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1995 ネパール -6-
細かい会話は覚えていないが、宮沢りえは私の助けを必要としていた。彼女はチトワン国立公園に滞在していて、そのホテルなのかバンガローなのか、そこにパスポート他貴重品を忘れてポカラ行きのバスに乗ってしまったらしい。
そのことは、ポカラ行きのバスが途中休憩で立ち寄った、いわばドライブインのような場所で知らされる。
私はたまたまポカラを拠点にしていたキムタクに似たガイドさんとチトワン国立公園で仲良くなっていて、ポカラに行ったら現地のあるホテルで会う約束もしていた。彼は一足先にポカラへ帰っていた。
彼がチトワン国立公園の泊まり先に連絡してくれると思いますよ。でも、取り急ぎその事を今誰かに伝えてみます。あなたから説明できますか?英語は?
出来ません。
!!!!????
でも私、今夜ポカラでどこに泊まれば。。お金、有りませんし。
兎に角、ポカラで彼に会いに行きましょう。
ポカラに着いた足で、キムタクの言っていたホテルを目指す。
Hi!
キムタクはそこで私と再会してくれた。
実は彼女が貴重品をチトワン国立公園に忘れたみたいなんだけど、確認とかしてもらえますか?
もちろんさ。
まんじりともしない時間がすぎる。もし宮沢りえのパスポートが無くなったとしたら、想像するだけでも恐ろしい。ここは、カトマンズから8時間はかかろうかというポカラであり、大使館だってカトマンズに戻らないと当然ないのだ。
私だけが宮沢りえの頼り。そしてなんと頼りない、我を嘆く。一緒にいる以外出来ることなど何もないのだから。。
Hi! 連絡とれた!貴重品は全部あるって!
!!!!!
こんなこと、、あるんだ。宮沢りえが忘れた貴重品は何一つ欠けることなく、後日、ポカラに届けられる。
ありがとうございます!
いや、俺は何もしてないし。でも、良かったですね!本当に良かった。キムタクは颯爽とその場を去る。
残された私と宮沢りえで再び作戦会議が始まった。
でも、ワタシ、今夜どうしよう。
俺と同じホテルに泊まったらどうですか?お金なら貸すから。
でも。。
え?(選択の余地ないよね。(汗))
同じ部屋に泊まってもいいよ。。お金のこともあるし。
!!!!????(そっち?!)
あ、いや。それは。ダメです。別の部屋を手配してもらいましょうよ。
でも、お金がないから。。。
あー、それは。俺が何とかしますので。
彼女は宮沢りえである、私にとって。同じ部屋に泊まるという事は、予算的に間違いなく同じベッドで寝ることになる。自己制御の自信は欠片もない。そんな自分を見たくないし、チョットした人助けをした挙げ句、性行為を迫るなんて人として最悪だ。
私は宮沢りえの提案を固く拒み、彼女は私の隣の部屋に泊まることになった。
が、後日、キムタクと宮沢りえは次なる展開を迎えることとなる。