2019年に置いてきた感想を成仏させるための話。
作品への感情が馬鹿みたいにデカいというだけの話。
冒頭に何を書いてももはや信じてもらえなさそうな感想を書きあげたのですが、私は【Fate/Grand Order The STAGE 絶対魔獣戦線バビロニア】のことものすごく愛してます。
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大好きな作品を大好きだと思い続けたい。そんな、もはや意地に変わってしまった気持ちが凝り固まって心に沈んで、濁らせてしまうんだなぁと思う。
何かへの『好き』の度合いって測りにくいもので、変動するし定まらない。ただ、何となく「この人・物・事は他のそれらと、自分にとっての大切さが違うな」と解るヒト・モノ・コトはやっぱりあって、それを私は"推し"と呼んでいます。
あるいは、『応援している([お]うえん[し]ている)』という意味を無理やり持たせて"推し”と表現しています。
そんな推しの一人(そしておそらく一番気持ちが強い推し)の主演舞台の初日からもうすぐ一年が経とうとしています。
好きな役者さんの初主演だったということに私は酷く興奮して執着していて、これはきっと
『好きな役者さんのそういう特別なタイミングに立ち会えた自分』
というのに強めに酔っていたかったからだと思う。正直今もまだ酔っているし、ご本人はどんどんと先に進んでいるのに、私はまだ心の1/4くらいは2019年の1月11日に置き去りにしたままだと感じていました。
もういい加減先に進みたいな〜って、なりました。だから、この一年どうしても書けなかった感想を、ここに書いておこうと思います。
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※未観劇の方に作品を勧める為に書いたものではなく、完全に日記&随筆です。頭の中をドンッと文字化させただけです。
※舞台バビロニアの全部が好きです、という方は読まない方が良いかなと思います。全部個人の感じた範囲で書いています。
※作品や関係者さんを貶す気持ちでは書いておりませんが、読まれた方がそのように思われたら深くお詫び申し上げます。
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主演決定のニュースが飛び込んできた日は確か、友達が遠方から泊まりに来てくれた日でした。最寄り駅の改札で彼女を待ちながら、ものの数十分で集めた情報と、追い付かない気持ちを整理していたように思います。
超有名なスマホゲームが原作で、舞台化は2作目であること。
推しが演じるキャラクターは人気があって、そのキャラを愛してやまないファンたちがいっぱいいること。
前作のチケットはなかなか取れなかったこと。
もともとなんとなく知っていたこともあったけど、改めて意識するとなかなかに質量のある情報でした。量じゃなくて質量。一つ一つがズシンズシンと胃の中に落ちていくのがわかった。
キャラクターは2次元だけあって顔が整っていて美しくて、露出が高く現実ではまず身に着けない衣服を着ていた。その姿をしたキービジュアルの推し役者さんは、肌や顔のパーツをいっぱい加工されていて、写真とイラストの狭間(写真寄りだけども)みたいなところにいて、めちゃくちゃ笑ってしまったんですね。
誰かわかるけど、誰かわかんなかった!!!
2.5次元いっぱい出ているしそこがメインなので、慣れている。でも、誰かに限った話ではなく、こうまでしないと見た目を近づけられないんだなって思って、滑稽で怖かった。
写真の加工なんてどこでも誰でもやっていることだけれど、私は最近こういうキービジュアルと、実際に舞台の上で動く姿の乖離におびえている。加工していなかったらそれも大事故になるだけなので、重要性と必要性は身に沁みて理解しているんだよ。ただ、
『こんな人、あのキャラクターじゃあない』
と原作ファンに言われて、推し(が演じるということ)が拒否されて批判されるかもしれないって強く思ってしまって、本当に怖かったです。
結局、推しを何も信じてなかった、あるいは自分の理想を押し付けて喚いていたし、原作ファンの方々の実態を確かめもせずにに歪んだ認識だけを向けて、唸っていたんです。
これは実にくだらないことで、原作人気の度合いだとか元々のファンの方々がどうのとか、考えてもまったく仕方のないことなんですよね。どんな作品でも思うところのある人は思うし、言う人は言うし。喜ぶ人、受け入れる人、これをきっかけに舞台好きになる人、アレルギーになる人、いろんな可能性がある。阿呆だったなぁと、思っています。
チケットは最初の先行で取ってしまいたかったので、なりふり構わず協力依頼を出しました。私が主演さんを応援していることを知っている人たちがたくさん協力してくださいました。今でもこの時の協力者リストは残してあるのですけれども、そこに書かれている人たちに対して、感謝の気持ちを私は永遠に持っていると思う。
