穴ぼこの愛
昨日は恋人がドーナツを買って帰ってきた。
ずいぶんと久しぶりに食べる気がする。わたしはドーナツがあまり好きではないので、自分から買いに行くことはほぼない。だから誰かが買ってきてくれない限り、口にすることはない食べ物なのだ。
普段は紅茶派なのだけど、ドーナツには何となくコーヒーを合わせたい気持ちになる。牛乳と砂糖を入れて、少し飲みやすくしたコーヒーと、もちもちの黄色いドーナツを食べる。恋人に1玉あげる。一口ちょうだいの中でも、結構分けやすいタイプのドーナツだな、と思う。
コーヒーを夜飲んでしまったせいか、眠れなくなってしまった。
最近とんと寝つきが悪くなったので、ひたすら刺激の少ない音楽や朗読を聞く。普通の人に戻るには、眠りから何とかしよう、という気持ちだけが空回りする。明るくなり始めた空を憎々しく思いつつ、遠くにいる眠気をじっと待った。
今日はどんよりとした天気だった。梅雨ってこっちはないんじゃなかったのか、と思うほどここ最近は曇りや雨ばかりだ。気温もずっと低いままで、いまいち調子が上がらない。暑いぐらいの日差しが恋しい。洗濯物が乾かないのだ。
昨日食べなかったほうのドーナツを食べる。穴の開いたドーナツは、素直に向こうを映す。甘ったるさをコーヒーで流して、気だるい今日を乗り越えた。
明日も天気は悪いらしい。まいったな。洗濯したかったんだけどな。
見つけてくれてありがとうございます またどこかで会いましょう