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ト ラ ン ス ジ ェ ン ダ リ ズ ム と は?…2

⤵️前回

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ネットの外でも、TRA(トランス権利活動家)に出会った件

 リアルワールドでこんな出来事もありました。先ほどの、WAN の声明呼びかけ人学者 の一人の方が、ツイッターで、ある講演会での出来事を書いておられたのです。実際に私も参加した催しです。 

  講演をしたのは、韓国の女性運動に詳しい韓国の大学教授(女性)でした。韓国の女性 たちが、男性による盗撮をちっとも取り締まらない警察に抗議して集会を開いた際の、チラシがパワーポイントで映し出されました。そのチラシの文面に「生物学的女性(のみに参加者を限定するの意)」という文字が読めました。講演後の質疑応答タイムで、TRA と 思われる女性参加者が、この点について疑問を呈し、質問しました。 

   教授は「男性が、参加したフェミニストを撮影しネットで晒したりするので、記者も男性は断った。悪くない男性もいるが、顔を見ただけではわからない。それに、男性の記者が参加してちゃんと理解できるかどうかもわからないので、女性記者に限定した」ということを、通訳を通じて答えました。「悪くない男性もいるが、顔を見ただけではわからない」 のくだりでは、私も、隣にいた私の知人もちょっと笑いました。女性が性被害を訴えると、
「俺は違う! 男性みんなが犯罪者みたいに言うな!」と気を悪くする男性が必ず出てくるのは、どこの国でも一緒なんだなと思ったからです。


脳内変換ミスのツイートを拡散

 さて、後日、TRA のその方が自分のツイッターに書いておられたのは、次のような内容でした。どうやら彼女は質問後、主催者側に抗議をしたらしく、主催者から「不快な思いをさせてしまったことを大変重く受け止めています。これで終わりにすることなく、(中略) 努力してまいります」という言葉をもらってよかった、というようなことです。 

 問題なのはその続きです。 

 「私が怖いと思ったのは『生物学的女性』の使用意図を問う質問に対し、男性によるデモ参加者の撮影と晒し行為が女性を脅かしているため、女性のスペースに男性を入れないのだと答え、『優しい顔をしている男性は、男と見分けられないでしょ?』と言い、その時、 会場に小さな笑い声が起こったことでした」。
「会場には高齢の方も多く、○○氏(講師である韓国の大学教授のこと...筆者)の言葉が、トランス女性を排除するものだと気づかな かったかもしれませんし、実際、私の前に座っていた方は、『トランスって何?』と隣の 方に聞いておられました。韓国の女性運動について学ぶ場で、とても意義深いお話の中にトランス排除の言葉が忍び込み、それが笑いとともに、女性が被害を受けるなら『男性だと見分けられない』男性を排除する必要がある、という認識が作られていく。○○さん の返答はそれを導くものだと感じました」。


は? なんですと?

  私は自分の書いたメモ記録があるから自信を持って言いますが、発言は間違いなく「悪くない男性もいるが、顔を見ただけではわからない」でしたよ。それが、なぜ「優しい顔をしている男性は、男と見分けられないでしょ?」と言ったことになっているのでしょう?
 TRA の方の脳内でいったいなぜそのような変換ミスが起こったのやら。本当に大丈夫ですか⁈と思いました。そしてそんな事実誤認の上に、主催者や講演者に対して「あなたたちはトランス排除発言をした」という論理を打ち立てるのは相当な無理筋なのでは...。第 一、「トランスって何?」と聞くような年配女性だらけの参加者たちが、「悪くない男性もいるが、顔を見ただけではわからない」と聞いて、「一見して男性だと見分けられないような外見をした男性」のイメージをパッと思い浮かべて笑うなんてちょっと考えられません。トランスの意味を知ってる私でも、即座に浮かんだのは一般的な男性の姿でした。 

 こういうのって、印象操作っていうんじゃなかったっけ?
 事実の歪曲?捏造? 

