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恋愛における未練


ひとつの恋愛が終わった後に残るものは、決して良い思い出ばかりではない。
むしろ、良い思い出として終わる恋愛は数少ない。多少なりとも、心のどこかにしこりを残す。

その中でも、相手への未練というのは、じつに厄介である。
筆者の話だが、男性への断り文句がある。それは、「他に好きな人がいるからごめんなさい」である。もしもデートを重ねていたり、思わせぶりな態度をとっていた場合は使えない。きちんとした理由を伝え、断るべきだろう。それでも大抵の男性は、これで納得する。その後に無理に誘われることはない。ストーカーになることもない。恐らくこの言葉は、最も相手が断られた時のダメージを最小限に抑えてくれるのだろう。"他に好きな人がいるから"という理由に納得せざるを得ない。そのため、後にまで引きずられることもない。だが、お付き合いしていた男性にはどうかというと、これはケースバイケースだが、このフレーズはおすすめしない。相手の、自分への熱が冷めるのに時間をかけるのがベターだと思う。そのときに、自分が嫌われることを怖がってはいけない。そして、正直にすべてを話すことが正しいとは限らない。相手が自分に未練を残さないための優しい嘘も時には必要である。ここを間違えると、最悪の別れになりかねない。

お互いの気持ちが冷めてお別れできるのが一番理想であるが、そうはいかない場合に、どちらかに相手への未練が残る。楽しかった恋愛よりも、上手くいかなかった恋愛の方がより、未練が強くなる。人が突然亡くなったときに、この世に未練を残すのと同じように、相手への気持ちが成仏できないのだ。そんな、自分の中の亡霊をどうやって成仏させるか。
時間をかけて、次の好きな人を見つける。だいたいこのようなことが失恋したときのセオリーだが、それができたら苦労はしない、である。終わった恋愛に対して無念な想いがあると、「あの時◯◯していたら、きっと上手くいっていただろうに」このような想いが堂々巡りしてしまい、それはやり直せないからこそ、想いが強くなってしまう。ではどうしたら、このような想いのループから抜け出せるのだろう。

ひとつは、相手との繋がりを切ってしまうことだ。連絡先を消して、こちらから連絡をとることが不可能であれば、酔って連絡をしてしまうこともあるまい。いちお言っておくが、酔っ払って連絡したという話はよく聞くが、上手くいった話など聞いたことがない。復縁を望む場合、こちらから連絡しないのは鉄則である。ただ、別れた後にどうしても顔を合わせる機会がある場合は別である。職場が同じだったり、同棲をしていて、金銭的に今すぐに別々に住むことができないなどの事情がある場合は、とても苦しい想いをしてしまう。

ふたつ目は、相手を客観的に見ることである。相手のことを好きであるときほど、実はその人のことをちゃんと見えていない場合が多い。見ているつもりでも、甘々で見ているのだ。"あまたもえくぼ"というやつだ。なので、相手の嫌なところをたくさん挙げてみてほしい。意外と沢山あるだろう。その作業をしているなかで、「この人、そこまで大した男じゃなかったな」と思えたらしめたものだ。それを繰り返すうちに、「この人をずっと引きずっていたなんて、時間の無駄だったな」と思うようになれば、もう亡霊は成仏できるだろう。
これは間違いないことだが、「この人以上の人はいない!」と思うことは、ただの一時の思い込みである。素敵な人なんて、この世には沢山いるのである。「あの人以上に私の事を理解してくれる人はいない!」なんて、そんなの幻想である。本当に理解できていたかなんて、わかるまい。

最後に。上手くいかなかった恋愛なんて、どう努力したところで、結局は上手くいかないのである。それでもあなたは、一瞬一瞬をその時の"最善"で選んできたはず。そこは自分を褒めてあげよう。そしていつか必ず、それが分かる日がくる。

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