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トランスジェンダリズムとは?…10
⤵️前回
信じていない代名詞を強制されるアメリカ
さて、ほかにも日本でまだ起きていないことをご紹介します。『Preferred Pronouns or Prison(指定された代名詞を使うか、それとも刑務所か)』というYouTube動画があります。
トランスジェンダーの当人が望む代名詞を使うことを拒否する人々を罰する、州や地方自治体の措置についての、アメリカの動画です。内容を見てみましょう。
女性キャスターがしゃべっていて、日本語字幕が付いています。
「2018年12月、バージニア州のある学校区でフランス語を教えていたピーター・ヴラミングが解雇された。トランスジェンダーの生徒に対し、その生徒が希望する代名詞を使わなかったからだ」。
「去年まで『she』と呼ばれていた生徒が、突然『he』になるという考えは、彼のキリスト教の信仰と相いれなかった。ヴラミングは生徒が新たに選んだ名前を使うことは喜んで受け入れたが、この生徒に対して一切の代名詞を使うことを避けた。学校区にとって、これは十分ではなかった。彼にその言葉を言わせる必要があったのだ。1人の人間がけっして『they』になりえないことは、信仰心がなくてもわかる」。
「間違った代名詞を使った」からではなく、「本人の望む代名詞を使わなかった」から、という点がポイントです。アメリカは、1943年に最高裁判所が「生徒がアメリカ国旗への敬礼を拒む権利」を認めた国です。その時の判事は、「市民が信じていないことを言うように国家が強制することはできない」と述べました。しかし今や、その強制が起こっています。
「人は『ze』、『co』、『thon』などを使って人を呼ぶように強制されている。そう、これらは代名詞と見なされているのだ。礼儀の範囲であるはずだったものが、刑事罰の対象になってしまった」。
まるで、笑い話か冗談のように聞こえるかもしれませんが、代名詞を使わなかったために職や事業を失ってしまうなんてことが本当に起こっているのです。
この動画はさらに、こういった事態がどうして起こったのかについても語っています。
「人の思考をコントロールしたいなら、言葉をコントロールすることから始めよう。それが全体主義者の考え方だ」、
「左翼はこうして、議論することも、誰かを説得することもなく、生物学的な性という概念を消すべく法を制定する」、
「左翼活動家は、(中略)議論が始まりもしないうちに、彼らの結論を採用するように強制するのだ。言論の統制は、彼らが選んだ戦術である。これは憲法違反であり、間違っている」。
この動画を作った人の政治的バイアスが気になりますか?
右翼じゃないかって?
そうかもしれません。しかし、起こっている事実はその通りなのです。実は、前号で書いた、トランスジェンダーアイデンティティポリティッカー、AFTA(反フェミニストトランス活動家)、あるいはTRA(トランス権利活動家)と呼ばれる人たち(みんなほぼ同じ人々を指していると思いますが)は、たいてい左派政党と一緒になってやっているからです。
女性の政治参加のための席
イギリスを見てみましょう。『News Week』のネット記事『英総選挙、驚きの保守党圧勝を読み解くと』(コリン・ジョイス2019年12月14日)には、コービンの労働党が負けた原因の一つとして、次のような点を指摘しています。
「昔からの支持層だった、多くの一般労働者たちの代弁者の党、という原点からはるかに遠ざかってしまった」として、一例として、女性の政治進出を促すために立候補者を女性に限定していた選挙区をトランス女性に与えたことを挙げています。
「労働党のある地方組織では、女性担当責任者をトランスジェンダーが務めていたりするくらいだ。女性の権利問題のために長年活動してきた労働党員の女性たちがこれに懸念を表明すると、彼女たちはトランスジェンダー差別だと非難された」とのことです。
女性枠が、トランス女性に占められるということは、生物学的女性の席であったものが生物学的男性のものになることです。
アメリカ民主党も同様です。ニューヨーク州の民主党支部が男女一人ずつの候補枠と決めていましたが、規則を変えました。選ばれた候補者は、トランス女性でした。
Emilia Decaudin は、NY州民主党に「男性 1 人、女性 1 人」 の規則を解体させることに成功しました。この規則は 女性参政権運動が実施するために戦い取ったものでし た。女性たちが、法律で保護された階級としての生物 学的性別を除去することへの懸念を表明した後、 Emilia Decaudin は「私のガールディック(女のペニス) を しゃぶれ」とツイートしました。
いわゆる先進国と言われる国以外でも、トランス女性が女性の代表になり始めています。バングラデシュの議会では、2010年以来、350議席のうちの50議席は女性の代表を増やすために女性用に確保されているのだそうですが、トランス女性である生物学的男性がその席を取ることが許可されたということでした。女性人口のほとんどを占める生物学的女性は堅固な家父長制の中で立候補する人が少なく、女性議員は今でも22人しかないので、もし選挙で8人のトランス女性立候補者が全員当選すれば、議席の2.3%を占めることになり、女性のために予約されている席の14.29%を占めることになる、というのです
