見出し画像

1995 タイ -6-

流石に、好きな女性に告白がしたいからタイ語を教えて欲しいとは、誰にも言えないが、私がタイ語を教えて欲しがっているということは即座に伝わり、バンガローのスタッフは子供用のタイ語テキストを買ってきてくれた。

それ以外に私の手元にあったのは、いわゆる旅行ガイド。その巻末に、オマケ程度についていた会話集は、ハッキリ言えば使い物にならない。そもそも、タイ語を日本語で表記することは不可能なのだ。と言うことすら、私は知らないままタイ語を学ぶ事を決意していた。

日本語で言う所のアイウエオ、五十音に相当するものを、そのバンガローのスタッフが熱心に教えてくれるのだが、何を習っているのかが分からずに勉強をすることほど厳しい事はないだろう。

私はただ、笑顔で相槌をするだけであったが、そんな授業も毎日毎日やれば少しは進歩するものだ、と当時は思っていた。英語で話ているのに、途中からタイ語で話すようにもなっていた気がする。タイ語で喧嘩をすることもあった。

しかし、それはそういう気がしていただけで、実際のところは怪しいものだと、2018年に本格的にタイ語を学ぶようになって気がついた。ちゃんと習えば習うほど、当時私は何を根拠にタイ語が話せると勘違いしていたのかと背筋が寒くなったのである。

いいなと思ったら応援しよう!