ドタバタ密室
「なんであんたとこういう状況になるわけ??!最悪!!!」
狭い密室の中で閉じ込められた男女
「ちょっといい感じに壁ドンしてんじゃないわよ。私じゃなくて他の男にしなさいよ」
「そっちこそやけに色っぽい格好してるけど、俺は全くもって興味ないしな。」
何故か今日はエレベーターが急に止まってしまい、二人は閉じ込められた。
突然エレベーターが大きく揺れて、男性が女性に 壁ドンをしている形になった。
この二人は同じ会社の同僚で今夜はお互いにデートがあるのできっちり決めてきているのに
この状況に陥っている。
二人ともケータイを開いてみるが圏外だ。
彼女は黒のシックなスリットが入っているドレスに
シルバーのちょっとしたアクセサリーが
ついたピンヒール。ピンヒールの先が尖っていて凶器になりそうだ。
俺はスリーピースデザインの少し青い色のスーツで決めてきた。
「ちょっと近いから離れて・・・ってどこ触ってるの馬鹿!!!」と平手打ちを食らう。
「いってぇ!しょうがねえだろ・・・」と彼女から離れる。
俺の手が彼女の腰に触れていた。
全部の階のボタンを押してみるが反応が無い
しばらくこのままなのか?
仕方がないので床に座って待つことにした。
少し暑くなってきたので上着を脱ぐ。
彼女がぽそっと呟く。
「私ってオカマっぽい?」と聞いてきた。
「なんだよ・・・いきなり」と俺は戸惑う。
「デートの予定があったからいつもより女子力を出してばっちりメイクを決めて歩いてたのそしたら向かいから歩いてきた大学生数人が私の顔見て、あいつオカマじゃねwwwってだから
睨み付けてこう言ってやったの、オカマじゃねえよ、ぶっ殺すぞってね」思い出し笑いをしながら話している。
「それで、相手側の反応は?」
「すごいビビってたわwざまあみろだわ!本当」
彼女はベリーショートにしているのでよく間違えられると言っていた。
笑った顔が無邪気で可愛いと思った。
「オカマっぽくないし、俺は可愛いと思う」と彼女の目を見てハッキリ言った。
すると彼女が顔を真っ赤にして
「もう、何言ってんの・・・バカ・・・でもありがとう」と肩を思いっきり叩かれた。
「いってえ!!!お前ゴリラかよ」
「は?ゴリラって・・・本当ぶっ飛ばすわよ」とピンヒールが壁に突き刺さる。
「こわ!!!っていうかパンツ・・・」と小声で言うとかかと落としを食らった。
「いってえ!!!」とこんな感じでドタバタしている
とガタンっと音がして、エレベーターが動き始めた。二人は慌てて身なりを整えて何事も無かったかのように振る舞い、エレベーターを降りた後にお互い顔を見合わせ笑い合うのだった。