 とにかく、この論理の飛躍、認知の錯誤にはたまげました。


未だに不明な「トランス女性」の定義
 そうそう、『関ヶ原の合戦』を経た今、「トランス女性」とは何かという定義くらい明ら かになっているのかと思いきや、未だにはっきりしないらしいのです。

女性「トランス女性の定義は?」
TRA「女性を生きている人」
女性「(は?意味不明やん...)じゃ、未オペ(未手術)の女装者も女性なの?」
TRA「トランス女性は女性だ」、
  「人の性器について聞くな」、
  「差別者!」、
  「TERF め!(Trans-exclusionary radical feminist トランス排除ラディカルフェミニスト。TRA がよく使用す る罵倒語)」、
  「定義を言ったら、それを使って差別するくせに!」

…...みたいな展開らしいの です。冗談かと思いました。
  私が、この問題を追っている理由の一つは、ひとえに議論のバカバカしさのせいです。頭のいい人たちが、揃いも揃ってわけのわからない宗教にでもハマったんじゃないか、とさえ思いました。 

 そこで、フェミニズムのお勉強などしていない市井の民であるワタクシは、とりあえず、 性別(SEX=生物学的性別)のことを調べたのでありました。


生物学的性別(sex)とは何か?    性別二元論とは?

 ここまでで、私がトランスの人のことを、トランスセクシュアル(TS)とかトランスジェンダー(TG)とか書いてこなかったことにお気づきでしょうか。ええ、実はずぼらで...、 というわけ(だけ)ではなく、セックス(sex)とジェンダー(gender)の違いの話をし ていなかったから使わなかったのでした。

 よく「ノンバイナリ」とか「性別二元論は〜」というような言葉を目にするようになりました。調べたら、バイナリは二元論のことでした。少し調べてみました。

 性別二元論とは、雄・男性は小さな配偶子(精子)を生成する性(sex)であり、雌・ 女性は大きな配偶子(卵子)を生成する性(sex)であり、卵子・精子の2つの配偶子で 生殖をおこなうという、人間や哺乳類のような生殖システムのことです。中間の配偶子や 第 3 の配偶子はありません。そのため、性(sex)のスペクトル(あいまいな境界をもちながら連続していること)はありません。胸の大きな女性は胸の小さな女性に比べて「より多く女性である」ということはありません。腰、またはひげや胸などの二次的な性的特徴は、性別固有の選択圧力(たとえば、腰が狭い女性は大きな頭の子どもを出産するのに苦労するなど)によって進化した、性別の結果として発生したものであって、生物学的性別を定 義することに関してはまったく無関係です。そして、性別二元論において、種の個体の性別は、特定の配偶子を実際に生産できるかどうかに基づいているわけではないことに注意 しましょう。つまり、種の中の個体に、思春期前の男女や閉経後の女性のように配偶子を 産出しない時期があることや、それぞれの性別に配偶子を産出しない不妊成人がいることは、人間の生物学的性別がバイナリ(二元論)であることを否定しません。
(参考および引用:「JK Rowling is Right̶Sex Is Real and It Is Not a “Spectrum”」by Colin Wright)

 ふむふむ。そうですか。なるほど。 ですが、どうやら現在は、性別二元論を否定することがフェミニズム的に正しいことに なっているらしいのです。以下をご覧ください。

 「かつて日本のフェミニズムに対してバックラッシュ派は、『更衣室を同じにするのか』 という批判をした。これに対して、フェミニズムは反性差別だったはずなのに、身体の性 別は女性/男性の二つしかないと暗に肯定してしまった。『性別二元論』批判と反性差別批判を切り離してしまったことが失敗だったのではないか...」(『フェミニストカウンセリング研究 Vol.16』)

 確かに、過去に性別二元論を肯定したことを反省してらっしゃいます。そうなんですね。

《つづく》


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