見出し画像

2020年9月の日記

9月*日
長く仕事を一緒するライターのM内さんが執筆を担当した「還暦からの底力」(出口治明)が売れている。20万部突破だそうだ。久しぶりに会ったので、「印税契約でしょ?」と聞いたら「そうですが%がねえ…」なんて渋い顔。でも、電卓を叩いてみたらタマゲタ。出版には夢がある。ホンブロックの本も、いつかきっと。

9月*日
慶応義塾大学のS津先生にオンライン取材。テーマは「休み方」について。「働き方の多様化に伴い、仕事と仕事外時間の境界がどうあれば個々人にとって幸せか、自身の志向を把握し、それぞれに上手く休む必要がある」という話を聞く。ぼくはワークとライフが一体で、境界がなく、「楽しいか」「楽しくないか」が行動基準。だがそれは自分に関しては、の話。会社も「週休二日」みたいな時間管理的尺度だけではない、休みの選択肢を提示する必要がある時代になってきている。その方が生産性が上がり個々人のストレスが減り心身ともに健康だからだ。

9月*日
姫路のお寺さんとのプロジェクトの定例会議で、本堂離れの建物を視察した。大部分は戦争で燃えたので、大したものはないと謙遜されるが、お宝の山感が満載。お宝鑑定団を呼びたいくらいだ。建築家のY内さん、造園家のO北さんらと、離れの活用について、お寺の存在意義について、話し合う。

9月*日
夕方からきょうとNPOセンターの常務理事会。それまで時間があるなと思い、母の法要でお世話になっているT中導師のお寺を、レンタカーで訪問した(姫路)。駅前から車で30分ほど。本尊に手をあわせることができ、満足。T中さんは不在だったが、奥さんがおられ30分ほどお話。本堂境内がピカピカで、素晴らしく美しかった。観音巡礼を始めて以来、そういうところがとにかく気になる。ご夫婦の、信心を映していた。

9月*日
昨晩は常任理事会後に同僚のH尾さん、京都で旅行会社を経営するM野さんの3人で食事。M野さんの旅行業界の話が面白く聞き入った。地方都市の旅行業は、もともと顧客数が少ないので、成立が難しいという話。代理店ではなく、ご当地発の旅行を企画・販売するのだから、在住者数が売上に多大な影響を及ぼすのは、当然と言えば当然だ。それが理由で、島根や鳥取には地元の旅行業者がないのか…と思う。京都もギリギリです、とM野さん。来る人は多いが、ターゲットは京都在住者で京都以外に旅行に行く人になるわけなので、観光地発の旅行企画は難しいらしい(地元散歩で一定満足するから)。どんな企画にお客さんが集まるのですか?と聞くと、東海道五十三次のウォーキングツアーとか、光秀の山崎の戦い敗走路を辿るツアーとかですね、と、これまたなるほどな回答。ターゲットの見えやすいラインナップであった。面白くよく飲み、おかげで珍しく二日酔い気味。

9月*日
1年間、設計前の打合せから追いかけて撮影した丹波市・A田さん邸が完成し、最後の撮影に行った。引き渡しは7月末に終えたので、住み始めて1カ月半ほど。暮らしが見えてきたところで、改めてというわけだ。最初は「おまえ、どこの誰や!」という顔で両親の陰に隠れていた小1の女の子ともすっかり顔見知り。ホントによく通ったなあと、カメラマンS賀さんと思いに浸った。

9月*日
朝から全米オープン・大坂なおみの決勝戦。1セット目のアザレンカの完璧なテニス、2セット目いきなりブレークされたところで、「今日は厳しい」と感じたが、そこから逆転勝利。つくづくトップレベルのテニスは戦略と精神の戦いだと思う。「どういう形ならポイントを取れていて、それは何故なのか」を常に考えて戦う。上位選手同士の戦いは、その戦略が常に更新されるから、俗にいう流れがあっちこっちして面白い。

