『デクスターズ・ラボ』とか『ラウド・ハウス』というアニメに携わったクリス・サヴィーノという人について
一時期、カートゥーンネットワークとかのカートゥーンに嵌まっていたことがあり、それらに関するサイトを覗いてたことが結構あった。
で、「邪悪なキテレツくん」と呼ばれてた『デクスターズ・ラボ』で後の方から監督をしてた人というのでクリス・サヴィーノという人の名前を知った。
『デクスターズ・ラボ』はゲンディ・タルタコフスキーという(ソビエト連邦出身のロシア人でアメリカに移住した際に旧名ゲンナジー(スパロボ或いは魔装機神にそんな名前のキャラがいた)からゲンディに改名した人)歴史的アニメーターが監督してた作品で、のちに『サムライ・ジャック』(宇梶剛士と菅原文太の師弟で吹き替え共演という今思うとゴージャスな布陣)とか生み出していた人で、デクスターがロシア語訛りというところからデクスターにゲンディのなにかが反映してるのではと思ったことがある。
で、『デクスター~』というとオタクでインテリ(でもおバカ)な弟・デクスターに対してチアリーダーの卵であるおバカ(ゆえに危険)な姉ディーディーの戦いを主軸にしたスラップスティックでブラックなコメディで、情けないようで実は肉体派な父と専業主婦の母の家庭であるのに対し、ライバルのマンダークことスーザン・アストロノミノフという少年(でもディーディーにはホの字)の両親はヒッピー出身で妹オルガの名前は溶岩姫(ラダァ・バーバ)という、自由奔放なようで教育には熱心な二面性とかにアメリカという国の「己のみは己で守れ」な投資にはしっかりしてた一面を感じた。
『デクスター~』でゲンディが監督してた時期はデクスターとディーディーの鬼ごっこ(というか戦い)主軸だったのが、劇場版作品『エゴ・トリップ』で監督を務めたクリス・サヴィーノが監督を務めてからはデクスターVSマンダークの話が多くなって人気が下降したみたいな感じだったという。
一応、サヴィーノも凡庸というわけではないが、「天才」なゲンディと「職人」「秀才」なサヴィーノという感じで見ている人が多かったのか、アニメクリエイターとしての名声はゲンディ・タルタコフスキーの方が一歩上を行ってたんだろうなあという印象を受けていた。
それから相当経ってだろうか、googleでクリス・サヴィーノの名前を気まぐれで検索したら、2016年にニコロデオンで自身が5人の姉妹含めた10人兄弟の大家族の中で育った経緯(サヴィーノ自身は10人兄弟の9番目だという)を活かした作品『ラウド・ハウス』という作品を立ち上げたということを知る。
「今までよく頑張ってきたなあ」「よく頑張った」と思った。
この『ラウド・ハウス』という作品は2016年から現在に至るまで続いているようである。日本でも放送されていて日本語版では主人公のリンカーン・ラウド(11人姉弟の真ん中で黒一点)を斎藤千和が演じているようだ。
しかし、現在のスタッフの名前にクリス・サヴィーノの名前はない。
そう、サヴィーノの栄達を知ると同時に悪い意味で衝撃を受けた。
2017年にサヴィーノがアニメ業界内で性的嫌がらせの加害者として「少なくとも10年」悪名を成していて、これによってサヴィーノは妻とも離婚、スタジオを解雇され、名声を失ったという話だった。
まあ、「me too」という感じなんだろう。日本では周回遅れで起こっている感じだが、アメリカでは2017年にハリウッドの大物プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインのスキャンダルから点火した感じだった。それによってサヴィーノもアニメ界の名うての制作者から性犯罪者となったわけだ。
今では日本でもこの手の話題で大騒ぎとなっており、日本人だけでは情けないことに事態究明不可能だったジャニー喜多川問題とか最近でも中居正広の一件からフジテレビが見事にこういうことをやってましたな悪の組織のごとく叩かれまくり、そしてそれは他のテレビ局もそうなんじゃないんですかという話にまでなってるのかもしれない。まあ、あの会見が云々と言って記者たちを叩く輩も多いだろうけど、正直中居正広やフジテレビは自業自得だと思うし、フジサンケイネットワークも悔い改めて叩きのめされて膿を出しまくって一から出直せという感じだ。
ちなみにサヴィーノは一年間の謹慎処分後にアニメ界から出されたが、児童文学だか児童向け作品にシフトして作品を発表し続けているようだ。
一応クリエイターとしては活動しているようだが、アメリカ本国で彼がどう評価されているかについでまではわからない。まあ、茨の道なのかもしれないが。