踪する事件が起き、新しい担任の狭間百合が学校にやってくる。百合は葵に「私はあなたの秘密も過ちも知っている。そして私だけがあなたを助けることができる」と告げる。その言葉に従い、葵は恐ろしい儀式に手を染める。やがてついに、葵たちは運命の日を迎えることになるのだが……。スクール・ホラー、クローズド・タウン、そして儚い百合ロマン。ミステリとホラー、それぞれの読者を驚愕させる、規格外の横溝正史ミステリ&ホラー大賞「優秀賞」受賞作。

Amazon書籍ページより

荒川 悠衛門「異形探偵メイとリズ 燃える影」

漫画家を目指す高校生の秋人(しゅうと)はある晩突然、不気味な「何か」に襲われる。直後、唯一の理解者の兄が行方不明に。兄を捜すべく訪れた奇妙な探偵事務所で秋人は、奇怪な存在「異形」を追っているという所員のメイとリズに出会う。リズの目には、秋人に取り憑く異形の影が映っていた。異形と兄の失踪、そしてリズたちが追うある人物。全てが繋がったとき、驚愕の展開を迎える! 第42回横溝正史ミステリ&ホラー大賞<読者賞>受賞作。

Amazon書籍ページより

北沢 陶「をんごく」

嫁さんは、死んでもまだこの世にうろついているんだよ――

大正時代末期、大阪船場。画家の壮一郎は、妻・倭子の死を受け入れられずにいた。
未練から巫女に降霊を頼んだがうまくいかず、「奥さんは普通の霊とは違う」と警告を受ける。
巫女の懸念は現実となり、壮一郎のもとに倭子が現われるが、その声や気配は歪なものであった。
倭子の霊について探る壮一郎は、顔のない存在「エリマキ」と出会う。
エリマキは死を自覚していない霊を喰って生きていると言い、
倭子の霊を狙うが、大勢の“何か”に阻まれてしまう。
壮一郎とエリマキは怪現象の謎を追ううち、忌まわしい事実に直面する――。

家に、死んだはずの妻がいる。
この世に留めるのは、未練か、呪いか。

選考委員満場一致、大絶賛!
第43回横溝正史ミステリ&ホラー大賞 史上初の三冠受賞作!

Amazon書籍ページより



▼KADOKAWA社が行っているほかの文学賞の直近回受賞作

角川春樹小説賞

第16回角川春樹小説賞
『真令和復元図』 桜田 光

電撃大賞

第30回電撃大賞
大賞
『魔女に首輪は付けられない』夢見大蛇之介(夢見夕利)
『竜胆の乙女 / わたしの中で永久に光る』 fudaraku
金賞
『歪み絶ちの殺人奴隷』 那西崇那
メディアワークス文庫賞
『残月ノ覚書 ―秦國博宝局心獣怪奇譚― 』羽洞はる彦
銀賞
『億千CRYSTAL』 長山久竜
『簡単なことだよ、愛しい人』柳之助
選考委員奨励賞
『Bloodstained Princess』 畑リンタロウ
『フィギュアのお医者さん』奈々宮熊財(芝宮青十)
『偽盲の君へ、不可視の僕より』にのまえあきら

小説 野性時代 新人賞

第15回〈小説 野性時代 新人賞〉
『海賊忍者』諏訪宗篤(すわ・むねあつ)
『みずもかえでも』関 かおる(せき・かおる)

角川文庫キャラクター小説大賞

第9回 角川文庫キャラクター小説大賞
『王は銀翅の夢を見る』佐木真紘


選考委員からのメッセージ

カクヨムより



受賞者コメント

北沢 陶さん

冒頭、主人公の壮一郎は関東大震災に巻き込まれ結婚1年余りで失った妻の霊を降ろしてもらうため、大阪は四天王寺の近くに住む巫女を訪れる。
亡くなった者と会話できると聞いていたのに、降りてきたはずの妻はなぜか、童歌を途切れ途切れに歌うばかり。巫女からは「奥さんの霊は降ろしにくい。気をつけなはれな」と忠告されるのだった……。
そこで語られる柔らかな大阪言葉や、巫女の口寄せ、古い童歌といった昔ながらの風習が息づく大正という時代。冒頭から読み手は、一気に物語の世界へ引き込まれてしまう。時代と街の空気に包まれながら。
「大正時代の大阪が活気あるおもしろい街だったんだというのをとある資料で知り、ストーリーやキャラクターより先にこの時代で小説を一本書いてみたくなって」と、北沢陶さん。

