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2023年12月の日記~「人は意味を食べて生きている」号~

12月*日
12月最初の週末。
「どう?就活」というイベントに2日間参加した。
「どう?就活」は友人の西村佳哲さんがファシリテーションをする「働く」と「会社」を参加者みんなで考えるイベント。世田谷文化生活情報センター・中村幸さんの熱意で3年間続いてきた。初年度は私もゲストに呼んでもらい、社長を引き継ぎたての立場から「会社とは何か?」を少し話させてもらったのだけれど、まさかこれを書いている2年後に社長に戻っているとは夢にも思わず。胸を張って早期引退の狙いを話している当日ぼくに、耳打ちしてあげたい気分である。
以下は参加者として場所にいさせてもらった中で心に残ったフレーズたち。Xに投稿したら、結構みんなが見てくれた。

「進路のチョイスはいい加減でも、その環境の中で一生懸命生きてきた自負はある。進路のチョイスは一生懸命でも、その環境の中でいい加減に生きてしまう人もいる」(川内有緒)

「『生きるために働く』という言い方が、人が『働くことの本質』と向き合う機会を遠ざけさせている」(鳥羽和久)

「『「志があるから頑張れた』という人と同じくらい、『志がなかったから続けられた』という人もいると思う」(北川史織・暮らしの手帖編集長)

「こんなもんでええやろ」という仕事をしていたら、「こんなもんでええやろ」と言う社会ができる」(小川立夫・パナソニックCTO)

「人は意味を食べて生きているところがあると思う。意味を感じられないことをやり続けることは拷問である。会社の仕事がどんどんそうなってきている気がしてならない」(西村佳哲)

12月*日
3カ月に渡って50人以上の方と家族を学んできたオンライン講座の最終日。
実は秘めた思いを胸に講義を受けていた。その思いとは、最後のぼくの挨拶の時間に「頼むから本を買ってください」とストレートに言うこと。
そう思うようになったのは、先の「どう?就活」で西村さんが実に上手に本を宣伝されているのを見たことと(スライドを使って時間をかけて、よかったら買ってではなく、ぜひ買うべきだという論調で)、友人のフローレンス・駒崎弘樹くんが数百人(いやもっと?)の知り合いに個別に「寄附をお願いします」と連絡をしているという話を聞いたこと。
二人がしていることは、ぼくに言わせれば「判断を相手に委ねるのではなく、熱意に負けてアクション(購入・寄付)しちゃいました」を誘発すること。と書くと、なんだか二人が悪徳詐欺師みたいに聞こえるかもしれないけれど、二人とも信念に基づいたお願いであることが伝わってくる。
そして自分も、ホンブロックの「家族の練習問題」シリーズはすべての家族が絶対に読むべきだと信じて出版を続けている。その熱い思いは二人にも負けない。そう考えると、あとはその熱意をぶつけ切れるかどうかだ。本当はカッコよくさらっと薦めて買ってもらいたいけれど、それではなかなか買ってくれない。そのことは短くない出版社発行人としての歴史が証明している。わずかなプライド?によりかかっている場合ではないのだ。
ということで、講義の最後、オンライン講座はあくまでおまけであり、本懐は本を売ることで、この本が売れないと我々は生きていけないんです~、と、オブラートに包み過ぎずに熱意を受講生たちにぶつけさせてもらった。
という話を意気揚々とホンブロックのオンライン販売担当・やまちゃんに今日話して、結果何冊だったかを聞いてみたら「団さんにいつどう言おうかと悩んでいたんですが…。0冊です」と言われた。凹む。

12月*日
長男がまだ小さかった頃、保育園友だち4家族でキャンプに出掛けた。
夜、焚き火を囲みあれこれ話をしていると、父友のひとりがスマホを片手に震え始めた。スマホがバイブ機能で震えているのではなく、スマホを持った父が震えている。聞けば「日本が南アフリカに勝った」というのだ。後に「ブライトンの奇跡」と言われる、2015年ラグビーW杯の試合であった。
大学までラグビー部で活躍していた彼の興奮は常軌を逸しており、何がどうすごいのかを伝えようと、見たことのない饒舌ぶりで話しまくっていた。おかげでラグビーIQが一夜にして跳ね上がった気がした。
時を経て今、ぼくもすっかりラグビーファン。そして今日、駒沢オリンピック公園陸上競技場にリーグワンの試合「リコーブラックラムズ東京vs三菱重工相模原ダイナボアーズ」を観戦に行った。駒沢こもれびプロジェクトでブラックラムズの皆さんとご縁ができたことからの発展であった。試合は一進一退だったが、ここが決まれば、というペナルティゴールを外してしまい、ブラックラムズは負けてしまった。
ラグビーはプロ野球やJリーグなんかと違ってプロスポーツとしての規模はまだ小さいので、選手たちも徒歩で最寄駅に向かい電車で帰る(自家用車の人もいるのだろうけど)。前を歩く選手の身体の大きさは尋常ではなく、歩道の向こうが見えないほどだった。背中に飛び乗ってみたい!と思ったけれど、さすがに気持ち悪がられるかと思って止めた。

