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2021年2月の日記

2月*日
全国の定着支援センター広報部会向けの講演をZoomで行った。50人ほどが顔出しでやるので、まずまずトラフィックかかると思って、前日、講演時間と同じ時間帯に事務所の通信速度を測ったら、10Mbpsを切る数値。がーん。これはまずい。半年ほど前にオフィス内を一斉調査したときは、ここまでではなかったのだが、機器の消耗だろうか…。あたふたと代替策を考える。

・友人のオフィスを借りる
・近所の時間貸しオフィスを予約する

色々考えたのだけど、明日はZoomだからと「仕立てたシャツ、いいジャケット、下はジャージ」で会社に来ていたことを思い出し、それにもあたふた。こんな小さな手抜きをするんじゃなかった…と思っても手遅れなので、さらに作戦を考え、結局事務所に何本かあった(発見した)有線LANを突っ込んでみたら結構な数値が出たので、急遽有線LANが届く範囲に「講演ブース」を手作りして乗り切ることに。なんだかドタバタしたなあ…。

2月*日
姫路にあるお寺・妙行寺さんと「新しいお堂を作るプロジェクト」の定例会議。もともと「新しいお堂を作る」が目的だったのが、今は本堂エリアの再開発に計画がシフトしてきた。けれど、「人が集う場」「癒しの場」を作りお寺機能の原点回帰を、というコンセプトは変わらない。
今日は姫路でシチリア料理店を経営するY本さんが会議に新メンバーとして加わってくれた。こうやって、地域で頑張っておられる方のネットワークを広げていくことが大事だ。京都から、建築家のY内先生も来てくれたので、その場で図面を描いては消し、描いては消しができ、話が進みやすい。絵は、それぞれに創造の余白を残しつつ、大枠の合意形成が取れるから、プロジェクト初期にはほんとに役立つ。絵を描く才能がうらやましい。

2月*日
ZOOM時代全盛の今、わが家のWi-Fiの調子が良くないことが多く、J:COMさんに電話、すぐに家まで見に来てくれた。インターネット関連サービスのサポートセンターと言うと「問い合わせはメールで!」「ここを読んでみよう」的なたらい回しや、電話が繋がったとしても永遠に感じる保留音など、対応が不誠実、というのがぼくのイメージなのだけれど、J:COMはえらい親切。街の電器屋的ノリで対応してくれるしすぐ来てくれる。多少高くても、これは助かる。

2月*日
団士郎トークライブv3を開催した。今回も100名を超える方に参加をいただけた。ありがたい限りだ。参加者がいないと、団士郎ひとりごとライブになってしまう。そうなると認知症と見分けがつきにくい。
前半は「木陰の物語」という作品を描き始めるにあたっての物語。後半は、児童文学作家の上野瞭さんのお話だった。目の前で裏方に徹する息子に、終了後、「この話は知らんかったやろ」「これは知ってたか?」と聞いてくる父。だが、だいたい知っている。よく話をする親子だからなあ。

2月*日
常務理事を務める京都NPOセンター(KNC)のU田さんとZOOMで面談をした。KNCでは年二回の面談がスケジュールされていて(10月と2月)、常務理事のぼくは管理職者と面談することになっている。
面談の機会はたぶん人より多い方だけれど、常に対話的なそれを心掛け、相手が服を脱げるように、シンプルで抽象的な問いかけをしようとしている。だけど今日はちょっとぼくがしゃべりすぎたかもしれない。個人の面談なのに、組織運営の話を結構してしまったのも、自分的にはいまひとつだったと反省だ。個人面談はあくまで個人のキャリアアップやライフバリュー向上に向けた対話をしないといけない。

2月*日
突然モワッと暑くなった、と思ったら花粉が襲来した。長年の付き合いになる鼻むず・目かゆな日々が始まると思うと憂鬱だ。けれど、以前に比べるとずいぶんマシになったのも事実。引っ越ししてきて最初の花粉シーズンなので、ネットで調べて近所の耳鼻科に行った。
コロナへの対策がとても行き届いたところで、「花粉症くらいで来なくていい」とアドバイスをもらった。まあでも、行かないことには薬がもらえないし、と思って診察を受けたら「どの薬がほしい?」とレストランのメニューのように一覧になった薬リストを見せられた。これはすごい。「去年は何飲んでた?」と聞かれ「これとこれです」と答えると「それはいい組み合わせだねえ~。それもおススメ。飲みたいものを飲むのが一番だよ」と先生が言う。「薬は、飲みたいものを飲むのがいい」は人生で初めて受けた医者からのアドバイスだ。
言われるがままに、欲しい薬を指さして、速やかに会計を済ませ処方箋をもらった。帰り際に「花粉症で来る必要はないから、電話をくれれば処方箋出しておいてあげるからね。診療は、もういらないからねえ~」と優しい笑顔で帰された。ちょっと笑えた。

2月*日
お付き合いの長い幼稚園で、新入園児の皆さんに、通園バックのお渡し会をした。注文は昨年もらっていて、今日は渡すだけ。インターンをしているS崎を連れて、1時間前に園に入り、最後の準備をして保護者を迎えた。
コロナ対策で、保護者の来園時間が30分刻みで細かく指定されている。なので、始まりから終わりまでが実に長い。その分、出入りの業者同士で話す時間も長くなる。S崎が自分のことを皆さんに上手に話している。こういう場で、初めて会う人たちと上手にコミュニケーションが取れるのは、能力だ。こいつちょっと見所があるなと思って眺めた。

2月*日
西川美和監督の最新作「素晴らしき世界」を横須賀の映画館で見た。先日、刑務所出所者の社会定着支援をする皆さん講演をしたところなので、余計に「今か」と思いながら見た。
「ゆれる」も「永い言い訳」も全部、ぼくの解釈から言うと「何も起こらない映画」。もちろん、何かが起こるから物語になるのだけれど、そう言うと誰の人生も、毎日が物語だというか、そんなに人生に特別なことは起こらないというか。大好きな作家・椰月美智子さんにも通じる世界観。劇終近くで、テレビディレクターの女性が「なんだ、三上さん(主人公)、結局何も起こさなかったんだ。そんなもの追いかけて、小説になるの? 何も書くことないじゃない」と言う。そこがすべてだと思う。役所広司演じる三上さんが心臓発作で亡くなって、それでも空は真っ青で、カメラがパンして「素晴らしき世界」のタイトルでエンディング。お見事でした。