プロットは最後まで決まっていたけど、謎解きに入るちょっと難しいところでフェードアウトしてしまい。でも、これは絶対におもしろくなるから完成させてくれ、と3年4カ月、家族にせがまれて。そんなに言うんやったら、と重い腰を上げて後半を書いたんです
そう語るように、後半では物語の途中途中にちりばめるように現れた謎が、少しずつ露わになっていく。と同時に、船場(せんば)の商家に生まれ育った壮一郎に近所の医者の娘であった妻の倭子、口寄せの巫女や人ならぬものーーそれぞれが血肉をまとい存在感を増していくのだ。
そこには凄まじい描写も挟まれているが、底にあるのはじんわり染み込んでくる怖さ。生きている人間の、この世のものでないものの、さまざまな思いが絡みあい、人間とは哀しい生き物なんだなという余韻が残る。
そんな物語を象徴するタイトルの「をんごく」は、元は船場の子どもたちが盂蘭盆(うらぼん)に行っていた風習で、その様子が描かれた絵画があるのだという。
木谷千種の大正期の作品なのですが、大阪中之島美術館の展覧会で、先日ようやくお礼を言うことができました。タイトル借りました!と。本来は夕方に子どもたちがぞろぞろ歩いていくのを年上のお姉さんらが紅提灯で足元を照らし、大人たちがその行列を眺めるという、風情ある行事だったようで。それを恐ろしいものに変えてしまった……申し訳ない気持ちです」

鵺野 莉紗さん

野心的なエンターテインメントの書き手を数多く輩出している横溝正史ミステリ&ホラー大賞。同賞の第42回〈優秀賞〉に輝いた『君の教室が永遠の眠りにつくまで』はホラー、ミステリー、青春小説などの要素が絶妙なバランスで共存した、魅力的な長編だ。作者の鵺野さんはこの作品に、自分が好きなものの要素を詰め込んだという。

小説を書き始めたのは大学時代です。学内のコンテストへの応募がきっかけだったんですが、以来書くことが楽しくなって、時々新人賞に応募してきました。以前からホラー小説やホラーゲームが好きで、謎解き要素のある物語も大好き。そこに憧れである服部まゆみ先生や嶽本野ばら先生、桜庭一樹先生などの雰囲気も融合させて、新しいエンターテインメントを作り出せたらと思っていました

 クラスメイトとは適度な距離感を保っている葵と、ある事件をきっかけにいじめの標的となってしまった紫子。お互いの弱さを見せ合ったことで二人の距離は縮まり、親しく言葉を交わすようになる。友情とも恋愛感情とも名づけがたい少女たちの密やかで濃密な関係性が、この物語のひとつの軸になっている。

「二人の関係は〝百合〟っぽさを意識しています。昔から百合テイストのある作品が好きで、これまで書いてきた小説でも女性同士の関係をよく扱ってきました。葵と紫子のキャラクターは、異なる性格の二人が親しくなるというストーリーから出てきたもので、具体的なモデルは特にいません。どちらかというとわたしは優柔不断な葵のタイプなので、正反対の紫子は書いていて楽しかったですね。紫子みたいに自分の道をひた走るタイプには憧れがあります」
「子どもの頃に受けた傷は、大人になっても消えないですよね。それが後の人生を決めてしまったりもする。子どもたちの抱える痛みや苦しみは、この物語のひとつの核になっています。子どもって大人が思うよりずっと残酷で、容赦がないんです。学童保育でアルバイトをしていたことがあるんですが、トラブルを抱えた子たちがナイフのような鋭い言葉で傷つけ合うのを目の当たりにしました。子どものリアルな感情を描くうえで、あの経験が役に立っています」