9月*日
「団士郎さんと家族を学ぶ会」をオンラインでパッケージ提供したいと思い、雑誌「かぞくのじかん」に声をかけ、実施に向けたミーティングを行った。家族の構造理論は、ぼく自身も学んで本当に役立っていると実感する考え方。M月編集長ら、編集部の皆さんと21年1月開始を目標に進めることで合意した。12月5日発売の誌面で開催の告知をしてくれるそうだ。

9月*日
出版業界隈でちょっと話題なのが、来年3末の税込表示義務化に出版物も含まれることになった、という話(9/14に方針が示された)。ホンブロックの場合、1,300円(税別)と表示しているのが全部ダメになる。しかし本は、大半が本体価格+税や、本体価格(税別)といった表示でかつ、長く売り続ける前提で作っている。新たな出荷分からすべてということになれば、あの山ほど在庫に全部シールを貼ることになるのか。非現実的だ。

9月*日
アソブロックは9月が決算。その際に、すべての販管費を入力し、予算との差や経年の変化を確認する。月次でだいたい掴んでいるが、年間で見るから分かることもある。それにしても4月以降の経費の下がり方がすごい。交通費も、交際費も、出張旅費も、まるで冬眠中のクマのように動かない。改めてコロナのパワーを感じる。交通機関もお店も、それは大変だろう。

9月*日
鎌倉に越して以来、週に2日か3日、東京に出張することにしている。東京出張の際は、事務所から一番近いビジネスホテルに泊まる。歩いて5分。至極便利で、寝る寸前まで事務所で働ける。快適この上ない。おかげでそのホテルのポイントが貯まりに貯まり、還元率もいいため、1泊2~3,000円である。常連なので、フロントマンは「いつもありがとうございます」と繰り返すが、払っている値段が値段なので、なんだか申し訳ない気持ちにもなる。かといって、ポイント付与を断るほどの気持ちもなく…。素うどんしか食べない常連みたいで、居心地は微妙である。

9月*日
母の四十九日法要があった。関西に住む弟が、何かと労を取ってくれるので大変ありがたい。せめてできることをと、母名義の車の処分を担当。懇意の車屋さんに理由を話すと、車も不動産と同じく遺産扱いになるらしく、処分するとしても、まず譲渡手続きが必要という。譲渡人を決めた上で、母の謄本と、法定相続人全員の印鑑証明がいる。何事も簡単にはいかない。

9月*日
10月からぼくの元でインターンをすることになったS崎くんと面談。「いつか自力でゲストハウス的な居場所づくりをする」のが目標という彼に、前回面談時、「就活はほどほどに、もっと目標に近づくための動きをしたら?」と言っておいたところ、この2カ月ほどの間に、ゲストハウスに入居し、10月1日からは前管理人の退去に伴い、立候補して新管理人になったと言う。このフットワークの軽さこそ、20代の強みだと思う。管理人は住み込み労働みたいなものなので、住居代と食費は無料になるらしい。ということで、晴れて就活を卒業し、新年度から、オリジナリティ溢れる道を歩むことが決定した。

9月*日
定番となった娘の神奈川歯科大学病院への通院付き添い。本来はもう少し先の予約日だったが、治療中の歯周辺の膿が酷く、痛くて食事が苦痛というので急患扱いで診てもらうことになった。結果、抜歯することに…。まだ根本は元気な歯。麻酔をしてはいるが、見ているだけで痛い。小2女児号泣。そりゃそうだ。私も去年、歯根膿疱で全身麻酔手術を受けた。歯が悪いのは遺伝か。だとすれば、申し訳ない。でも懲りずに、お菓子も飴も、食べている。

9月*日
きょうとNPOセンターのメンバーの面談日。話を聞きながら、分かるなあという話がいくつも出た。そのうちの一つが、安定が生む権利意識と、安定が生む「このままでいいのか?」という焦燥感の扱い方について。ここを組織として上手く乗り越えないと、成長は止まり、場合によっては崩壊する。大事なのは、遠回りなようだが、徹底的に本音で話し合い、問題意識を共有することだと思う。