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運命の後押し

私は仕事を辞めることに決めた。
契約社員なので、今年度の契約が切れるタイミングで、更新をしないことにした。
なぜなら、上司のことをどんどん嫌いになるからだ。

今年度の結構早い時期から、その兆候はあった。
一緒に働いていた女性と、よく愚痴っていて、2人で仕事辞めたいとか言っていた。
そしたら、その彼女の方が先に辞めてしまった。

その彼女は、私よりぜんぜん長く働いていて、仕事のこともよく知っている。
彼女を失う方が、職場としては手痛い。
が、彼女は次の仕事を見つけて、辞めて行った。

私も同じころ辞めたかったが、もともと私が働き始めたのは、産休に入る人の代理としてだったので、その人が戻ってくるまでに辞めるのは、周りに迷惑かける気がして、辞めれなかった。
(元々は、産休の人が戻るまでの契約だったが、戻って来てからも契約継続に、途中で変更になっていた)

そして、産休・育休だった女性が戻ってきた。
上司のお気に入りである。
それで何かが変わるかと思ったが、私に限って言えば、変わらなかった。
彼女と一緒に働くのは、働き易いし何の文句もない。
続けたいぐらいだ。
だけど、上司に対する気持ちは少しも変わらなかった。
と言うか、どちらかと言えば、悪くなった。

それで、辞めることに決めていたが、いつそれを言うか、機会をうかがっていた。
年末が近づき、少なくとも一緒に働いてる産休戻りの彼女には話すべきだろうと、伝えた。

次に、一緒に働いているおっちゃんがいるのだが、彼にも上司より先に話しておきたかった。
上司より、彼と直接一緒に働くことの方が多かったからだ。
年明けを考えていたのだが、ある時、彼に呼び出され、2人きりで話す機会があった。
彼からの話は、まあ言ってみれば、上司が私に対する小言を言ってたという事だったのだが、これ幸いにと、私が辞めるつもりであることを伝えた。
その時に、上司には、年明けぐらいに伝えよう、という事に決めた。

辞めることに決めていた私ではあったが、安定した仕事を手放すことに、後ろ髪を引かれる気持ちもなかったわけではなかった。
決めたけど、決め切れていないような、迷いが若干残っていたのだ。
我慢したら、働き続けることも可能では?と。

そしたら、年明けを待つことなく、上司の方から、契約の更新打ち切りを言い渡された。
(私は、あらかじめ、おっちゃんからそういう話があると聞かされていた)
この人は、イヤなことは自分で言いたがらない。
自分は私の顔を直視することなく、タイトルみたいに一文だけ言って、あとはおっちゃんが説明した。
その説明はもちろん、上司の本音ではなく、とってつけたような理由だ。
そして、話が終わったら、上司はそそくさと逃げるように、その部屋を出て行った。

彼の私に対する評価が低いのは、感じていたが、私の彼に対する評価も地に落ちた。
彼の専門分野では偉い人かもしれないが、同時にイヤな爺である。
みんなが彼の顔色をうかがいながら、仕事をしている。
それを苦に思わない人だけが、残っているのだ。

ま、そんなことはどうでもいい。

この出来事の見た目は一見、私がクビを言い渡されたという話に見える。
だが、私は、”運命は私の決断を後押しした”と受け止めた。
要するに、私の迷いを断ち切ってくれたのだ。
「退路は断ったから、迷わず辞めて、前進するのが正解だ」と。
「運命としては、そちらを支持するよ」と。

タイミングもよかった。
私があらかじめ、同僚とおっちゃんに話していなかったら、またややこしいことになるところだった。
私が辞めると決めていることを知っていたから、上司からそういう話が出たときに、上司を説得したりする必要もなかった。
すべてがあらかじめ仕込まれていたかのように進んだ、と感じたのだ。

私が決めかねていた時に、上司から告げられたらショックだったかもしれないが、決めた後だったので、ある意味ラッキーととらえることができた。
彼の態度には、少々ムカつきはしたが。(笑)

おっちゃんも同僚も、私とはうまく一緒に働けていたので、私の味方だ。
最後の日まで、私ができるだけ楽でいられるようにしよう、と言ってくれている。
次の職探しもしていいからね、とも。

私の方から辞める宣言するつもりだったが、これで、完全に会社都合で辞める形になり、もし、失業保険を申請することになっても、都合がいい。

こんなにわかりやすい運命の後押し。
さて前進がどういう方向に行くのか、これもまた、運命が導いてくれる方向を感じながら、探ってみよう。

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