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学振を本気で取りにいくためのメソッド

2025年2月3日、日本学術振興会(以下、学振)の特別研究員(PD・DC2・DC1)の来年度の「募集要項」が公開された。

いよいよ、この春の学振の申請書作成レースが始まったわけだ。

この記事では、「学振を本気で取りにいくためのメソッド」をお伝えしようと思う。


0. はじめに

始める前に、いくつかのことを明確にしておきたい。

  • まず私が誰なのかということだが、簡単にいうと東大の大学院生で、2024年度から学振の特別研究員(DC1)に採用されている者だ。細かく採用の分類を言えば、「人文学」領域の小区分「ヨーロッパ文学」だ。専門はとりあえず20世紀のフランス文学だと言っておこう。

  • つまりこの記事ではDC1に通った自分の経験をもとに「学振を本気で取りにいくためのメソッド」を言語化してみたい、ということだ。

  • 急いで付け足しておけば、これはもちろん「必勝法」ではない。学振は厳しい戦いであって、残念ながらそんなものは存在しない。私の年、つまり2024年度の採用率はDC1で15.1%(申請者4591名に対して採用者694名)、DC2で17.1%(申請者6367名に対して採用者1091名)。さらに私が出した「人文学」では、DC1で14.0%(申請者435名に対して採用者61名)、DC2で17.1%(申請者594名に対して採用者102名)だ。簡単に言えば、学振は──特にDC1の「人文学」は──狭き門なのだ。

  • 厳しいレースであるし、申請書の作成には膨大な時間を要する。だが、研究者を目指す大学院生にとって、これは途方もなく大きい──DC1であれば3年間、総額にして約1000万円をかけた──勝負だ。間違いなく「本気で取りにいく」しかない千載一遇のチャンスだ。

  • では「本気で取りにいくためのメソッド」が「必勝法」ではないとしたら、それは何なのか?、という話になる。まず断言しよう、学振とは、ある「メソッド」を知っているか知らないか(そしてそれを実践しているかしていないか)でほとんど勝負がついてしまうレースである、と。あなたがどれほど研究者として優秀であろうとも、それは──残念ながら──学振の合否にそれほど影響しない。あなたの優秀さよりもはるかに結果に影響してしまう「メソッド」──方法(論)、やり方、コツ、ノウハウ──が存在している。私はもう少し強く言っても全く問題ないと思う──この「メソッド」を実行しない場合、あなたがどれだけ頑張って申請書を書いたとしても、学振に採用される可能性は限りなくゼロに近い、と。

1. 「メソッド」とは

早速、本題に入ろう。

その「メソッド」とは何か?

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