美しき生き物の告白
その人の好きな動物は、その人の人間性から成る一種の性格だと思う。恐竜だから、爬虫類だから、猛禽類だからどうという訳ではない。
ただその人にとって好きな動物はその人のどこか根源的な大事な部分、それこそ恐竜の牙を形成する遺伝子みたいなものだと思う。
今でこそ形式な有り触れた質問の「好きな動物」だけど、それくらいでいいの。その場しのぎの回答だって私は真に受けるわ。
その回答を選ぶのも貴方自身なんだから、本能ってそういう事でしょう。
私はずっと考えても分からないの
生き物は大好きよ。蚊だって目の前で潰されると凄く悲しい気持ちになるし、黒猫が横切ったって不吉だなんて思わない。
どうやら私の好きな動物は産まれる前に絶滅しちゃったみたい。
「君は知ってるかい。かつて人間の性器にはチンパンジーや猫のように小さなトゲが付いていたんだよ。」
彼は重厚感のある目で私を見る。
「君の愛は僕を傷つける。酔った時なんて僕は君の愛を信じられなくなる程だ。でもそんなトゲが、君の魅力で僕はそんなトゲに日々掻き立てられているんだ。」
私のトゲ
「でもそれってオスの性器の話でしょう。」
彼は低く笑っていた。
絶滅したんじゃなくて、進化の途中で失ってしまったのかもしれない。私の喪失感は彼で丸くなっていた。