ジェンダー問題は何故ねじれたのか?
NHKのハートネットTV『みんなで考えるジェンダー』を2夜連続で視聴しました。この番組の言わんとする所とフォーカスはズレますが、ジェンダー問題がねじれた理由を忘れないうちに書き留めておことう思います。
① 差別の発生
差別行為が発生した時点で、女性側は言い返せないし、女性本人もそれをその場で指摘もしない(言い返さない)事が伺いとれました。
まず、言い返せない。
背景としては、相手(主に男性)が肉体的身体的に優位で反撃される事を想像したら怖くなったとか、相手の社会的地位が高いなどの理由があるでしょう。
一方、言い返さないケースもあると推測できます。
背景としては、どうせ話をしても相手には理解して貰えないだろう、その現場の空気を壊したくなかったなどの理由があるでしょう。
言い返せない背景、言い返さないケースと言葉を使い分けましたが、前者は止むを得ない不可抗力、そして後者は意図的な妥協したと言い換えられそうです。
後者に付け加えると、空気を読まないからと仕事をクビになったり、長年続いた交友関係をいきなり終わりにさせられる事などは現実的にそうありません。
なので、厳しい言い方になりますが、そのアリもしない恐怖を勝手に増幅させ「嫌がったら嫌われるだろうな、ニコニコしていないと」などと考え「だから私はその場で指摘しなかった」と言うのは意図的な妥協であると分類しました。
もう一度まとめると、
①差別が発生した時点で不可抗力で言い返せないケース
②意図的に妥協して言い返さないケース
に大まかに大別出来るのではないかと考えました。
② 差別はいつ指摘するべきか
何事においても、良し悪しや優劣をジャッジするには両者からの聴取は不可欠です。しばしば差別実態の話を聞くと、それは概ね被害者からの一方的な発信で、どんな環境・対人関係・シチュエーション・前後関係であったか、両者から公平に聴いたケースはほとんど目にしません。
例えばこの番組もそうです。2夜目に働く妊婦さん・カルメンさん・おはぎさんの投稿が紹介されますが、このジャッジを視聴者である私たちに委ねるのは大変危険な構成に感じました。
引用:NHKE ハートネットTV みんなで考えるジェンダー(2)なぜ差別をしてしまうのか
2021年11月2日(火) 午後8時00分 〜 午後8時30分
私たち視聴者はその時の状況を全く知らされずに、一方的に話を聞いているだけなので、これを「良い」とも「悪い」とも判断が出来ないのです。
私はこの投稿の紹介をもって、日本全国に差別が蔓延しているかのような誘導を試みるのはNHKとしては思い切った事をしたなと感じました。こうして訴えれば、「差別をされている人達はなんて可哀想なんだ」と信じ込んでしまう人もいるでしょう。
さて、差別はいじめと共通点が多いと思います。
その一つに、いずれもその場で言い返す・状況確認しておかないと、後日になってから「言った言わない」の水掛け論になったり、供述があやふやになって因果関係や前後関係が錯誤してしまう事があります。
ですから、自分がいじめや差別だと感じた場合は、その場でその被害を訴えるべきだと私は思います。
いじめや差別を感じる程度(度合い)には個人差があります。Aさんが全く意にも介さず、ジョークであると聞き流す事が可能であっても、Bさんは酷く傷心してしまい立ち直るのに数日を要する。
ならば、Bさんはその場でその被害を訴え、発信者に改善を求めるべきです。放置してはいけません。なぜなら発信者が故意であったか否かに関わらず、その被害はBさんにしか分からないからです。Aさんは被害を被ったと感じていませんから、当然発信者を咎める事はありません。
いじめも差別も、その発信者に対して即座に是正を求めなければ、相手はそれに気がつくことなく、また直ぐに忘れ去ってしまうのです。
例えば今、あなたが運転する車が赤信号で停止中に追突され当て逃げされました。相手が怖そうだからと言う理由で被害を訴えるのを止めますか?止めませんね?
もし相手が黒塗りフルスモークのベンツで、赤い髪をしたヒョロガリのおじさんだったなら被害を訴えられなかったのは止むを得ない不可抗力だったかもしれません。しかし多くの場合は被害を訴えます。それが当たり前だからです。
意地悪な言い方をすれば、もしあなたが意図的に妥協したのだとしたら、あなた自身が被害を甘受したという話で締結するしかないでしょう。
③ 差別の訴えは誰に?
当て逃げ事故の被害にあって、相手に被害の弁済を求めず警察にも届け出なかった。この被害は誰が賄うのか?それは意図的に妥協した当事者に他なりません。
これを、後々になってから被害を訴えた所でどうしようもないのです。
さて、これを同様に差別やいじめに置き換えてみます。
やはり、一旦意図的に妥協・妥結した事柄を後からジャッジし直すのは現実的に非常に難しい。寧ろ出来ないと言っても過言ではないでしょう。
しかしここで、今回のハートネットTV「みんなで考えるジェンダー」から透けて見えた事があります。
この被害を社会に訴えよう
という全く論理的ではない論理です。
一旦妥協・甘受したはずの物事を蒸し返してそれが被害だと言われても、聞かされる方はたまりません。状況が分からないのでジャッジのしようがないのです。
仕方がないので「よしよし!差別されたね~」と言うくらいが関の山。一部に「何!差別されたとあっては黙っておれん。訴えてやるからそいつの居場所を今直ぐに教えろ!」と言う勢いの方もいらっしゃるでしょうが、それがいかに愚かな行為であるかは想像に難くありません。
④ 勝手に加害者にされた男性
「希望を持ってください」が侮辱的に響くかもしれないから言うな!誰かに希望を持てと言うのは現在のその人の生活に「希望がない」と言う差別発言だ!
