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[古団地リノベ#29] ダクトがないなら3Dプリンタで作ればいいじゃない
このリフォームは、団地の一部屋(50平米)で暮らしていたのを、二部屋に拡張するという話なので、一通り今住んでいる方の部屋に設備があります。フロ、トイレ、キッチン、食卓。間の壁をぶち抜ければ良いのですが、そこは壁式構造の古団地、壁は耐震の要ですのでできません。そこでベランダで繋ぎます。そうすると、どうしても、二部屋の一体感が出せず、二部屋を有効活用するには、どちらの部屋に何を置くか悩みます。
今回のリフォームの指針としては、寝室やダイニングやキッチンを移すのは、大掛かりで難しいので、リビングを移す事にしました。
ただ、50平米まるまるリビングにするのは芸がないので、我が家の一番の困り事の収納の増設と、リビングに客間の機能を持たせる事として、基本コンセプトができました。そして、客間の機能として、以下の2つをとり入れる事としました。
お客さん用のバスルーム
カフェ
カフェに関してはキッチンカウンターが出来上がってから披露するとして、ここではバスルームの話をします。
何度かバスルームをこのノートでも紹介していますが、スペインタイルを使ってヨーロッパ調を目指しています。これ何でかというと、トイレと一体で、バスタブ無しのシャワーブースにしようと思ったからです。
ヨーロッパのホテルとかで、よくありますよね。あれです。
シャワーブースも在来工法で作りたかったのですが、防水等々でユニット型にしました。
以下がその図面ですが、ここで、問題が一つ。
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問題はシャワーブースの全高です。これが2230mm。必要な天井高は2400mmとなっています。対する我らが古団地の天井高は、元々が2300mm、リフォームでは頑張って天井高を稼いで2350mmです。
ダメじゃん。
シャワーブース屋さんに聞くと、必要天井高が2400mmとなっているのは、ブースから上に抜ける換気扇の排気を天井裏のダクトを通して外に排気する際にダクトの取り回しと接続に必要となるためだそうで、ダクトに接続せず、室内に排気するなら、天井高は2400mm必要ないとの事でした。
ただ室内に排気と言っても、この部屋は、窓を通じで階段室に面しています。以前、別部屋で、風呂の排気を、階段室へ強制排気するようにリフォームした部屋があって、階段室中、その部屋のお風呂の匂いで充満したという事件がありました。これ住民が悪いわけじゃなく、工務店がアホか儲け重視の確信犯なのですが、自然換気とはいえ、風呂の匂いを階段室に送りたく無い。
という訳で強制排気をする事にしました。
でも、どこに排気するの?という悩ましい問題が。普通なら天井裏にダクトを這わせて、適当な壁面から外へ排気するわけですが、我が家はそもそも天井裏がない。
そこで取った策がこちら。
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天井裏が無い我が家は床下に膨大な空間が広がっています。そこでバスルームから床下へダクトを下ろして、人通りの少ない庭側の縁の下へ排気しました。
また、シャワーブースについている排気ファンは、小さなファンでとてもじゃないけど、この長いダクトに空気を導けないと思ったので、取り外して、パナソニックの中間ダクトファンを床下に設置しました。
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さて、今度はここからです。このダクトの室内側はバスルームの天井付近に出ています。
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天井高が2350mm。シャワーブースの本体の高さが2230mm。つまりシャワーブースの上面から天井までの距離が120mmと接続部の10mm足して130mm。一方でダクトの直径が100mmです。
シャワーブースの排気口は上を向いています。
と言うことは、わずか30mmで金属のダクトを90度曲げなければなりません。
これ、基本的に無理ゲーです。エルボパイプという90度曲げるパイプもありますが30mmでっていう商品はありません。フレキ管何で潰して曲げちゃえばできなくも無いのですが、100Φのままでシャワーブースに接続できないという問題が立ちはだかります。
そこで無ければ作ってしまおうと、できたモノがこちら。
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3Dプリンタを作ってカーボンを含んだ丈夫なフィラメントで印刷しました。表面は四角いですが、中の空気が通るところは滑らかに90度曲がっています。
このエルボーの高さが115mmですので、これをはめた状態でも、天井との間の15mmの隙間ができるはずです。
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うまくいくかどきどきのまま私は出勤時間になってしまいまして、シャワーブースの設置業者の方に後を託します。
で、夜、帰宅後真っ先に現場に飛んで行きました。
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おお。ちゃんと設置されています。ってことは、ダクトは繋がったかな?
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よく見えない。😁。
後で、作業を見守った父に聞いたところ、問題なく接続できたそうです。
というわけでスペイン風バスルームにやっとシャワーブースが設置されました。タイル等は古さを強調するデザインでしたが、シャワールームはめちゃくちゃモダンです。
え?周りとテイストが、合ってないだろ!って?
確かにそのとおりなのですが、『物は言いよう』でして、スペイン風というかヨーロッパ風が意味するところは、古い建物を大切に、中の設備をモダンに更新しつつ100年以上使い続ける事だと思うんですね。私がフランスで住んでいた家も築100年は軽く超えていたと思いますし、築60年の団地なんて、築古界では新米みたいなもんですね。古さと新しさの融合、これぞ、このスペイン風バスルームのコンセプトなんです。
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まぁ、本当は、床に排水溝作って、壁から、ニョキッとボロいシャワーが突き出しているだけの部屋にしたかったのですが、家族の冷たい目に堪える自信がなかったんです。偉そうな事言ってすみません。😁