見出し画像

[古団地リノベ#05] 設計DIYのススメ(前編)

築60年超の団地の一室のスケルトンリフォーム記録です。現在50平米の古団地の一室に家族4人と1匹で住んでいます。子どもが成長するに従いだんだん手狭に、そんな中、隣室が開くという事で、購入しましてフルリノベをしています。建築家や工務店を介さず直接職人さんにお願いする方法で、ゆっくりやっていますが、どうなることやら。完成は2024年11月の予定!

このノートについて

前回のノート、理想の部屋を夢見て建築家に設計を依頼して痛い目にあった話からの続きです。


設計DIYの経緯

リフォームするのは築60年の50平米の団地の一室です。とにかく狭い。家族は4人と1匹。ってことは設計を無茶するしかないわけで、前回の記事に上げましたが、主寝室は部屋を上下に分けて、上をベッド、下を納戸にしたいというアイデアを建築家に持ち込んでスタートしました。

ところが設計が進むに連れ、この部分も普通の寝室のデザインになってしまい。「無理があるのでやめたほうが良いです」と言われる始末。もちろん施主は建築の知識がないわけですから、実現不可能なアイデアを持っていて、それを正すのも建築家の仕事の内かもしれませんが、この部分はリフォームのキーアイデアだったんですよね。いやいや話しが違うでしょとなるわけで。。。。

こちらが譲るべきだったのかはわかりませんが、かくして、うるさい施主は建築家から契約解除されました。で、中途半端な図面があとに残ったわけですが、その後、施工時に大工さんにアイデアを伝えたら、あっという間に2階建ての主寝室を作ってくれました。しかも大容量の床下収納や階段下収納も付けて。それからウン年。今でも夫婦と一匹で寝室として快適に使っています。

そんな経験を通して、建築家に対してトラウマを持っているのもあるし、自分で設計図書いちゃえば良いんじゃね?というのもあり、今回のリフォームでは設計図DIYでやっています。

以下、今回の経験から、設計DIYをするのに、努力でなんとかなる部分と、努力ではどうにもならない部分に分けて説明します。

設計DIYに必要なモノ(努力でなんとかなる部分)

CADを習得する

図面を描くには、まずCADソフトを習得しなければなりません。間取りを考えるだけなら、『マイホームデザイナー』というソフトが有名ですが、ミリ単位で図面が描ける訳ではないので、これは使えません。

今回はAutoCADというソフトを使いました。autoCADは年間使用料7万円という高価なソフトで、本職の設計士が使うプロ仕様です。これ、高価ではあるのですが、リリース元のオートデスク社は大変太っ腹で、全ての製品のアカデミック価格が無料なんです。うちの大学もオートデスクが指定する無料の教育機関に含まれていますので、学生と教員は無料で使えます。元々3Dプリンタで造形する用に同社のFusion360というソフトを使っていまして、せっかくなので今後のためにAutoCADも勉強しておこうということ、今回の図面はautoCADで作成しました。(一部、室内窓、室内扉、キッチンはFusion360で3Dで設計図描いています。)

https://www.autodesk.com/jp/education/edu-software/overview

そんなの高くて使えないよ!という方はJW CADをを勧めします。日本語の資料も多くて無料の高性能CADです。

CADの習得はまぁ、結局お絵かきソフトですから、ネットにあるチュートリアルやらを見ながら習得可能です。窓とか、描くの面倒くさいので描いてませんが、全然問題ありません。壁の位置、水道の位置、電灯、コンセントの位置がミリ単位で描けていればOKみたいです。

もしその建物の竣工図というのが手に入ればなお良いです。竣工時は建物ができあがった時の現状を図面にしたものです。ただ、うちの場合は竣工図とも異なった場所があって苦労しましたが、そもそも60年前の建物ですから、色々狂っています。

竣工図を元に駆体を描いて、そこに外周ぐるっと内壁を60mm厚程度で描きます。あとは室内壁は70mmの厚さで描きます。45mmの柱の両側に12.5mmの石膏ボードで、足して70mmというサイズですが、まぁ、どのみち60年前の団地の寸法は色々狂っていますから、神経質にならなくても大丈夫です。

表面を決める

間取りが決まったら、壁と天井、床の素材を決めます。建築家がいれば候補を出してくれるでしょうが、DIYの場合は自分で探さなければなりません。

『壁は壁紙』や『壁はコンクリート風の壁紙』というレベルではなく『壁はサンゲツのFE76652の壁紙』とこのレベルで指定しなければなりません。まず、これが苦にならない人でないと設計DIYできません。

壁は帆立塗装、床はジャーマンメープル

設備を決める

次に設備です。電気、水道まわりですね。

私は電灯も水栓も大好きで何時間でもカタログ見てられる人間なので、これも苦になりませんでした。

ちなみに建築家の事例写真でも水栓周りを良く観察しているのですが、大抵ついているのがこれです。

グローエのミンタ。猫も杓子もこれ。前回リフォームの建築家案もこれでしたし、ウチの大学の給湯室もこれ。まぁかっこいいとは思うし、シンプル&没個性なので、どんな家にも合うとは思うけど、自由設計なのに、なぜか、みんな右へ倣えでこれ。ちなみに、同様の事象として電気のスイッチがみんな神保のNKシリーズというのもあります。設計上の2大安直チョイスですので、お気をつけください。笑

ちなみに我が家は、建築家と手が切れましたので、グローエのミンタではなくハンスグローエのメトリスを付けました。

ハンスグローエの水栓

これ水栓の先端がホースになっていて引き出せるのですが、大抵下向きにホースを引き出すのですが、このメトリスは手前に引き出します。構造的に脱着が非常にやりやすいの気に入っています。水栓は結構マニアなので、まとめていずれ別の記事に。

電灯や水栓選びはまあ楽しいのですが、設計DIYをするとなると、もっと細かいところまで自分で決める必要があります。

例えば便器。「TOTOネオレストが良いよ」だけじゃダメなんです。排水は床か壁か、壁だとして排水芯の高さはいくつか、ここらへんによって品番が変わってきます。

他にも、コンセントはアース付きか、エアコンのところは200Vかなどなど。24時間換気扇の品番どうする?換気するなら吸気口どうしよう?こういった事も全て決めなくてはいけません。

色々と細かなところまで仕様を決めなければなりませんが、逆に言うとここらへんまで自分で決めて図面に描けたら、スケルトンリフォームは建築家無しでできてしまいます。もちろん自分で図面を描くわけですから100%自分仕様の家です。

設計DIYできる!

というわけで、細部まで自分で決める事が出来るなら『設計DIYできる!』というお話でした。

ここまでは、前向きな話ばかり書きましたが、実は建築家の代わりに図面を描いたとしても、どうやって作る?という問題が残ります。図面は努力さえすれば誰でも描けると思いますが、実は図面を作るよりも、できた図面でどうやって家を作るのかほうが難しい問題だったりもします。長くなりましたので記事を分けて、次回は、そのへんのことを、つまり『努力ではどうにもならない編』としてまとめようと思います。

後半はこちら。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?