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あなたの呼び名はなんですか

わたしはちょっとおかしいようだ。
「もっと普通になって」と言う夫に「普通とは何ぞ」とよく凄んでいるが、幼稚園児の頃から「変人」「変態」と言われ続けているもんだから今となっては何も感じない。「じゃあ夫婦やめるか」と言えば「今さらやめるか」と言う。じゃあ喧嘩なんて売ってこなきゃいいのに、ふん。

ところで私の旧姓は「イトウ」である。フリーランスとして生きていくためには大門美奈になってよかったと思っているが、様々なあだ名がついて回っていた。「みなちゃん」うん、これは普通だ。「イトーちゃん」なんだかお父ちゃんみたいだな。「イトウ」魚のようだがこれは今でも中学時代からの友人が使っている。「人は皆イトウミナ」ずいぶん長いがこれはこれで気に入っていた。「ミナッツォ」なぜイタリア風になったのかはよくわからんが、これは大学の農友会華道部の友人からの呼び名である。そんな彼女の名は「モニカ」であり、のちに日本語のミドルネームがつくことになった。現在は遠くに住んでいるが、いまでも年に2〜3回は連絡を取り合っている。モニカ、元気にしてる?

夫からはなぜだか「あんさん」と呼ばれている。夫の転勤につきあって一年ほど大阪に住んでいたことが影響しているのか。「あんさん」と呼ばれるもんだから私も同様に夫を「あんさん」と呼んでいる。大体お互いの名前がマ行から始まるので言いにくいというのもあるが、私はたまに夫のことを「おい」とも呼ぶ。私が「おい」などと呼ばれたら黙っていないだろうから、これはいつか改めたいところである。

ところが1月末に大阪の環状線に乗っているとき、夫が何を思ったか「ねえ、みなさん」と呼びかける。あら珍しいわねと思い「なあに?」と機嫌良く返事をしてはっと気づいた。ここは大阪。「あんさん」なんて呼びかけようなら全員振り向くに違いない。「…そういうことか?」と訊ねたら「そうだ」と言う。想像してクククと笑う。

猫の耳はうすい

まあとにかく呼び名は何であれ、今後自宅で知人を対象に少人数制のWSを開くことが増えそうなこともあり、現在色々と整理を進めている。先日壊れた椅子を粗大ゴミに出してヘンテコスイッチが入ってしまったのか、確定申告の締め切りが近づいていた3月13日、放置していた納戸を片付けようと思い立った。時間は午前8時。基本楽観主義なのでその日のうちになんとかなるんじゃないかと思って手をつけたわけだが、1時間ほど経過し玄関まで溢れ出た荷物の山に前に早くも後悔した。ここまでの荷量(約6畳間にみっしりと展示返却物やらレンズの空き箱やらキャンプ系ギアやら)は、通常一週間はかけて行う量だと。さすが3年熟成させただけはあるというもの。酒ならウイスキーができるぞ。

結局一日中作業し続けた結果、ほぼ完璧といえる状態まで整えることができた。整然とした納戸を見て「ミナスイッチは入ると凄いな」関心しているのか呆れているのか、夫が深いため息とともに言葉を漏らす。見たか変態の底力を。伊達にわたしという人間を40年以上やっているわけではない。

部屋がきれいになったお陰で空気の流れが良くなったのか、行き詰まっていた確定申告も期限内に無事完了、というご報告でした。

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