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トウシューズどこやったっけ

きょうの朝ごはん:ハロウィン仕様にデコられたチョコのドーナツ(コロナの後遺症で苦味しか感じなかった、かなしい)


ママに「無料券があるから」と誘われて
バイトも休みだし、ちょうど行きたい所があったから行くかーと
なんとなく、何の気なしに ついていった映画で
嗚咽が出るほど泣いた

「ダンサーインParis」
恋人の浮気に動揺して本番の舞台上で怪我をしてドクターストップがかかり、バレエを踊れなくなった主人公が色んな人と出会いながらコンテンポラリーダンスを始めて新しい人生を歩んでいくストーリー

私も3歳から12歳までバレエを習ってた
当時ママが働いていたカフェから近い小さなバレエ教室で
周りの友達みんなが部活に勤しむ中
私はずっと帰宅部でひたすらバレエに夢中になってた

その教室は特に有名でもなければ、先生がすごいバレエ団を卒業した!みたいなキラキラしたものがあるわけでもなくて
歳を重ねて上手にトウシューズで踊れるお姉さんたちはみんなすぐ他の有名な教室に移っていってしまうくらいの「アットホーム」で初心者向けなバレエ教室だったと思う

そんな箱の中に居たから、あっという間に自分も「お姉さん」の部類になって、まだトウシューズも履いていないのにセンターで踊らせてもらったり、2歳とか3歳とかしか違わない一個下のクラスの子の前で「天使は手の表現が上手いから」と自分のレッスン前にお手本で踊ったりした

これだけ細かく記憶してるぐらい、割と褒めて育ててもらったから、まだ小学生だった世間知らずの私は「わたしはバレエが上手なんだ」とバレエに関してはずっとポジティブでいられた
すごく 幸せだったとおもう

でもトウシューズを履くようになってから
基礎が足りていないまま無理矢理ポワントで立っても怪我に繋がったり、変なクセがつくんじゃないかって心配したママに
東京のバレエ団を卒業したすごい先生のところに移ろうと提案されて、教室を変わった

最初はワクワクしかなかった
見学をした時、今までの私がしてきたレッスンの緊張感とはレベルが違くて
同い年ぐらいの子がみんな当たり前のように基礎のレベルが一貫して高くて
高校生ぐらいのお姉さんたちなんて私からしたらプロレベルに見えるくらい上手に踊っていて
ここに私も入れたらもっと自分の可能性が広がるかもしれないって小さいながらに大きく期待してたと思う

でもある日右足が肉離れしてしまって
そこからトウシューズで踊る時、一度地面に踵をつけてからまたポワントでアップする時に足首がゴリゴリって音を立てて痛むようになって、トウシューズでのレッスンが苦になってしまった
レッスンの前夜に「明日は足首が痛くなりませんように」ってお祈りするのも日課になって
トウシューズを履いた瞬間から、足首のことしか考えられず「表現をする」までの余裕がなくなって、踊るのが バレエが 楽しくなくなった

今考えればちゃんと整体に通ったりしてたら治ってたのかな とか
人見知りせずに先生とか上のクラスのお姉さんたちに相談したら対処法があったのかな とか思うけど
当時の自分はただひたすら自分の努力が足りないせいだ、日々の行いが悪くてバチが当たってるんだ
みたいな 変な考えが凝り固まってた
そのくらい 変になっちゃうくらい
バレエを怖いと思う自分がありえなくて 認めたくなくて
どうしてバレエをしているのか分からなくなった

とうとう耐えきれなくなって、「塾に通うので」と年齢故の義務感に身を任せて辞めた
先生はそんな私に「最近やる気なさそうやったもんな」って分かってたみたいに言ってきて
あー、人にやる気が伝わらないくらい
あんなに楽しかったバレエに怯えちゃってたのかって一気に諦めがついた

その後はピアノや吹奏楽や演劇っていう新しい表現の方法で「芸術をする私」を上塗りしてなんとか生きていられたけど
ピアノの発表会でも、吹奏楽のコンクールでも、演劇部の大会でも
毎日稽古をして、リハーサルをして、ゲネをして
舞台裏から表に出てそれまでの精一杯を披露して無数の拍手を浴びて...っていう一連の流れを通す度
バレエをしていた自分を何度も思い出してた
芸術を披露する側から離れた今でも
夢の中でチュチュを着てトウシューズを履いて踊る自分をよく見る

本当は踊りたい のかも
トウシューズで立つ感覚なんてもう忘れちゃったけど
レオタードを着れる体じゃなくなっちゃったけど
夢の中で踊ってる時は右足も全然痛くないんだよ
いいなぁ、って羨ましくて恋しくて切ない気持ちで目が覚める
苦しい

バレエを辞めてから諦めることが本当に上手くなった
根性が弱くなって、耐えれないことも増えて
私にとっての唯一の「絶対的」な存在だったんだなって失ってから気づいた
また始めればいいのかもしれないけど
あの頃の自分が続けているのと今の自分がまた始めるのとじゃ埋めるにも埋めれない差があって
何よりも「一度諦めてしまった」という事実があることか後ろめたくて
だめなんだよなぁ、、

この話、特にオチもないんだけど
というか、つけれるオチもないぐらいずっと自分の中にあるモヤモヤなんだけど
いつまで囚われてるつもりなんだろうね(知るか)

でもきっとバレエから離れたからこそ出逢えた縁がたくさんあったし
なんだかんだで20年間ぐらいずっと何かしらの表現者として舞台に立ち続けて生きて来た自分の人生は
自分が思っているよりも濃ゆめの味がしてるのかなって、ちょっと得意げになれたりする
アリかナシかで言うとアリ みたいな
そう思うとあの時の諦めは自分にとって100%マイナスではなかったのかな
そういうことにさせてもらおう

こんなこと書いておいて、急にまた踊り始めるかもしれないし
グルグルぐるぐる暗い方向に考え込むのはたまにでいいか

物は言いよう
常に色んな角度から物事を捉えられる余裕のあるにんげんになりたいね

明日は1日休みだから
家でひとりで 誰にも内緒でバレエしてみようかな
足首も、治ってるかもしれないし
ふふん

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