【本の感想】『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』
今回、紹介する本は五十嵐大さんが書いた『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』です。
あらすじ
「誰もが生きやすい世界は、いろんな境界線が混ざり合った世界だと思う」
耳の聴こえない両親から生まれた子供=「CODA」の著者が書く
感涙の実録ノンフィクション!
本の感想
コーダ。
私はこの言葉を「デフ・ヴォイス」を読んでから知った。
これはコーダ視点のエッセイ。
コーダ視点で描かれているこの本では、コーダだからこそ感じる苦しみや葛藤が読んでいて伝わってくる。
両親ともにろう者である作者の五十嵐さん。
「聴こえない」世界で育った彼にとって、手話で会話するのは普通で当たり前の世界だ。
いざ外の世界の人と交流するようになって、自分の家が当たり前ではないことを知る。
他人からの冷たい対応に私でもとまどってしまうだろう。
母親のことを好きなのに、大切に思いたいのに思えないもどかしさ。
楽しく毎日を過ごしているのにその境遇を憐れんで、周囲から理解されない。
一緒にいたいのに一緒にいるのがつらい。
そんな苦しい叫びが読んでいて、強く伝わってきた。
私の両親がもしろう者だったら・・・。
助けてあげないといけないと思い、自分で勝手に好きにいることを諦めてしまうだろう。
もしかしたら飛び出せずにいるかもしれない。
コーダ側のエッセイを読み、その立場の人ではないと分からないことが多い。
自分の周りにいないだけで、実はたくさんいるのかもしれないと思った。
この本をきっかけにコーダという存在を知ってもらえたらいいと思う。
印象に残った言葉
最後に
この本を知ったきっかけは、高校生ビブリオバトル大会。
紹介されている内容を聞き、興味を持った。
また、2024年に映画化されるという話も聞きどのように描かれるのだろうかと楽しみでもある。
この作品がどのように映像化されるのか、どのように表現されるのかが気になるところだ。
2023年の12月に「デフ・ヴォイス」がドラマ化され、おそらくコーダという存在をそこで知った人もいるかもしれない。
それを踏まえて、本作を読むか映画を見ることで、コーダの抱える想いを知ることができると思う。
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