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曼珠沙華と鬼滅の刃

映画が大ヒットですね。

本日は鬼滅の刃について、あの鬼舞辻無惨を鬼にしたきっかけとなった青い彼岸花について考察してみます。

ヒガンバナ(彼岸花)の別名は曼珠沙華です。

まず曼珠沙華とはどのような花なのかを説明しましょう。曼珠沙華は、秋の彼岸に符節を合わせるように、田圃の畦や土手を真っ赤に彩ります。

花は高さ30㌢から50㌢の真っ直ぐに立つ茎の天辺に咲き、披針形の6つの花被片が輪状になっています。曼珠沙華の名前は法華経の「摩訶曼陀羅曼珠沙華」から付いたと言われ、梵語で「天上界の花」「赤い花」を意味します。

 日本の秋を代表する花で古い詩歌や映画のタイトルにも登場します。古代に稲作とともに中国から渡来したといわれ、万葉集に出てくる「壱師の花」は彼岸花の古名とされています。

「道の辺の 壱師の花の 灼然く 人皆知りぬ 我が恋妻は(みちのへの いちしのはなの いちしろく ひとみなしりぬ あがこいつまは)」

曼珠沙華はほかに名前が千以上もあるとされ、中には「死人花」「幽霊花」「天涯花」といった気味の悪い名前のものまであります。

葉は細長くて厚みがあり、花が咲いている間は葉は出てきません。花が終わった後、地下の鱗茎から群生してそのまま寒い冬を越して翌年3月ごろに枯れます。

つまり、人の目に触れるのは花だけ、葉だけ、と別々にしか姿を見せないのです。花と葉がお互いに姿を見ることが無く、生えては枯れてすれ違っています。このことから花言葉を「情熱」「独立」「再会」「あきらめ」と言われています。韓国では、この彼岸花の成長を「相思華」と名付けました。

多くの植物が春から夏にかけて成長して花を咲かせますが彼岸花はこの間に地下でじっくり力を蓄え、秋に開花します。極めて特異な花です。

鱗茎の中にはリコリンという毒が含まれています。しかし、飢饉のときは水によくさらして、毒抜きをして非常食にしたという記録が残っています。毒を流すと多量のデンプンが残り、餅にして食べられました。

また生薬名を石蒜(せきさん)と読んで薬用に使われます。根が大蒜に似ているためです。

どこに植えても容易に栽培できます。球茎を縦割りの4,5片に切って植えると翌年にその分だけ分球して新しい世代が育ちます。誠に強い生命力を特色とし、自らの命を継続するたくましい生き様、そして誰にも真似できない独特の生き方、そのようなことを考えるだけでこの彼岸花に強い愛着と共感を覚えます。

さて、「鬼滅の刃」の主題歌、Lisaさんの「紅蓮華」という曲が好きなのですが、私はずっと曼珠沙華のことだと思っていました。Lisaさん本人は「蓮の花」と解説しておられます。

蓮の花を大辞林で調べると、「紅色の蓮はすの花。紅蓮華。八寒(はちかん)地獄の第7番目「紅蓮地獄」を略して紅蓮とよぶ。この地獄に落ちた者は、酷寒のために皮肉がはじけ裂けて血に染まり、紅色のハスの花の様相を呈するので、この名がある。」とあります。

一方の曼珠沙華は日本国語大辞典に「四華の一つ、紅蓮華にあたる」と書かれてあり、紅蓮華の仲間には違いないようです。

ただそこに気になる説明がありました。それは「赤色(一説に、白色)で柔らかな天界の花。これを見るものはおのずからにして悪業を離れるという」というものです。

これを見るものはおのずからにして悪業を離れる

つまり、曼珠沙華イコール彼岸花には、見る人を善人もしくは鬼から人へ変える力があったのでしょう。

では、実際に存在しない「青い彼岸花」の意味は。

鬼舞辻無惨を鬼にしたきっかけとなったのは、青い彼岸花ですから、「悪業を離れる」の逆の作用があったのでしょう。つまり、悪業(鬼)と化すという意味です。

では鬼舞辻無惨は青い彼岸花を見つけて、不死身の体を手に入れようとしていましたが、それは、「悪業の鬼から離れ、人間に戻りたい」という意志の現れだったのでは?

Lisaさんの歌を主題歌とした「鬼滅の刃」の世界観には、蓮の花よりも曼珠沙華のほうがピッタリだと感じています。

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