映画として純粋に楽しめるピンク映画たち
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ここは実は作家主義のピンク映画も充実している。
『64ロクヨン』『ラーゲリより愛を込めて』の瀬々敬久監督や、いまおかしんじ監督などの90年代〜2000年代前半の名作ピンクなど、今見ても純粋に映画として素晴らしい作品が揃っているのに、「地味だ」「つまんない」という感度の低い感想しか書かれていなかったので腹立っていくつか一言レビューを書いた。以下、転載したので、興味が湧いたら観てください。
『汚れた女(マリア)』
何度も繰り返して観た傑作
後半の風景の数々。観ているこっちも呆然と立ちすくむような気分に襲われる。
ピンク映画の範疇を超えて、アジア映画やヨーロッパ映画の同時代の作品たちに引けを取らない瀬々監督の代表作の一つ。
犯罪を犯した女と、被害者の夫がわずかな言葉を交わすだけなのに、厳しい雪の風景と不穏な音楽が二人の心の虚無を語る。商業主義だけじゃないピンク映画の懐の深さを知るためにも必見の一作。
この感覚が後の瀬々監督作品『64ロクヨン』『友罪』『ヘヴンズ ストーリー』などに繋がる。
『弁天のお尻』
脱力系ファンタジーの名作『デメキング』
別題『デメキング』として知られる、
いまおかしんじ監督を語る上で絶対に外せない傑作。
主演の鈴木卓爾氏のキテレツなキャラクターに
長宗我部陽子の何かのパロディにも思える気だるいミューズ。
ジム・ジャームッシュの『デッド・ドント・ダイ』が楽しめる人ならこの映画を愛せるはず!
『迷い猫』
演技もカメラも抑制の効いた傑作
平泉成が、TVでは見せない、むしろ現代演劇で見せるような抑えた芝居をする。派手さはないが、細部にまで静かな緊張感が張り詰め、流石の名優。 長宗我部陽子もベッドシーンですら過剰な演技をせず、淡々と破滅に進んでいく女を演じる。 ひたすら渋いハードボイルドな傑作。 脚本はカンヌ映画祭の常連だった小林政広。 監督は作家主義の強いピンク四天王の一人、サトウトシキ。
『花井さちこの華麗な生涯』
マルチバースとか先取りしてた感ある傑作
低予算という不自由な条件の中で、最大限に自由な映画作りを楽しんでいる怪作にして快作! あのマーティン・スコセッシ監督も噂を聞いてこの作品を取り寄せて観たという(本当に)。 女池監督にはまた新作を撮って欲しい!
『かえるのうた』
公開当時、映画館で泣きましたよ
殺伐とした世の中だけど もうこの映画の最後の多幸感で 自分の人生さえも肯定できると思えた。傑作!
他にも名作がたくさんあるので興味あれば是非!
ほいじゃ。
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