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XLのラベルと春の猟犬


一つの事に集中したい時に限って、
関係のないことを考え、ついつい気が逸れてしまう。


最近、妻が副顧問をしている吹奏楽部の演奏を見るため、地区の吹奏楽演奏会に足を運んだ。


演奏会は一日かけて行われ、中学生や高校生、
社会人楽団が演奏をする。

吹奏楽部の出番は大体の時間でしか把握していないため、会場で他の楽団の演奏をみながら待つことにした。


僕が演奏を見始めた時は、中学校の吹奏楽部がサザエさんメドレーを演奏していた。

終始ほっこりする内容で、会場はどこか優しい雰囲気に仕上がっていた。

中学生の演奏が終わり、
次は社会人楽団の演奏とアナウンスで紹介された。
社会人楽団の演奏する曲は、


「春の猟犬」、作曲はアルフレッド・リード。


とても有名な作曲家のようだが、
僕はクラシック音楽に詳しくないため、特に何も考えずアナウンスを聞いていた。

明るく軽快な音で演奏が始まった。

春を想起する音によって、僕の意識が猟犬に囚われそうになった時、

目の前に座っていた、男性の後ろ襟に目が留まった。

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