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菊池流帆とトモニ
月曜日がやって来ることが嫌だな。と思いながら過ごしていたらニュースが届いた。
「菊池流帆選手がFC町田ゼルビアへ完全移籍する事に決まりました。」
うん。今年は契約更新じゃないんだね。
割と淡々とした気持ちだった。
2019年2月、小野田
彼を応援しようと思ったのは2019年の開幕直後だった。当時は職場が練習場まで10分の距離だったこともあり、昼休みに発売されたばかりのイヤーブックにサインをもらいに行った。
ファンサービスゾーンで彼を前にしたとき、自分は前々から思っていたことを口にした。
「ホークスの柳田に似てるって言われませんか?」
突然の変な質問にもかかわらず、彼は笑いながらこう答えた。「野球知らんけど、よく言われるんすよ。そんな似てる?」。
見た目やその雑なしゃべり方だけでなく、練習中のひたむきな姿勢までもが雁ノ巣球場で見た若い頃の柳田と重なって見えた。
「めっちゃ似てる。プレースタイルの派手さも似てるから菊池さんも柳田くらいビッグになると思うよ」。
そう言って練習場を後にしたけど、いま振り返ればたかが一サポーターがよくもそんなことを言えたものだ。
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2019年、レノファは苦しい戦いを続けていた。
チームはなかなか調子を上げることができず、家を出るときに「今日も勝てないかな」とぼやきつつも、菊池流帆のプレーが見たいという理由でスタジアムに足を運んだ。
そんな厳しいシーズンではあったが、全力で雄叫びを上げながら戦い・サポーターの声援を背に受け、タケノコのように流帆はたくましく成長していった。その姿を見るのは楽しかった。
そして、素人目にもワクワクするような選手たちを、J1のクラブが見逃すはずもなかった。
山口と、ダビドと、ヴィッセルと
正直、推している選手の移籍に寂しさはあったけど、彼のコメントを見てそれは一瞬で消えていった。
自分は成長しに行くのではなく、成功しに行くのだと。それを山口の皆さんに理解してもらえればと思います。
BIGになってきます!
山口が大好きです!幸せです!!
ダビド行ってきます!
ここまで言われると、「よし、行ってこい!」と送り出すしかないのが自分の性格だ。
大手を振って見送った後はJリーグ昇格後最初に応援した推し選手、小池龍太のように遠くから見守ろうと思っていた。
しかし、以前から応援していた藤本憲明やイニエスタが在籍していたこともあり、気が付けば神戸というクラブを応援するようになっていた。
実際にヴィッセルの試合に通い始めたのは、コロナ規制が緩和され始めた2022年からだった。それまでに彼は本当にたくましく成長を遂げ、サポーターからも愛される選手へと成長していた。
「リューホ」のコールを浴びる彼の姿はとてもかっこよく、心から嬉しく思った。
そこからヴィッセル神戸のことがどんどん好きになり、菊池流帆のこともさらに応援するようになった。
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ダビドと共に神戸を数シーズン応援してきて、何度が考えた考えていた事がある。それは彼がチームを離れても、やはり神戸も山口や北九州と同じくらい自分にとって特別なクラブだと言うこと。
「なんで好きなん?」とか「大迫と武藤が好きって、ミーハーじゃん」と友人に冗談交じりで言われることもある。それでも、自分の中では理由なんて関係ない。ただ、このクラブが好きだから、これからも応援し続けようと思う。
推しが移籍をする。
さて、私はこれからどうしよう。他の選手と同じように草葉の陰からそっと見守るだけにするのか。それとも、個サポとして町田ゼルビアでプレーする菊池を応援するのか。あるいは、山口、北九州、神戸に続いて、町田もクラブごと応援するのか…。
まだ、自分の中で答えを出すことはできていない。
それでも希望の星
話は戻るけど…
2019年のレノファを振り返ろうとしても、あまり良い場面は思い浮かばない。新潟との試合は最高に面白かった記憶があるけれど、それ以外は、フクアリでパウロが自撮りしてイエローカードをもらったことや、高田社長が訪れた長崎戦のジェット風船企画で半数の人がフライングしたこと、ホーム最終戦で大敗し、出番のなかった坪井慶介が最終節にスタメン出場したことなど、どうでもいい出来事ばかりが記憶に残っている。
そんな中でも、活躍した菊池流帆は自分にとって当時のレノファにとって希望の星だった。
今回のコメントを見ると、夢破れたような雰囲気を感じるけれど、過去の報道から察するに町田にとっては数年越しのオファーが実を結んだ必要とされての移籍だと思う。
これまでの苦難を乗り越えた希望の星はこれまで以上に輝けると信じている。
「さあ、やってやろうぜ!」
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…と、きれいにまとめたけれど、最後に一つだけ言わせてください。簡単なものでもいいので、菊池流帆にも専用チャントを作って欲しかったです!