自分の申し込んだ分は全部落選してしまったんだけれども、みなさんのおかげで大阪公演に何度か行けることになりました。
重複分を交換に出してもっと回数を増やすこともできたのだけれども、それを私はしなかった。後からこの記録を書きつけているので想いに装飾をしている自覚はあるんだけれど、自分の手で(正確には協力してくださった人たちの手で)当てたもので行きたかったんだと思います。あとは単純にお金の問題があったなぁ(笑)。大好きな友達が2回も一緒に来てくれることになったので、とかくハッピーでした。
大阪だけにしたのは、東京公演にいく交通費で大阪に多く入りたかったのと、回数を重ねられるだけの体力と財力がなかったことが理由。そして初主演に拘ったという記載に矛盾しているのですが、東京公演に行くまでの熱意が無かったから。
回数を増やすのは応援のしるしの1つだし、私も行けるだけ行きたいなって思うこと沢山あります。でもこの時は”初日”が観たかったし(大阪が先で、東京が後だった)、2.5が初主演だってことへの反抗心もあったのかもしれない。
2.5と言われるものは好きです、他の舞台ジャンルとの優劣は無いと思ってます。応援してる人たちを知ったのも2.5だし、私の観劇趣味の始まりです。だけど、感じることはあります。これを書き出すとかなり脱線するので、またの機会に。
あとはやっぱり”恐怖”。楽しめなかったらどうしよう、受け入れられなかったらどうしようっていう、恐怖。
チケット取りをしながらしていたのは、原作ゲームの履修でした。昔1度だけ自分のスマホに入れてやろうとしたんだけど重たすぎてあきらめて以来久々のダウンロード。会社支給の高性能スマホにこっそりと入れて(ごめんなさい)、Wi-Fi環境下でがむしゃらにプレイしました。
ここでもたくさんの人に助けてもらいました。プレイ歴の長いTwitterのフォロワーさんたちが次々とフレンドになってくれて、強いキャラをたくさん使わせてくださり、序盤~中盤はなんの苦労もありませんでした。脅威の集中力だったと思う。
12月後半になってあと少しってところで強い敵に勝てなくて一度完全に諦めかけたけれど、自分の準備不足で舞台から何かを取りこぼすなんてこと言語道断だと思って、心を奮い立たせてた。周りでも
『クリアは諦めて予備知識なしで1月の舞台に行く』
って人がいて それもそれで一つ有りな選択だと思う反面、それをしたら自分は自分を許せなくなるなと思いました。
舞台行くのに予備知識必須だとは思ってません。この作品に関してだけ、私個人が何一つ逃したくなかったというだけのことです。
文字通り息切れしながら必死で戦いました。終わるころには推しの演じるキャラのこと大好きになっているほどでした。舞台のお話をクリアしたときは叫んで泣いたような気がします。言い過ぎかな、でもやり遂げたんだよ。
歴史上の人物なので、叙事詩も読みました。古い石板に記されているお話。これは本当に面白かったし、心から読んでよかったなと思っています。舞台のお話にはほぼ関係してこないし読まなくてもまったく問題が無いんだけれども、背景がわかるしキャラの繋がりも知れたから。歴史の教科書に絶対出てくる作品なので、教養として身につけられたのも良かったなぁ。
あと観るまでに準備したのは、鞄とアクセサリー。黄金色がテーマカラーっぽかったので、意識して買いました。舞台イメージのものを少しだけファッションに取り入れると観劇がグッと楽しくなる気がします。ショルダーバッグ一つとピアスを一組、今もめちゃくちゃ使っています。思い出の品です。
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初日は金曜日で、普通に仕事があったんだけれども、まともな社会人ができなかったです。
「あと8時間」「あと5時間〜…………」「あとっ…………………3時間っ………………」
と虫の息でカウントダウンしていた。キーボードに指を置くだけで終わった記憶があります、有給取りなさいよ。
定時前に職場飛び出して(前々からオッケーはもらっていた)、サンケイホールブリーゼへ。平日のためかほぼ列もない物販を済ませて、席について、ゲームと同じBGMに耳を傾けていました。
(2日目の物販で自分で引き当てられたお目当てのランダムチャーム。我が人生に悔い無し、の瞬間だった)
幕が開いて、そのあとは、あっという間だったように思います。覚えているのは、ダンスの最中にターバンが取れかかったのかそれを捨てて踊り始めた王様がとても綺麗だったことと、
演説のシーンで、遥か上にいる王様を、民になれた気持ちで見上げたこと。カーテンコール、中央で挨拶する王様に拍手を送れたこと。この日を迎えさせていただけたことへの感謝。
楽しかったです。観られてよかった。でも、それ以外が上手く思い出せないのも、事実です。
心に残るものが、なぜか少なかった。脚本が悪いわけでも、演出が悪いわけでも、役者が悪いわけでもきっとない。たぶん、あの物語を3時間程度におさめるのが、そのスタート地点に、無理があったのだろうと思っています。