12月*日
「会社ってなんだ」というのは自分で会社を始めて以来、尽きることのない興味と疑問。20年以上続けて来て、どうやら自分にとっては「売上・利益を追求する集団」ではない、ということに確信は持てたけれど、じゃあ何だと言われると、その時々の仮の答えしか持てていない気がしている。
「統合報告書」というものの存在は数年前から知っていたけれど、その制作の相談を受けから、興味を持って見るようになり、「会社ってなんだろう」のヒントがここに隠されているような気がしてきた。
ということで、旧知の友人たちに声を掛け、統合報告書を研究する活動を始めてみることにした。定期的に集い、「会社ってなんだ?」について意見交換をする。目指すは「日本により良い会社を増やすこと」で、先日は遂に合宿を開催した。24年中には、何かしらのアウトプットを世の中に対して提案したいと思っている。ちなみに、合宿の様子をアソブロックの自社メディア「あ総研」に掲載したので、興味があれば読んでみてください。
いや、絶対に読んで!(コチラ)

12月*日
いがらしろみさんが主宰するロミユニというお菓子屋さんが地元・鎌倉にある。そこのクッキーの絵柄をセキユリヲさんが描くことになった。セキさんとろみさんは昔からの友だち。ぼくとセキさんは20年来のビジネスパートナー。ぼくはまだろみさんに直接会ったことはないけれど(見かけたことは何度もある)、お菓子のおいしさは把握済。やることが多すぎて絶望的な時に、ロミユニのレモンクッキーを1枚食べるだけで「まあ、やるか」と思わせてくれる、それはもう、素敵な味なのである。
これは買わねばなるまい。
発売は、クリスマスマーケットの3日間限り。セキさんの絵柄は素敵なのですぐ売り切れてしまうかもしれない。何がなんでも初日に行かねばならぬ。と思ったら、ちょうど出張の日だったので、奥さんに頼んで買ってきてもらうことにした。
そうして手に入れたクッキーは予想通り美味しくて、かわいくて、プレゼントした一人は、「賞味期限の最終日まで食べずに眺める!」と言っていた。
そうすると、クッキーの味は落ちる気もするのだけけれど。

12月*日
オンラインで「団士郎トークライブ」を今年も無事開催することができた。6月と12月の年2回開催で、今回が9回目。毎回、少なくない皆さんが有料にも関わらず参加してくださり、感謝である。それともうひとつ、士郎さんの元気が開催できるほどなことにも感謝。80歳が近いので、こちらも心配は尽きない。聴きたい人がいて、話したい人が元気。この二つの奇跡が4年も続いているかと思うと、感慨もひとしおである。
記念すべき第1回は、母が亡くなって10日後だった(こういうのがグーグルカレンダーですぐ確認できるのってホント便利)。もちろん母の逝去を予想していたわけはなく、偶然。士郎さんの第一声は「つい先日、妻が亡くなりました」だった。
その時に話された内容は、誰かに語り掛けているようでもあり、亡き母と話しているようでもあり、父自身の心の声が漏れ出ているようでもあり、不思議な印象を残すものだった。なぜ昨日のことのように覚えているかと言うと、手元に録画資料があるから。ZOOM開催はそこが便利。主催者特権で、時々見返している。
トークライブが、どうか末永く続きますように。

12月*日
仕事ができる人は12月をおまけだと考える。できない人は追い込み月だと考える。
かつて誰かに言われた気がするのだけれど、今年のぼくは完全に追い込まれた側の人。到底終わる気がしない量の仕事をしている。
理由ははっきりしていて、アソブロックの社長復帰で、実務とマネジメントが並走しているから。アソブロックの社長をしているときは、極力実務をしないようにしてきたのだけれど、退任を機に新しいことをいくつか始めて、喜んで実務をしてきた(実務は好きなんです)。そして今、その混在に苦しんでいる。
箱根駅伝に例えるなら、ランナーとして区間賞を狙いながら監督車で戦略を練りつつ、給水係として水を渡しているようなもの。そんなことは不可能だから早く整えて行かないと。繰り上げスタートになってしまうぞ。