(2019年2月10日の報道)。
また、CEDAW(女性差別撤廃条約)の会議にトランス女性が代表で出席している国がありましたし、今年の国際女性デーのUNWomenのツイートは、
「Womxn(*)、Trans、Genderqueer」で始まり、
「すべての女性を祝う」で締めくくられていました(*Womxn:とあるツイートによれば、元々英語のWomanというのがWife of manという意味から来てるので、その由来を拒否するためにWomynという造語が出来たけど、それをインターセクショナルフェミニストがトランス排除だからとWomxnという言葉を使い始めた、とのことです)。
では、すでに議席を得ている現役の女性議員はどうでしょう。
フェミニストとして知られ、アメリカ大統領選候補でもあったエリザベス・ウォーレンは、2020年1月の集会で、「女性に対する暴力法」についての質問にこう答えました。
「女性に対する暴力法のみを再承認することはできません。収監され、男性からの危険にさらされているトランスウーマンを、男性と一緒の刑務所に入れないようにする必要があります。それは私たちの責任です」。
本人の性自認だけで男性(受刑者)が女性刑務所に入れるようになった国々で、「トランス女性」が、女性(受刑者、看守)をレイプしたとか、性的威嚇をしたという事件報道をよく見かけます。が、ウォーレンは、女性への暴力については一言も言及せず、「トランス女性」が暴力を受けるかもしれないから、男性から守ろうと言ったのです。被害に遭う危険度の高い女性受刑者・女性看守の意見も聞いてみたら?と突っ込みたくなります。
泣いてる女子と「興奮するね」と喜ぶ男子
行政の決定もまた、当事者女性の意見抜きでなされるようです。アメリカでは、トランスの学生が女子更衣室を使っていいかどうか過去4年間議論が続いていたそうですが、2019年の11月、第211地区の高校の教育委員会が、それまで個人用のロッカールームを使っていたトランスの学生は女の子たちのスペースを自由に使える、と決定しました。
ニュース映像をツイートで見ました。
「(このニュースビデオでは)若い水泳選手が、教育委員会が男性を許可することに投票したという事実について、彼女がいかに不快であるかについて、泣かないように(涙をこらえて...筆者)話しています。
『私のプライバシーが侵害されています。私はスイマーです。私は他の学生の前で、裸のロッカールームで何度も着替えます』。
若い男性(トランスの学生)は、プライバシーの喪失について『興奮しています(I'm ecstatic)』。彼女への思いやりはどこにありますか?」。
当事者である女の子の意見はまるで聞かれていません!
アメリカ在住の日本人女性のとあるブログが状況を伝えてくれていました。
「普通公共施設の方針を変えるためには、多くの市民からの要望があってこそではないのか? 例えば公衆便所で痴漢が多く発生するので、監視カメラを付けてほしいとか、警備員を巡回させてほしいとか。だがトランス方針に関してはいったい誰が地域のトイレや更衣室に自認のみ女の男性体人間を受け入れるとか、男女共有にすべきだとか、女子刑務所に自称女性の凶悪犯人を移動させるべきだとか訴えたのだ?そしてそれらの訴えに関して行政は地元市民の声に少しでも耳を傾けたのか?特に一番悪影響を受ける女性たちの声を一度でも聞いたのか?無論答えはノーである」。
やはり「別に女性や市民は誰も頼んでないのに、急にこうなった」なんですね。なるほど。
「アメリカの場合はまだましな方だ。オバマ前大統領が全国の学校区でトランス許容を実施するよう要請したが、これは憲法違反であり施行効力はなく、多くの州知事がそれに従わなかった。トランプ大統領がこの大統領命令を撤回したため、この方針は強制的ではなくなった。しかしリベラルな州や学校区では許容方針を取り入れたところもある」。
え、あのオバマが...。じゃ、先ほどの高校の第211地区はリベラルな州だったんですね。で、「アメリカはまだまし」とは?
「イギリスの場合はこうした地域市民との話し合いなど全くなく、行政が方針変換を強行してしまった。それで高校のトイレが新学期になって突然男女共用になったり、女子のスカート着用が禁止されたり、女子シェルターや刑務所で自認のみ変態男が堂々と女性たちを威嚇したり暴行を加えたりできるようになってしまった」。
やはりそうなんですね。
「特筆すべきは女性の声が全く反映されていないというだけでなく、女性は沈黙に追い込まれているという点だ。一部の男たちだけで人口の半分を占める人々への方針が勝手に早急に決められ、女性には苦情を述べる権利すら与えられていないのだ」。
なんということでしょう。行政が市民や女性の苦情さえ聞かないとは!
《つづく》
https://note.com/damaranai_f/n/nd6be62d9fa73