2022年9月の日記~大好きな猫からウクライナ問題を考える視座を身につける~
9月*日
ねこの会社でねこからキャンプというサービスをリリースした。
きっかけは、夏に軽井沢にある風越学園に行ったこと。複数の生徒に、猫のことを根掘り葉掘り聞かれ、いつか会社訪問をしたいと言われた。それならば受け入れ態勢を整えようと、たくさんの保護猫と暮らす代表・小池の家にホームステイするアイデアを形にした。
ねこの会社は「殺処分をゼロにする」ことをミッションとする社会企業だ。一方で、興味を持ってくれた生徒たちは、純粋に猫がとても大好きな子どもたち。そこから言えるのは、自分の「好き」や「興味」のすぐ横に社会問題があるということだ。
好きの延長で、若年期から社会問題に触れておくことは、キャリア形成においてとても有益だと思う。ウクライナの戦争も、エネルギー問題も、教育格差問題も、遠くのどこかで起きていることではなく、自分たちの暮らしのすぐ横で起きていること。そういう肌感覚を持ってもらうことができれば、自ずと社会活動参加意識を高めるのではないかと思う。
9月*日
友人のKさんと新島に出掛けた。
一時はナンパ島とも呼ばれた伊豆七島の1つで、2泊3日、格安で譲り受けたという波打際の古民家に泊まった。ボーっと海を見たり、温泉に入りながら日の入りを眺めたり、散歩をしたり、砂浜で焚き火をしたり、ボートで沖に出て船酔いをしたり、怪しげなバーに行ったり、色々楽しんだけれど、やはり旅の一番の醍醐味は、一緒に行った人との距離が縮まることだと思う。
別の友人の話だが、その友人は、プロジェクトが始まる前に、一緒するメンバーと旅に行くことを恒例としている。例えば新しいお店を作ることが決まったら、建築家やデザイナー、インテリアコーディネーターや店長、開店後の主要スタッフを連れて、2泊や3泊の旅に出る。予算はすべて彼持ちなのでそれなりの出費になるが、効果は絶大だと言っていた。
新島での最終日。朝からKさんに緊急の仕事が入り「適当にやっといて」と言われひとりで散歩に出た。「仕事終わったよ」とLINEが来て、「じゃあ例の焼き肉屋で昼飯しよう」とやり取りし、また二人で出掛けた。それぞれが、それぞれのペースで過ごせる旅というのは、心地がいい。そんな風に三日目を過ごせたことが、まさに旅の効果である。
9月*日
「アソブロックとは何だったのか」(ホンブロック刊)が発刊間近となり、アマゾンに新刊登録をしたものの、情報が反映されず困っている。
「登録情報の送信は完了です」と表示されるが、一向に承認画面一覧に表示されない。承認画面一覧に表示されないと、一般の人の画面には出てこず、予約購入していただくことができない。
本件について繰り返し問い合わせても、「今日中に返答する約束はできかねます」という回答だけがすぐに届き、問題解決に向けての回答はいつ来るかが分からない。
アマゾンは、度々こういうことが起こるから、正直な話、できれば利用したくないのだけれど、あまりに便利でみんなが使っているので、そこに流さないと商品自体が「ない」ものと見做されるリスクがある。だから仕方なく、いちいち腹を立てないように、柔軟に付き合っている。
と書けば聞こえはいいが、要するに飼い慣らされているということだ。
9月*日
ドイツの原発ゼロ政策が揺れているとニュースで聞く。
ウクライナ問題の影響から来る燃料代の高騰が、一般家庭に大きな負担を強いているのが要因だ。「それとこれとは話が違う」とデモをする人たちもいるが、世論は「原発稼働止むなし」に流れているという。どちらの言い分も分かるが、信念を貫くのは難しいことだと思う。
例えばぼくは経営において「人の成長支援プラットホーム」を掲げてきたが、これが「儲かっている時だけ」のルールになってしまうと、持てる人の戯言になりかねない。死なない限りとするのか、この暮らしが維持できる限りとするのか、気分が乗っている際はとするのか。
信念とはどこまで貫けるかであり、貫けたものを振り返って信念と呼ぶのかもしれない。
9月*日
母・典子さんの三回忌法要だった。
受験期で塾通いが続く長男中3と妻は自宅に残り、長女小4と二人で大津の実家へ向かった。長女は「お父さんが留守番すればどうか」と最後まで提案をしていたが、私の母の法要であり、それは無理筋である。
久々に勢揃いした弟や妹と一緒に話をしていると、父・士郎さんが「鎌倉殿って面白いの?」と聞いてきた。「はまっている」と答えると、「自分の友人も面白いから観ろと言うのだが、確認したら既に34回目だ。とてもじゃないがそんな長いものは観られないし、今から追いかけられない」と言う。「まあ確かに」と言いながら「最近はどんなの観ているの?」と聞くと、「ネトフリでテラスハウスにはまって全シーズン観た」と言う。Season1だけで全98回だ。どないやねん。
9月*日
「チョンキンマンションのボスは知っている」(小川春秋社)が面白い。
2019年刊行なのだが、最近目について読み始めたら止まらなくなった。振り返ると面白いのはP78~87まで。この10ページを繰り返し読んで色々と考えた。
・自己責任とはどこまでを指し、どこからが「不運」の領域であるのか
・「いま」の状況に限定した形でしか他者を評価しない姿勢について(そう聞くと冷たいようにも思えるがある種の寛容と表裏一体である)
・互助のエンジンは「ついで」に限るという考え方
などについて、チョンキンマンションのボスの考えが著者の視点で解説されれている。これまでとこれからの自分の経営姿勢について整理するとてもいいヒントになった。未読の方はぜひ。
9月*日
8月のエントリーに書いた小田原市の古民家活用提案の最終プレゼン日だった。
説明会、視察、書類審査を経て、最終プレゼンに何社・何団体が残ったのか、正確には分からないが、ぼくたちは13:30~で初日の3番目とのことだったので、午前2組、午後3組と考えて2日間、計10組くらいの最終決戦ではないかと思う。
持ち時間は20分。その後質疑が20分ある。プレゼンに参加できるのは3名までと決まっている。持ち時間はぼくが10分、残り2人を5分ずつとしたが、何度リハをしてもぼくが13分かかる。ということで2人には3分半に短縮してもらい本番へ。
審査員5人とアドバイザーと言う立場の人が2名、ほかに小田原市の職員と思われるオーディエンスが5人ほど並んでいた。
言いたいことは言えた。結果は10月の日記で。