ト ラ ン ス ジ ェ ン ダ リ ズ ム と は ?…8
⤵️前回
問題は、トランスジェンダーの政治運動
さて、これまで、トランスする男性のことばかり取り上げてきたけれど、それは問題を起こすのがなぜか「トランス女性」ばかりだったからです。今や、問題なのはオートガイネフィリア、男性の特権、および女性嫌悪の3点セットのAFTA(反フェミニストトランス活動家)であることが見えてきました。
Hawthorneさんは、彼らをトランスジェンダーアイデンティティポリティッカー(ransgender identity politickers→identity politics=アイデンティティ政治とは、主に社会的不公正の犠牲になっているジェンダー、人種、民族、性的指向、障害などの特定のアイデンティティに基づく集団の利益を代弁して行う政治活動)という呼び方でも呼んでいます。TRAとほぼ同義だと思います。要は政治活動なのです。
急増する少女の性別違和診断
では、女性から男性にトランスすることは、何も問題になっていないのでしょうか?
『The Observer』2020年2月22日の記事に、「スウェーデンの健康福祉委員会からのレポートで、2008年から2018年の間に少女として生まれた13~17歳の男女の性別違和感genderdysphoriaの診断が1,500%増加したとわかった」とありました。10年で15倍!驚異的な増加です。実は、近年ヨーロッパで若者のトランス希望者が増えていると問題になっていたのです。この記事には男女比は書かれていませんが、トランス外来のクリニックを訪れる若者は女の子の方が男の子より多いということです。イングランドでインターネットでジェンダーアイデンティティサービスに言及している若者のほぼ4分の3が女の子だそうです。この傾向は、世界中で見られるようです。
ドイツの臨床医Alexander Korteのインタビュービデオを見ると、2000年代半ばから豊かな国では、10代の、特に女の子が、突然自分が男の子だと宣言するという現象が起こり始めたと言います。「彼女らは身体違和感のあるGID患者のような幼少期からの苦痛の歴史を持っていません。彼女らは、驚いた両親に、性転換を『肯定』するか、そうしなければ自殺未遂は避けられないと言って、要求する」のだそうです。
性別違和の理由は別にある
こういった現象について書かれた本を紹介した記事から引用します。
・臨床医の話
「(トランスジェンダーアイデンティティの)教義では、性的不快と精神的健康の問題を2つの独立した問題として扱います。これは、将来変わりうることを考慮せずに子どもの身体への介入を支持していることを意味します。(中略)1人の子どもを見ても、性的不快は生まれつきのものではないことがわかりますが、一度100人を見ると、『自閉症のティーンエイジャー』、『性的虐待を受けて体を憎む少女』、または母親が性的虐待を受けて体を憎み、子どもに同じこと(性的虐待)を望まない少女を見ることになります。
不快感の発症の背後にあるものを調査せず、患者がトランスジェンダーであるという『自己肯定』にまっすぐ進むことによって、子どもの臨床的ニーズをイデオロギー的立場に屈服させていることを私は知っています」。
性転換しても問題は解決せず。元に戻る人も
当然ながら、そうやって一度トランスしたものの、生きづらさの原因はGID(性同一性障がい)ではなかったとわかって、元の性別に戻る人もいるそうです。もちろん、トランスジェンダーアイデンティティポリティッカーからは「裏切り者」と呼ばれますが。
・ある女の子の両親の話「娘の、長く付き合った初めての男の子との関係がひどい終わり方をしました。最後はボーイフレンドが戻らなければ自殺すると脅迫しました。私たちは、なぜ彼女がそんなにかき乱されているのか臨床医に尋ねました。臨床医は『もちろん彼女が間違った身体で生まれたからです』と言いました」。
・別の男の子の両親の話「息子は社会的なコードを理解するのに苦労し、彼が10、11歳の時、いくつかの自閉症の特徴を持つADHDの診断を受けました。当時、彼は自分の体と外見についても考えていました。彼は自分の身体に不満でした。アスペルガーの特徴の典型で、彼が自分は女の子だと決めたので、誰も考えを変えることはできません。彼はSSRI(抗うつ)薬の服用を開始しましたが、性別の移行により満足したり解放されたりすることはありません」。
性差別や性暴力ゆえの生きづらさのせいで女性の体を不快に思うという例だけではなく、発達障がいや思春期特有の悩みを「間違った身体で生まれたせい」だと思い込むことが多いようです。
また、そのように診断する医者、そのように宣伝活動をするトランスロビーが、子どもの性別移行に大きく関与している実態があります。
性転換して解決? 同性愛者の減少
そのほか、レズビアンの少女が悩んでクリニックにやってくる場合が多いことや、キリスト教徒の親が、息子がゲイであるよりも「男の子として生まれた女の子」である方が罪深くないと思って、子どもをトランスキッズにする場合もあることがわかっています。本当に変えなければならないのは同性愛嫌悪の社会の方であって、子どもの身体ではないはずなんですけどね。ちなみにイスラム教も同性愛は御法度ですが、イスラム教国であるイランは、性別適合手術がさかんだとか。2015年『AlArabiya』は「過去数年の間、イランの女子サッカー代表チームに8名の男子選手がいた」と報じたのですが、それは8名の男子選手が性転換手術を終えていない段階で女子代表に入っていたという話でした。
レズビアンの生きづらさ
特にレズビアンは、コミュニティ内にペニスのあるトランス女性が入ってきて、その人たちを拒むとトランスフォビア(トランス嫌悪)とみなされるため拒みにくくなっているという問題があります。社会的圧力が、本来の性的指向とは相容れず、若いレズビアンに混乱と恥の感情を伴いかねないと懸念されているようです。レズビアンは将来消滅するのでは?という声もあります。なぜ、いつもしわ寄せは女性の方に来るのでしょうか?
手術なしでOKのおとな、早期移行を奨励される子ども
ところで、自分たちについては手術をせずに性自認のみで「女性」と認めさせるのに、子どもたちの性別違和には早期の性別移行を促すトランスジェンダーアイデンティティポリティッカー、やっていることが矛盾しているのでは?確かに。でも、勢力拡大が目的なら、別に矛盾していないのかも。
問題になるような事態を引き起こしているのは、トランスの人ではなく、オートガイネフィリア、男性の特権、およびミソジニー(女性嫌悪)の3点セットのAFTA(反フェミニストトランス活動家)ですよ。みなさま、これだけは覚えていてくださいね。
(2020年4月)
《つづく》