 葵たちの暮らす不思子町は、約30年前から灰色の雲に覆われている奇妙な町だ。その町では近頃、行方不明者が相次いでいた。葵のクラスでは担任の石山先生が突然入院、代わりに狭間百合という新しい先生がやってくる。葵の周囲で、じわじわと日常が壊れ始める。この流れがとても恐ろしい。
 そして運命の日。6年2組の教室でとてつもない事件が起こる。前半のクライマックスにあたるこのシーンで、ある人物から意外な事実が明かされ、それまで見てきた世界はがらりと姿を変える。このスケールの大きい仕掛けが、本作のひとつの読みどころだ。

2回読み返すことで、面白さが変わるような作品にしたいと思っていました。できれば読みおえた後、また最初に戻って第1部を読んでみてほしいです。仕掛けを成り立たせるために、事前にプロットを作っていたんですが、書いているとどうしても手を入れたい部分が出てきます。そこを直すと全体的に手を入れなければならなくなるので苦労しました」
「応募原稿では犯人がすぐに分かってしまうような書き方をしていたんですが、選考委員の先生方のご指摘を受けて、手がかりの置き方などを修正しました。担当編集さんとやりとりする中で、ミステリーはこう書けばいいというコツが分かってきて、そこからは改稿が楽しくなりました。おかげでミステリーとしての精度とリーダビリティが上がったと思います」

 悲痛な事件の底にあるのは〝子どもと大人の差はどこにあるのか〟というテーマだ。葵、紫子、同級生たち。そして教師や親などかれらを取り巻く大人たち。さまざまなキャラクターを通して、このテーマを多角的に描いた人間ドラマも読みどころである。

「二十代の頃、友だちと話していて違和感を覚えることがあったんです。自分は子どもの頃と変わらない精神状態なのに、まわりは立派な大人になっているなって。そうした実年齢と精神年齢のずれも、この物語で描きたかったことのひとつですね。見た目は大人でも心が過去に囚われていたら、終わらない子ども時代を生きていることになるのかもしれません」

 町を覆う異常現象、相次ぐ行方不明者、いじめ、恐ろしい儀式、そして教室での事件―。こうした要素からなる本作は、紛れもなくホラーでありミステリーだ。しかし究極的には、数奇な運命にもてあそばれた二人の少女の関係性を描いた物語、といえるのではないだろうか。プロローグと対応した美しくも切ないエピローグを読んでそう感じた。

「わたしもエピローグはとても気に入っています。応募原稿ではもっと救われない結末だったんですが、読者にネガティブなメッセージを与えるのもよくないなと思って。救いの感じられるエピローグに書き直しました。些細なすれ違いによって取り返しのつかない事態を招いた葵と紫子が、最終的にどうなるのか。極限まで高ぶらせた感情がどこに向かうかを、読んで確かめてもらえると嬉しいです」

ずっと書き続けることが目標ですね。万人受けを目指すのではなく、わたしの書く物語が大好きだと言ってくれる読者がいることを信じて、これからも書き続けたいと思っています」

新名智さん

綾辻:最近のミステリって、小説でも映画でも、得たい情報があると何でもまずネットで検索しますね。で、どうかすると検索だけで答えに到達したりもする。いくらそういう時代であるとはいえ、ワンパターンで鼻白んでしまうこともままあるんですが、『虚魚』はむしろ実地調査のほうに軸足が置かれています。ネットで得られた情報と、現地で実際に仕入れた情報が組み合わさって、主人公たちを先へ先へと導いていく。
新名:そこは意図したわけではありませんが、怪談や都市伝説は口コミが重要な手がかりになるものなので、自然とネットと現地調査を組み合わせた形になりました
綾辻:こういう怪談のルーツを探る物語は、着地が一番難しいんですよね。いくら途中が面白くても、最後に凡庸な怨霊のたぐいが出てきたり、ありがちな土俗信仰に突き当たったりすると一気に興ざめしてしまう。新名さんはそこをたいへん巧みに処理されていて、非常に感心しました。物語の後半では、良い案配でミステリ的な仕掛けも効いてくるし。有栖川有栖さんは選考会で、「これは本格ミステリだ」という切り口で論じておられましたね。

