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Âme-Rej

まずは騙されたと思ってこの動画を見てほしい。
OMAR(It's So)の上音もそこそこに、怪しげに響くドンドコ…気づけばスペーシーな空間にひとっ飛び。動きひしめくハウサー達。そして現実に引き戻すかのようなJazminaのLet The Rain Come Down。

時代を駆け抜けた1曲

『Âme-Rej』はリリースされるや否や、もはやかからない日はないっていうぐらい猫も杓子もかけまくった、まさに大ヒットしたトラックである。
というわけで、ヒット曲は人がかけるもの。私はかっけえなとは思いつつ、わざわざ手を出さずに10年くらいフロアで堪能していました。
手を出さなかった要素は実は色々あって、HouseのCDを買いだした頃(JK)、割と初期に購入したCDがJazzanovaだったり、当時熱心に録音していたラジオ音源にJazzanovaがあったり、リリースされた当時成人をとっくに過ぎていた自分としては結構この「Jazzanova」っていうのがエモい感じになっていたんですね。最初って球数少ない分めちゃくちゃ聞きこむから身体が覚えているっていうのもあって、間違いなく私のHouseという概念にJazzanovaという要素が強く影響されてはいると思っている。
なんでJAZZANOVA?って思うかもですがこれをリリースしていたレーベルがSonar Kollektiv。つまりジャザノヴァのレーベルだったんですね。
なので、Sonar Kollektiv っていうところで面食らった節もあり、どこか入り込んじゃいけない聖域みたいな部分もあり。そんなパーソナルな事情もちょっとベースにあってとにかくこの曲とは一歩距離をとりながら冷静にお付き合いしてきた約10年間ではなかっただろうか。大ヒットというバイアスもしっかりかかっているので中二っぽく「ふーん(うずうず)」みたいな。


…っていうのは建前で、正直この曲を一発聞いてかけまくっていた諸先輩方、本当に尊敬する。この曲を自分でもかけようと思う間に、

ハッカビーとかました一曲とか、
I Human (Mike Huckaby Remixes)

思い出し激プッシュとか

(※正直このRemixはオリジナルの再構築として最高峰だと思っている)

Jazzanovaが初期衝動などでは説明つかないほどの偉大なるアーティストであるか、をとくと理解していく期間であったように思う。それくらい、凡人の耳でこの曲を「これは!」と理解するには難しい曲だと思っている。
そんなこんなでJazzanovaとその周辺の理解を深めていく中で常に傍にあったこの曲『Rej』である。そして冒頭の動画に出会うのである。


CLUBHOUSE JAMBOREE

動画の現場となったこのパーティについて少し語る必要がある。
Lil RayというDj兼プロモーターが主催する、Freeの野外イベントで、ここ日本でもダンサー界隈に特に人気で認知度の高いHousePartyである。地元の人脈で成立させているところもあって、生のUS House、いわゆるBrooklynを堪能できる。かつて誰もがブクマしていたDeep House Page .com では「Prospect Park」という単語をよく見かけていたが多分この場所だと思う。で、有名PartyどころでいうとBody & Soul や The Shelterなんかが今でも日本では知名度とともに大人気だけど、このClubhouse jamboreeも同じくらい支持されているのである。
DJもKarizmaやSpinnaといったダンサーに人気のDJがラインナップされていたり、いわゆるNYC HOUSEとはちょっと違う‘ガチモン’なBrooklynの独特なコミュニティがベースにあって非常にワクテカなパーティである。

再生数の2/3に貢献

それくらいは再生しましたよ。この動画。というか今も定期的に観ては鼻の穴をフクフク。イイ。うん。圧倒的に良い。Part1〜5まであるけど、1、2はオマーのターン。4はJASMINEでぶち上げ、5でハウスの正解こと、R&B四つ打ちdeja vuで全員発狂。いやー鬼でしょ。スピナに喧嘩売ってんちゃうかと思うくらいには鬼。
そして問題の3だ。
これこそ、アメリカの真髄といおうか。
BLACKとBLACKに挟まれた真っ白なサウンドが漆黒の世界を作るという、かのクラフトワーク現象がここに実現。
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(黄色のオネーチャン可愛すぎてめっちゃ真似してた…これをティミーでやって膝逝った ダンサーの動きは素人には無理オブ無理)

冒頭の動画を見てもらったらわかるけど、ここでぐっとギアが上がるんですわ、フロアのボルテージが。

そしてHOUSE CLASSICへ

この2000年代に生まれたサウンドであらゆるジャンルから支持され、玄人も素人も関係なく本当の意味で完成されたトラックはとても少ない。特にここまで立体的で繊細さと大胆さを兼ね備えたスケールの大きいトラックというのはそうそうない。この時代におけるテックサウンドの金字塔とも言え、御大LARRY HEARD上皇もかけ続けているという事実がそれを証明しているだろう。これが昨日作られたものと言ってもきっと疑わない。


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