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[古団地リノベ#39] ひゃー。ギリギリセーフ!の防音室のお話

築60年超の団地の一室のスケルトンリフォーム記録です。現在50平米の古団地の一室に家族4人と1匹で住んでいます。子どもが成長するに従いだんだん手狭に、そんな中、隣室が開くという事で、購入しましてフルリノベをしています。建築家や工務店を介さず、自分で設計図を描いて、直接職人さんにお願いする方法で、ゆっくりやっております。

このノートについて

このノートは「ひゃ〜。ギリギリセーフ!」というはなしです。

以下の写真は玄関から部屋を写したもので、緑の扉がバスルームになっています。左の壁をみてみると、少し先で不自然に出っ張っています。

左の壁の出っ張り

この出っ張りはヤマハの防音室です。もともとはこんな空間でした。

防音室を置く前

ここに防音室を置きます。定型の防音室はヤマハのセフィーネとカワイのナサールの2つが有名です。

2つの違いは、室内の音の響き床の防音性能だそうで、防音室導入の目的が子どものやっているチェロの練習用ですので、床に音が伝わりにくいというヤマハにしました。

設置の日は数人の職人さんが来て手際よく組み立てて行きます。手際が良いと言っても、最後にエアコンをつけて作業が終わったのはもう暗くなってからで、丸一日かかります。

組み立て開始

で、まぁこんな感じ。

防音室

実はこの防音室を置くために、設計上色々と、無理をしています。一つは写真右側、扉と壁(ロールカーテン)とのクリアランスです。防音室の左隣にはバスルームがあります。このバスルームのサイズは、タイルが真物(つまりタイルの幅の倍数)になるようにサイズを決めています。さらに、バスルームにあるシャワーブースの排気はバスルームと防音室の間の壁の中をダクトで通して床下へ取り回しています。ですのでこの壁厚も150mmぐらい必要になります。

残ったスペースに防音室を置くのですが、定形サイズのため右の壁と防音室の間に隙間ができます。ここがどうしてもデッドスペースになるので、どうせなら防音室の扉をそっち側にもって行きたいのです。

防音室と壁との隙間

この隙間。設計図上は扉が開く幅が取れているのですが、なにぶん60年前の建物です。当時の竣工図を元に図面を描いていますが、現状が色々と狂っていますので、出来上がるまでヒヤヒヤでした。で、防音室完成後この扉を開けてみると。。。。

ひゃー!ギリギリ!

賭けに勝ちました!ここが干渉してもやむを得ないと考えていたのですが、助かりました。

もう一つ。この防音室、高さ方向にも問題がありまして。天井も工夫が必要でした。

防音室と天井

天井が梁の手前と奥で仕様が違うのがわかるでしょうか。手前は古木調の天井を作っていますが、奥側は天井を張らずに『躯体表し』にしています。今回のリフォームで一番頭を悩ませたポイントがここです。我らが古団地は当然天井が低いです。もともとの仕様は、天井に石膏塗ってクロス貼った直天井で2300mmです。

一方でこの防音室の高さは2295mm。なんと直天井にしたとしても余裕が5mmしかない。これだと設置ができないということで、天井は解体屋さんに石膏まで剥がしてもらい、さらに玄関に逆勾配をつけることで床を下げ、どうにか天井高を50mm稼いで2350mmを確保しました。

天井と防音室

こちらもギリギリセーフ。

ここまで古団地に防音室を設置する苦労ついて書きましたが、逆に古団地だから得することも。

先程の壁との隙間

防音室は当然ながら気密性が高いので、別個のエアコンが必要になります。ここで問題になるのは室外機まで伸びる管です。この管には熱交換のための空気の通り道だけでなく、排水用のパイプも通っています。

となると、水が流れていくように勾配を取らなくてはなりません。ここ、カタログなどでもあまり書かれていないのですが、防音室のエアコンを壁の穴を通して室外機に接続すると、勾配がとれないので、排水は外に出せず、室内にしなくてはいけません。通常、防音室の脇にポリタンクをおいて、そこに排水のホースを突っ込んで、人手で定期的に捨てます。

ところが我らが古団地、エアコンの穴が、最近のマンションと違って低くついているんです。だから適切な勾配をつけることができ、水を外に排出できます。地味ですが、結構重要なポイントです。

家族からはこの管が意匠を損ねているから化粧しろと言われていますが、個人的にはむしろ無骨な感じで気に入っています。

かくして、無事防音室設置完了。私の書斎というか在宅勤務部屋も兼ねています。

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