新名:ミステリを書いていた時期が長いので、何かしら仕掛けを入れたくなってしまうんです。
新名:もともと怪談って何だろうという問題意識は、以前から自分の中にあったような気がします。誰かが死ぬとか不幸になるといったセンシティブな話題を、娯楽として扱っていることに対する違和感があって。怪談をモチーフにするからには、その点に触れておかなければならないと思っていました。

綾辻:正解でしたね。こういうのが読みたかったんだ、と喜ぶ読者はきっと多いでしょう。怪談や都市伝説はもともとお好きなんでしょうか。
新名:好きですね。おそらく好きになったきっかけが、小野不由美さんの『残穢』なんです。『残穢』が面白かったので同じような作品を探したのですが、意外と書かれてはいなかった。だったら自分で書いてみよう、というのが『虚魚』執筆の大きな動機なんです。
綾辻:おやまあ、そうだったんですか(笑)。小野さんの『残穢』は、フェイクドキュメンタリーの手法を用いながら長編怪談を書こう、という試みでした。長編で怪談を面白く読ませるのは大変だから、何かしらの工夫が必要になるんですよね。『虚魚』は『残穢』を思わせる部分がありつつ、また違ったアプローチで長編怪談に挑んで、成功を収めています。しかし『残穢』が原点でしたか。小野さんが聞いたら喜びますよ。

傾向について

※上記記事より
――ミステリー専門の賞か、それともミステリーも可という賞か迷ったときは?

書いた作品が本格推理か、それとも広義のミステリーなのかによります。トリックを重視する賞としては、「鮎川哲也賞」「江戸川乱歩賞」、それから「横溝正史ミステリ大賞」「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」が挙げられます。本格推理ならこれらの賞がいい。

――ミステリーの賞でも違いがあるものなのですね。

そうです。「江戸川乱歩賞」なら社会派ミステリーで、しかも現実にありそうな斬新なトリックが求められます。「鮎川哲也賞」はトリックの斬新さ第一で、現実に起こり得るかどうかは重要視されない。マニアックさが必要なため、かなり器用な人しか応募せず、そのため倍率は低いのに、受賞後の生存率は高い。

※2006年06月16日 横溝正史ミステリ大賞(統合前)に関する記事より

【受賞の傾向と対策】
横溝正史の名前が冠された、重い新人賞です。

募集ジャンルはミステリーですが、いわゆる探偵役が登場し謎を解くだけではなく、サスペンス、冒険もの、社会派とさまざまな作品が受賞しています。本格ミステリももちろん含まれます。作品に力があれば、SFでもOKという懐の深い賞。

一時期、横溝正史コードのミステリーが受賞する傾向にありましたが、現在はエンターテインメントとしてレベルの高いミステリーが選ばれています。

現代的なガジェット、ノワール小説、猟奇的殺人事件など、多種多彩な題材の受賞作が毎回、出ています。特に第34回(2014年)は『人間の顔は食べづらい』という衝撃的なタイトルと内容のミステリーが最終選考に残り、受賞しませんでしたが、単行本化されています。横溝正史ミステリ大賞では珍しい。
力強いリーダビリティ、優れた描写力、読ませる人間ドラマなど、小説の技術力の高さも要求されます。
ミステリー系の新人賞のなかでは競争力が低いので、狙い目ですが、その筆力に見合うデビュー後の活躍がなかなか見られないのが残念です。

※2004年9月4日 横溝正史ミステリ大賞(統合前)に関する記事より

ジャンル
本格ミステリ―△ 社会派―○ 広義ミステリ―○ ハードボイルド―○
賞の概要
1981年に横溝正史(まだ、当時は生存)を記念して作られた賞。かなりの長い歴史を誇るのだが、意外と大した作品が出ていない。しかし、最近はちょっと話題になり気味。
傾向と対策
長年低迷していましたが、九十年代後半になると選考委員を変えたりして、色々なジャンルの作品が出始めている。
やはり、大賞を狙うならばハードボイルドやノワールがオススメ。小川勝己のような鬼畜ノワールで取れるような賞はなかなかないで、 この線で狙いたい人は大変オススメの賞です。特に、オススメしたいのはハードボイルド系。柴田よしきが出たりと、なかなかハードボイルドを 応募できる賞はないので、ハードボイルド系の小説で一案を持っている人は是非応募してみるべきだと思います。
本格ミステリは、鳥飼否宇などのように出てはいるんですが、ほとんどが佳作どまり。やはり、大賞を狙うなら ハードボイルドやノワールがオススメ。ちなみに、テレビ東京賞が併設されているので、旅情ミステリなんかも意外に…(笑)

