20241003 引越し

 感情が、ぐちゃぐちゃしている。
 今日は引越しだった。朝、お向かいさんと朝ごはんのワッフルをコーヒーと一緒に食べて、9時から必死で荷造りの仕上げをして、終わった頃に彼氏が来た。雨なのにバイクで、合羽をかぶって来てくれた。
 少しして、引越し業者が現れた。それからは、怒涛のように引越し作業があれよあれよと進み、気がつけば家の中は空っぽ。引越し業者は一足早く出発した。
 わたしたちはというと、歩いて10分ほどの距離にあるタイムズのカーシェアに乗り、家に戻って愛猫アイスと手荷物を積み込んで、遅れて家を出た。
 高速でも1時間くらいかかった。着いたらすぐに荷下ろしが始まり、洗濯機の取り付け業者も来て、てんやわんやのうちにそれぞれの業者さんたちは帰って行った。
 さあ、それから、カーシェアの車を元の駐車場に戻さないといけない。元の家と彼氏の家がわりと近いので、帰りは彼氏1人で帰ってもらおうと思っていたが大誤算、契約者のスマホがないと、最後に車の施錠ができないとわかり、2人で戻ることに。帰りは下道で帰った。2人でドライブをしていると、その距離の遠さに、もう今までみたいに簡単には会えないと実感した。
 暇さえ合えば会っていた。数時間でも会えたら嬉しかった。時間がたっぷりあれば、2人でバイクで出かけたり、近所を散歩したりした。
 仕事で息が詰まりそうな時にふいにやってくるラインの「ちょっと一服しに行っていい?」とか、部屋に入ってヘルメットを外しながら「どこ行く?」と聞いてくる、あの瞬間、わたしはいつも満たされていた。無邪気に笑い合って、それだけで時間が流れた。それだけの生活、それで充分だった。そう思うと泣けてきた。辛い涙ではなくて、ありがとう、に似ていた。
 やよい軒で晩御飯を食べて車を返却してから、元のハイツに置いてあるバイクを取りに行った。近所のコンビニのおばちゃんと、お向かいさんに挨拶をした。お向かいさんは餞別にパルションのシュークリームをくれた。
 駅まで歩く道を、彼氏がバイクで並走した。この道を2人で手を繋いで歩いた。いい街だった。この街に住み続けている限り、街はいつもそこにある。けれど街から離れてしまったら、同じ街は2度と目にすることができない。いつか懐かしさに再びここへきた時は、もう何かが違っているだろう。
 彼氏と別れ、見えなくなるまで見送ってから、電車に乗った。

明日から、新しい生活が始まる。

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