7章の魅力は、そのボリュームだと私は感じています。6章も長くてクリアまで大変だったけれども、7章も特異点の最後(その後終局特異点があるわけですが)に相応しい長編。でもダラダラとした不要な長さじゃなくて、すべてが必要な、重みのある長さでした。
何度も負けたし、負ける前に察して回り道してサーヴァントの育成に走りました。一進一退しながら、画面の中のキャラクターと一緒に、時間をかけてウルクを駆け回りました。 あの時間がバビロニアへの想いを育ててくれたし、"絶対魔獣戦線バビロニア"に必要な要素だった。
7章を舞台作品としてまとめ上げられたことはすごいことだと思います。牛若丸の下りをバッサリとカットしているのも構成のためなら仕方がないし、必要な引き算だと思うので、素晴らしいです。
脚本の技術は申し分無かった。その技術をもってしても、舞台には向いていなかったのかなと、勝手に思っています。
もう一つ、薄々感じてたこともう誤魔化せないから書くと、座組として一つのことを目指せていたのか?という疑問がめちゃめちゃわいてしまっていた(私は演劇経験の何一つないズブの素人なので、完全に身勝手な、客席で感じた個人の話として書きます)。
全体的になにかバラバラだなと感じてしまって仕方がなかった。稽古期間も、公演期間も、キャストさんたちの様子をTwitterで拝見していたけれど、全員で一つのものを作っている感じが全然伝わってこなかった、言い換えれば私が汲み取れなかった。前作組は前作組で仲良くしていて、その他はその他で………のような。
『役者さんたち仲良しこよしでワチャワチャしてるのが見たかったのに!』ということを言いたいんじゃないんです。他の作品でも彼ら彼女らに会いたいなと思えなかった。
個人個人の技量はすごく高くて、キャラ研究であったり、練習量もすごいんだろうなと。だからこそ最後のまとまりを感じたかったなと思っています。誰と誰が仲良しだったのかは良くわかった、じゃあその後は?っていう。
王様の演技も、実は、納得がいってないところがあって。かっこよかったです。演説シーンは確かに王様だったし、貫禄もあった。でも、見せてもらった全てをギルガメッシュとは呼べなかった気がする。
決定打は致命傷のシーン。あそこだけはゲームのとおりにしてほしかった。ほんのわずかでも、『きやまはるきさん』を出さないでほしかった。「めちゃめちゃ」という台詞は、要らなかった。冥界のシーンはいいんです、ゲームでもコミカルなところだし、気配遮断EXもその通りだから。でも王様の最期は絶対にそのままが良かったんだ。
王様が重みを失えば、そこでもう、このお話はバビロニアじゃなくなると思うんです。
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大好きだったところは、王様が踊るところ。派手なアクロバットはありませんが、鍛錬を積んでこられたのがわかる体幹が土台になった動きの全部が美しくて、何回観ても感動しました。
ケツァルコアトルの試合のシーンは心が踊って、結果を知っていてもいつも白熱してしまってすごく楽しかった!ウルクの民が踊るところもめちゃめちゃめちゃめちゃ好きで、推し民ができるほどでした。そう!バビロニアはアンサンブルさんが最高だった。みんな互いに工夫して楽しそうにしていたように思います。
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………………………もうね、大好きな方の初主演だぞ両手を上げて
『大好き!!!!最高!!!!!文句なし!!!!!みんな観て!!!!!!!!』
って言いたかったに決まってるじゃあないかーーー!!!そのように思えなかった自分自身が一番!!嫌いで、納得ができなくて、自分から逃げていた!!!!
思い出を綺麗にしたかった、大事大事してキラキラした箱に入れてリボンなどして、時々取り出してはウフフと眺める生活をしたかった、でも無理だった、舞台のことめちゃめちゃ好きだから。ここは自分に合わなかったなって感じるところを塗りつぶしたままでいるのは本当にしんどくて、それが好きな対象ならなおのこと。
その後観た同じ脚本演出家さんの作品がとても良かったことや、好きな役者さんの出てる作品並びにそこで見た彼のパフォーマンスがやっぱり!!大!!好き!!!!というものだったので、私は自分の感覚に正面から挑まなきゃいけないし、挑んでももう大丈夫だなって思って、これを書きました。
大好きだよバビロニア!嫌いだったらとっくに円盤売って記憶から無かったことにしている。好きなところも嫌いなところもあるから大好きだし、永遠に忘れないと思います。
観に行って良かった、観に行けてよかった。
やっとスッキリできました。今度一緒に観に行った友達と円盤鑑賞会をします、めちゃめちゃ楽しみだー!
読んでくださった方がいたら、心をこめて、ありがとうございます。
ではまた!
観た日:
2019年1月11日
2019年1月12日
2019年1月13日
2019年1月14日