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1995 ネパール -2-
飛行機の窓側の席。着陸まであと少し。外を眺める。いや、これは。。
空港というものは広く開かれた所にあるものだと思っていたが、カトマンズ空港は盆地にあるようで、ラーメン丼ぶりの底というよりも、ワイングラスの底に滑空していくようなスリルを感じる。
因みに、私が一番ストレスを感じたのは、この一見無理とも思える着陸ではない。ネパール人が全く着席せず、歩き回り、井戸端会議をそこここでして、機内アナウンスに全く耳を傾けない事であった。自由人なのか、それともあまりに飛行機慣れしているのか、私が初めてのネパールを前に緊張している事を彼らに転嫁しているのか。
無事に着陸を終える。預け荷物は無いので、そのままカスタムを通過してネパールの空気を吸う。3ヶ月もタイで過ごしていた身体には少しだけ冷たく感じる。まだ、この時は事の重大さに気づいてはいなかったが。
市街地までタクシーに乗る。今もそうであるように、空港には沢山のタクシードライバーが客引きをしていた。
コンニチハ! ニホンジンデッカ?
え?日本語?!それも、関西弁。。この衝撃は、着陸までの窓から見た光景の比ではなかった。
どうやってホテルを決めたのか、記憶は曖昧だか、恐らくは一旦市街地に行ってから成り行きで決めたのだろう。
そのホテルは見た目も新しく、実は11月は私の誕生日だったこともあり、少しだけ贅沢するつもりで予算を都合した。そのホテルで起きたのは、思いもよらぬ出来事だった。