〈ダーナ・インタビュー〉食も生きるも削ぎ落としてみたら分かる大切なこと。|ナナエ
太くてずっしりとした幹の木々が蝉に肩を貸す夏の日。とは打って変わって、雨が降りしきる福島県西会津町からDana Village インターンのナツミがお届けします。
私たちの暮らすDana Villageではこの一週間で仲間の旅立ちが続きました。笑いながら何気ない会話をしたかと思えば、ときには真剣なトーンでお互いの人生の話を交わす。皆穏やかに過ごしているように見えるけれど、仲間の胸の内を聞くとグッと熱くなる瞬間もあります。
今回のお話相手は、先日調理ボランティアとして2週間の滞在を終えたナナエさん。Dana Villageで過ごした日々を振り返りながら、彼女がここで研ぎ澄ました大切にしたい想いは何か。皆さんにお届けしたいと思います。
日常に紛れた矛盾への違和感が解けていく日々
ーDana Villageに来たきっかけは何ですか?
友達が教えてくれて知りました。
もともと環境問題を意識していて、まずヴィーガンになって、環境にいいものを食べたい、取り入れたいみたいなところから始まって。今はヴィーガンカフェでバイトもしています。でも食材は海外の方が発展しているから輸入品が多くて、そこに疑問を持つようになりました。
せっかく日本といういい国にいるのに、日本の食べ物を食べず、ヴィーガンと名の付くものが多いから輸入品を取り入れるというところにちょっと・・・。もっと地産地消で日本で取れるいいものを食べたら、輸入コストも下がるのにって気になって。あとは添加物や農薬も、無農薬で自分の作ったものを食べられるって一番安全だと思う。
今の円安の状況もそうだし、もし日本が戦争になった時にお金を持っていなければ困る人が大勢増えると思う。そうなった時に自分で育てて食べられるっていうことが、実は一番大事じゃないかなって考えます。
ー普段から意識的に考えて、矛盾していると思いながら過ごしていたところに、Dana Villageのことを知ったんだね。
色々なエコビレッジがあって、興味を持っていたから。Danaも一つの経験として行ってみたいなって思いました。
ーDana Villageには2週間、調理ボランティアさんとして滞在でしたね。
最初はどういうものを出したらいいか難しかったけど、今はみんなと信頼関係が生まれて、何となくこういうのが好きなんだとか、どういう調理法を毎日しているかとかを学べたからできるようになったな。駐在スタッフのアンナさんのアイディアを盗んだりして慣れていきました。
ー具体的にどんなところを参考にしたか教えて。
調味料はないものが多いから、(ヴィーガン対応のために)これを代替えに使えばいいとか。今まで使ったことのないものも、味見して「あれに似てるな」って使ってみたり。
ー私も今までヴィーガンの食事を知識がないなりに取り入れてみて、だんだんと矛盾や無理が生じてきて。それが当たり前な食事や暮らしとしている人たちってどんな人たちなのか知りたいという理由もあってここに来たから、発見の連続なんだよね。
分かる!出汁ひとつとっても顆粒出汁をみんなパパッと使うけど、ここではなくても美味しい味が出ることを知ったし。ないとダメだと思っていた調味料を、いざ使わないってなったら、なくても良かったのかって削ぎ落とされる感覚ですね。
食を通して人との繋がりの大切さを知る
ー普段はヴィーガンカフェで調理も担当されているそうですが、ここでの経験は活かせそうですか?
スーパーで買えるものじゃなくて、「人から買う」というのをしたいと思っています。この人が作っているからというのが、ここでは当たり前だったりするから。帰ったら、地域の人たちとの繋がりを持ちたい。
ーナナエさんにとってDana Villageでの生活は、食を通して人との繋がりに魅力を感じたり、自分の中にあった疑問に対して腑に落ちたりしたのかな?
そうかも。農業に関われたことも大きいかな。ミニトマトの収穫とか意外と大変だったよね。お米も無農薬だけど、みんなで雑草を抜いたり、踏んだりして、雑草全然ないじゃん。普段は食材を買って・食べて・なくなるという感じだけど、その育てる過程を知っていることは大事だなって。そうするとすぐには食べ物を捨てられないし、食べ物のありがたみを改めて感じましたね。
ーきっとここに来る前から意識的に考えて行動されてきたと思いますが、そんなナナエさんでも以前より変化した考え方はありますか?
コンポストにする前も本当にギリギリまで食材を使うとか、普段はどうしても洗剤とか使っちゃうけど、使わなくても全然大丈夫だとか。そのぐらい食材に質のいいものを使ってるから洗えるんだと思いました。
ー綺麗な自然がすぐ目に入る環境というのも私たちに教えてくれるものがありますね。では、西会津町はいかがでしたか?
西会津すごくいい人ばっかり!Danaを通じて移住してきた人たちが多いんだけど、みんな自分がやりたいことをやってて意識高い。
そもそも西会津に移住してきた人って「生きること」を大事にしている人が多いじゃないですか。日々流されるように生きている人の方が現実から目を背けてない?って私は思うんだけど、その感覚が似ている人が多いと思った。
ーナナエさんにとって生きるとはどういうこと?
