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#6 とんでも刑法学入門

Q.昔話に登場する金太郎は、真っ赤な腹かけのみを着用し、まさかりを担いで外に出ますが、これらは刑法174条公然わいせつ及び銃刀法違反に該当しないのでしょうか?


A.金太郎のスタイルを現代の日本法で考えると、確かに刑法や銃刀法との関係が気になるところですが、以下のように分析できます。


1. 公然わいせつ罪(刑法第174条)

「公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは禁錮又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」

 金太郎は真っ赤な腹かけ一枚で山中を駆け回っていますが、「わいせつ」とは社会通念上、性欲を刺激するものとされています。
 腹かけは下半身を覆っていないため一見危ういですが、当時の時代背景や文脈からすれば「わいせつ」とは見なされにくいでしょう。現代で同様の格好をすれば問題になりそうですが、昔話の設定としては、単なる伝統的な装束やキャラクター性として扱われるでしょう。

結論:金太郎の服装は、公然わいせつ罪には問われない可能性が高いです。

2. 銃刀法違反(銃砲刀剣類所持等取締法)

「刃渡り15cm以上の刀剣類を正当な理由なく携帯してはならない。」

 金太郎が担いでいる**「まさかり」(鉞・大きな斧)**は、刃渡りが15cmを超えるとみなされる可能性が高いです。
 しかし、銃刀法では**「業務その他正当な理由がある場合」は所持が認められています**。金太郎は「山で生活し、動物と相撲をとったりする山育ちの少年」ですので、まさかりは彼の生活必需品・仕事道具と解釈されるでしょう。

結論:現代の感覚では「持ち歩くのはアウト」ですが、金太郎の場合は山仕事のための正当な理由があるとされ、銃刀法違反には問われにくいでしょう。


総合的に

 金太郎は昔話のキャラクターであり、時代背景・文化・設定を考慮すれば、現代の刑法をそのまま適用するのは難しいです。
 しかし、現代の街中で金太郎スタイルでまさかりを担いで歩いていたら、かなりの確率で職務質問され、場合によっては公然わいせつや銃刀法違反を問われる可能性もあるでしょう。

金太郎、現代ではなかなか生きづらそうですね。

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