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立秋 第三十九候 蒙霧升降


立秋末候の第三十九候はふかききりまとう。期間は 8/17~8/22頃。
チェンマイは、三十八候の頃の雲に覆われた仄暗い毎日からうって変わって、まさか雨季が終わってしまったのだろうか?と、ふと不安になるような明るく少し暑さも戻ったような日が続くようになり、やはり今年は小雨なのかと、来年の暑季が今から不安に思えたりしました。

そんな中、朝夕は涼しくなり(晴れているせいか、放射冷却でなおさらに?)、長袖のパジャマが心地よく、明け方は夏物ながら布団をしっかりかぶらなくては肌寒いほど。
これは普段より少し季節の進み方が早いような?と思い、気象庁の記録を見てみると、ここ四年の間で今年は最低気温が一番低い日が多いのです。世界中で、もう一年半も旅する人の足がほとんど途絶え、そのうえ日常生活もぐっと小さくなったための効果でしょうか?思いがけない地域でのこれまでなかった大洪水など、温暖化にまつわる情報が多いぶんちょっと嬉しいような気がしてしまいました。

とはいえ、なにぶん赤道に近く日差しが強烈な国のこと。
雨が降らなければ、地面は熱を帯びてきて最高気温も高くなりがちです。
特に土曜日と日曜日は朝から雲ひとつない快晴で、雨のおかげで空気がきれいなために光もそれは透明で、物みな澄み渡って明晰で美しい反面、怖いほど。
おまけに午後、ほんの束の間、光が満ちる中、雲もない青空にもかかわらず雨が降ってきたのは、ほっとする反面、ますますこの常ならざる晴天を奇しきものにしてしまいまいました。

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ここ数日の晴天で空気がまるで北アフリカかギリシアのように乾き、霧の気配など片鱗もなく、まるで西脇順三郎の詩「天気」をそのまま現実にしたかのような静謐で透明すぎた、この天気雨の夢のような光景を眺めながら、否、もっと雨季らしく、明け方や午後、夕暮れにスコールが降っていれば、もっとひっそり涼しい毎日になっていたのではないか?
この候の名のとおり、しっとりと蒸気の塊が押し寄せてきてくれないだろうか?と、10年ほど前までならば当たり前だった、土と枯れた植物が発酵する香りがゆったりと重く分厚く揺蕩う、温室の中のような香りと空気の、雨季の天気を思い出し、どこか喪失感にも似た思いで(多分、今本当に失いつつあるのでしょう)恋しくなってしまっていたのでした。

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