食べ物を食べるまでの過程を大事にしつつ、仲良い人たちと「おいしいね」って食べて、本当それだけでいいのになって思ったりします。あとは、繋がりがここにはあるよね。食材とかも「これ持ってって」が多くて、いろんな人からもらうから。
ーそういう西会津町の人たちに魅了されたんですね。
助け合いがあるところに魅了されましたね。
子育ても都心だと公園が唯一の社会なんだって。ここではどういう人が住んでいるかとか、子供たちがどうとか、一緒に子育てしているから大体分かるじゃん。だから、お互いに思いやれるところがあるけど、都心では周りの目が気になって、ストレスを感じて自殺しちゃったりとかあるから。だから人は繋がりが大事。
あと人に何かをしてあげられるみたいなことも生きる上で必要かな。私だったら料理作ってあげられるとか。人に感謝されるし、そのコミュニティの中で役に立てていると実感できることはすごく大事だと思う。
ー自分がなんの役に立てているかわからないってよく悩みにありがちだけど、そもそもその誰かと繋がっているのかということを見つめ直す必要があるのかもしれないね。ナナエさんはその繋がりの大切さを、ここに来て強く感じたんですね。
うん。「ありがとう」を普通に心から言える感じとか、このハートは忘れないようにしようと思っています。
ーナナエさんは特に「ありがとう」をたくさん伝えてくれるよね。私が何気なくやったことにも「ナツミさんありがとう」っていつも言ってくれるのを感じていました。
よかった。ここに来ている人たちは本当に周りをよく見ていて、「ありがとう」という言葉が自然と出てくるよね。
ー「ありがとう」という何気ない言葉は普通に言えそうで、実は普通じゃなかったのかなと思えるほどに、ここでは「ありがとう」がたくさん溢れているというか。
そうそうそう!繋がりが多いからだろうね。みんなが頑張ってるから自分も頑張ろうって思える。
あとはいい意味で過剰に情報が入ってこないから、何が話題で、ニュースになっていてということに惑わされない。感情の浮き沈みがなく、毎日フラットな心の状態で一日を過ごして終えられるっていうのもいいよね。
今を生きるために作った余白で見つけた大切にしたい想い
ーDana Villageに来る前はどう過ごしていたの?
何もしなくても生活が始まって、夜には眠り、テレビ見ていると情報が流れてきてみたいな。自分はまだ止まっているのに、世の中は進んでいると感じることが多かったけど、ここではまず自分が何するかなので、今日一日自分がどう過ごすかということにきちんとフォーカスできるかな。
ーここでは調理の仕事時間以外の空いた時間はどう過ごしていたの?
いやもう、寝る寝る寝る。疲れた時は寝るし、話したいときは話す。
考える時間がもったいないから、あんまり今後どうしようとか考えないようにしていて。でも、Dana Villageに来てくれるゲストさんによってはいろんなことを教えてくれて、自分に考えがなかったからこそ、そういういい情報を得られた時にスッと入り込めたりする。そんな巡り合わせがどんどん繋がっているから、あんまり考えすぎても良くないなって思いました。
ー今を生きるってすごく大事だと思う。どうしても未来のことが不安で、未来のために今を生きてしまうから。少し前まで私もそうだったな。
立ち止まって今にフォーカスしようと思えると、今がより楽しいよね。今日一日が重なって未来へ繋がっていくだろうからね。次こうしようとか、そんなに焦らず。
ー今回Dana Villageに滞在しながら、ナナエさんにとって大切にしたいことは見つかりましたか?
私こういう生活好きだなって思いました。今まで葛藤してたんですよね。働かなければいけないとか、生活をしなきゃいけないとか、「やらなきゃ」に囚われていました。
まず、将来は(西会津町のような)こういうところに住みたいという気持ちが確信に変わったから、そのために自分が住んでいるところで無農薬の野菜を販売している人を手伝ったり、農作業に携わってみたりしたいという具体的なアクションが明確になりました。
ー自分にとって大切なことが分かったからこそ、すべきことも明確になったんだね。
そうかも!正社員じゃなくてバイトで働いていて、色々と周りからも言われてきて、ちょっと自分もそこは引け目を感じてて。このままでも良くないだろうし、自分はこういう生活を本当に続けたいのか?と悩んでいたから。西会津町にはスッと何にも惑わされない生き方をしている人が多くて、なんとかなるんだと思えたかな。
ー余白があることによって、新しいことやいつもと違うことを受け入れられる。それに気づけずに、何かに追われるように日常で立ち止まる時間を持てない人はたくさんいます。今のナナエさんならなんて言葉をかけますか?
みんなある程度そういう時があるんじゃないかな。でも行動するのが大事だよね。土日だけでもDana Villageに訪れてみるでもいいと思うし、ここへ来てわりと素直に削ぎ落としてみたら、なんとかなるよって言いたいです。
ーどうしてもみんな色んなものを手放せずに、両手握ってるからね。
全部を変えろというわけではないけど、Danaみたいなところにまず宿泊してみて、Wi-fiオフにして、いろんな人の話を聞いてみて。全てにおいて余白を作ることが大事ですよね。土日暇だな、Danaに行こうかなって来てみてもいいんじゃないかなと思います。
ーナナエさん、Dana Village滞在で深まった考えを聞かせてくれてありがとう!
ナナエさんは日常でも「調理器具の向きを揃えたら使いやすくなるのに」とか、「タオルは用途を書いて収納した方が分かりやすいのに」とか、テキパキと動き、よく気づく方なのです。
そうやって普段から自分の意見をきちんと持って行動できるナナエさんの芯の強さは、自らに与える「余白」と疑問に気づける「心の柔軟性」があるからこそなんだとお話を聞きながら感じました。周りに対しても、自分に対してもきちんと優しさを持つことが、大切な繋がりを築いていく第一歩なのかもしれないですね。
nattun.
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『本来の自分らしさを取り戻そう』
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