みたいな文章は控えめに言ってクソです。
明確に言うと、我々男性は知らない間に、韓国の書籍により「差別主義者」にされているのです。
本来、妥結せずに差別をした本人に反論すれば良かった個別の話を、そこで言い返さずに「社会が悪い」「差別に気が付かないお前らが悪い」と言う主張をするのならば、今この瞬間に私は差別をされていると感じたので、真っ向から反論します。
それは差別だから止めてください。私は差別をしていません。
これはあからさまな問題のすり替えです。そしてこの摩り替えにより、大きなデメリットが発生します。
ハートネットTV「みんなで考えるジェンダー」が番組を通して「君達に自覚がないだけで、君達は差別をしているんだ」と主張した所で「うんうん、知らず知らずのうちに僕ら差別してたよね。」と誰が反省するでしょうか?知らんがなです。
「希望を持ってください」と言っただけで差別の可能性があるなら、誰も何も言えない社会になりませんかね?何かを口にした瞬間に、
「あんた今の差別、差別だよ。は~こんなのも知らないとは差別主義者め!」
こんな社会は願い下げであると同時に、これでは一般のごくごく普通に生活している人を敵に回します。単純に、フェミニストに対するアンチフェミニストと言っても良いでしょう。
構図は同じです。痴漢被害に遭い加害者には逃げられてしまった。ここで加害者に恨みつらみを言うならば聴きましょう。しかしフェミニストの言い分はこうです。
「社会全体が悪い」「社会の男が悪い」
これでは聞き入れられようがありません。
⑤ その場で解決しない弊害
もう一つ大きな弊害があります。差別を受けたと感じたものの言い返さずに妥協した事で、その当人はいつまで経っても差別をした事に気が付かないのです。
いじめとの共通点でも書いた通り、その場で言い返さなければ、なぜダメなのかを理解する事は難しくなります。
そこに当事者がいるのに差別を指摘せず、一旦は甘んじて受け止めながらも、今度はそれを社会のせいにする。そして最初の当事者は差別に気が付かないまま、また誰かを差別する。
言い方を変えましょう。
当事者は差別を止めず、差別を受けた側は社会に差別されたと訴える。一方で全く無関係の人々はそれを納得するはずもなく、それこそが差別であると反発する。
これがジェンダー問題がねじれる図式ではないかと、この番組を見て思い至りました。
⑥ 差別を解消する一手
つまり差別を少しづつ解消する方法は、差別があったらその被害をその場で直ぐに訴える事です。
そして、それを意図的に妥協、甘受したのであれば他責感情を抑えます。
ここで抑えられずに他者や社会に責任転嫁をすると、今度はより大勢が気分を害された、差別されたと反発を生みますし、実際にツイッター上で起こっている事もそういうことでしょう。
自動車の当て逃げに当てはめるなら、その被害を訴えない理由はほとんどありません。甘受する事は、加害者を野放しにして責任を追求しない悪手です。そして甘受しきれずに社会に訴えると、今度はその発信が加害性を持ち、誰かを傷つけ反発を受けるのです。
ここで話をかなり巻き戻して、止むを得ない不可抗力の話をします。相手が余程の権力者(要するに黒塗りフルスモークのベンツ)だった場合や、その状況よってはその場で訴える事が出来ない事もあるでしょう。
しかし、これを是正する為に、個人の感想やエピソードをもって変革を促そうとするのは同様に悪手だと思います。
差別を訴える事の出来ない状況はもちろん是正されるべきで、大企業では既にパワハラ防止法も動き始めています。中小企業も2022年から施行され、知らぬ存ぜぬは通らなくなります。
⑦ まとめ
最後にもう一度、ジェンダー問題をねじれさせる図式をまとめます。
差別を受けたと感じたのに、色々と理由をつけて反論しない人がいます。直ぐに反論してください。反論せずに妥協し甘受したのであれば、それを男性全体の責任に転嫁するのは止めてください。
その加害性が新たな被害者を生み、反抗心を高めています。そして最初の加害者は野放しになったままです。しかも野放しにしたのは差別被害に遭ったと主張するご当人。そして差別加害者は減らないのに、新たな加害者と被害者がどんどん生まれているのです。
原因は、さも被害者ヅラをしてジェンダー問題を語る人々自身にあるのではないでしょうか。
出来る限りその場で加害者に反論して解決してください。
そうすれば会ったこともない第三者に向かって「男性は生まれながらにして加害性を持っている」なんて言わなくなるでしょうから。
参考資料ではありますが、暴力行為が実際にあったり、相手が黒塗りフルスモベンツだった場合は速やかに該当窓口へ相談なさってください。
それをせずに全く接触の無い男性全体の加害性を問うたなら、それが新たな加害となり、憎しみを生み続けるのです。
そして私は、その謂れなき加害と断固戦います。
以上だ。
<資料>女性や児童に対する暴力の相談窓口
■内閣府男女共同参画局
配偶者暴力被害者支援情報
配偶者暴力相談支援センター
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター一覧
DV相談ナビ #8008
DV相談プラス 0120-279-889
ワンストップ支援センター #8891
■法務省
インターネット人権相談受付窓口 0570-070-810
外国語人権相談ダイヤル 0570-079714
■警察庁
各都道府県警察 犯罪被害相談窓口 #8103
匿名通報ダイヤル 0120-924-839
警察相談専用電話 #9110
ストーカー被害防止ポータルサイト
■厚生労働省
各都道府県労働局雇用環境・均等部
児童相談所虐待対応ダイヤル 189
厚生労働省 総合労働相談コーナーのご案内
(性自認、労働問題、就活問題等)
■ ONLINE SAFETY FOR SISTERS
オンライン・セーフティー・フォー・シスターズ
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