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2024/8/20 キッチン

写真フォルダをたまに漁りたくなる。

2016年7月30日17時22分、オーストラリアのゴールドコーストにあるサーファーズパラダイスというビーチで写真を撮っていた。

高校一年生の夏、野球をやめた自分は2週間オーストラリアにホームステイをした。今思えば、何か直感的なものに突き動かされて、初めて親にお願い事をしたのがこの短期留学だった。実際に、このオーストラリアに行ったことが自分の人生に大きな影響を与えているのは間違いない。

ホームステイ先はロシア人のお母さんと双子の息子2人の家だった。
兄の方はアメフトのエースでいかにも体育会系。弟の方はゲームが好きで温和な文化系の子。
二人とも年はそんなに変わらなかったけど、背が190cm近くあってとても大人に見えた。

学校が終わった後、部活というものはなくみんな好き好きにスポーツをすること
水が貴重なので、お風呂はシャワーで3分以内に済ませること
土曜日の昼間は必ず教会に行くこと
寝る前にはお母さんとハグをすること
朝謎にりんごが一つ手渡されること

カルチャーショックだった。
今まで生きてきた世界はたくさんあるうちの一つに過ぎないことを知った。

あれからもう8年経った。
当時坊主だった髪はしっかり伸びた。パーマにも金髪にもしてみた。
今となっては自分で稼いだお金でオーストラリアにだって行ける。


吉本ばななさんの「キッチン」を久しぶりに読んだ。
何度読んでもいい。いや、何度でも読みたい。
この本は一体どれほどの人を救ってきたんだろうか。

みかげが昔の恋人の宗太郎と久しぶりに会って話すシーンがとても好きだ。
彼の健全な善性とみかげの孤独の間にある埋められない壁を描きながらも、その平行線が肯定的に捉えられている点が絶妙だと思う。

それと大好きな文。
「その人はその人を生きるようにできている。幸福とは、自分が実はひとりだということを、なるべく感じなくていい人生だ。」

人は結局ひとりで生きていくしかないのかもしれない。
でも、そのことを知っているからこそ人と生きることの幸せを強く感じられる。
ドラマチックな人生でも、平凡に見える人生でも等しく幸福に生きることはできる。というメッセージを感じた。

読書感想文って楽しい。さっき蚊に刺された左手の甲は痒い。

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