まとめ

この賞、本当に情報がなくて調べるのが苦労する。
ただ統合前の「横溝正史ミステリ大賞」に関しての情報、当時から審査員を綾辻行人氏が長年務めている点、各審査員の執筆ジャンルを鑑みると、ミステリ>>>ホラーという傾向が大きい賞であると予想できる。

【各審査員の作風について】

  • 綾辻行人……『館シリーズ』『Another』など、新本格ミステリと呼ばれる、トリックや謎解き・頭脳派名探偵の活躍などを主眼とするジャンル、専門のジャンルとしては成立していない広義の探偵小説(怪奇、幻想、空想科学、冒険、犯罪、魔境など)を得意とする。なお、本格ミステリは日本独自の概念・呼称で、英語でのpuzzlerやpuzzle storyあるいはclassical whodunitなどと内容的には類似しているといわれている。

  • 有栖川有栖……『双頭の悪魔』などの新本格ミステリ。作風は、前期エラリー・クイーンの影響が色濃く、「学生アリス」シリーズではすべての長編作品に「読者への挑戦」が挿入されている。作品に登場する探偵は、「学生アリス」シリーズにおける英都大学推理小説研究会の部長・江神二郎と、「作家アリス」シリーズにおける臨床犯罪学者・火村英生の二人。どちらのシリーズにもワトソン役として有栖川有栖が登場する。この2シリーズは互いにパラレルな世界であり、「学生アリス」に登場する有栖川有栖が「作家アリス」シリーズを執筆、「作家アリス」に登場する有栖川有栖が「学生アリス」シリーズを執筆しているという設定になっている。作家アリスは火村とともに介入した事件を自分の作品に書いたりすることのない人物として警察から信用されている。

  • 黒川博行……「悪逆」や「波紋」など、警察小説やハードボイルド小説。綿密な取材に基づいたリアリティある文章が特徴で、著者自身もその点を重要視している。元教師、映画、ギャンブル好き。

  • 辻村深月……『ツナグ』、『かがみの孤城』等のミステリ、推理小説。若者の微妙な心情、思春期独特の揺れ動く気持ちを捉えた透明感のある文章が特徴。また、最終的に(紆余曲折で登場人物の不幸があっても)アンハッピーエンドの作品はほとんどない。ちなみに綾辻行人氏の大ファンであり、ゲームでは「女神転生」シリーズのファン。

  • 米澤穂信……『〈古典部〉シリーズ』『折れた竜骨』『満願』『黒牢城』等、ミステリ、推理小説、学園小説、ライトノベルと幅広い。初期は推理小説の中でも青春ミステリと呼ばれるジャンルにおいて、「日常の謎」を扱った作品を主に発表していた。作風が地味だという声もあったが、その端正な文体と登場人物に対する巧みなキャラクター設定により、特に若い世代に支持を広げている。米澤は自著について、これらの作品群に通底するテーマは「全能感」であり、思春期における全能感の揺れ動き、変化していく過程を書いてきたと述べている。このテーマは8冊目となる長編『ボトルネック』で一次決算をむかえることになる。9冊目である新本格へのオマージュをテーマにした長編『インシテミル』を皮切りに、『儚い羊たちの祝宴』『追想五断章』など青春小説の枠を外した作品も発表するようになった。

※敬称略
※情報元はWikipedia

上記をざっと見ても、いわゆるホラー小説をメインにしている審査員が存在しないことから、この文学賞はミステリの賞だと言えるだろう。

新名智氏と綾辻行人氏の対談記事 でも話題になっているが、新本格ミステリ——怪奇、幻想、空想科学といった要素を持ちつつ、トリックを効かせた内容、推理小説であることが重要である。


講評指摘傾向

選評が有料記事にしかないので、今回はお休み。


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